▼静雄



『えへへー』

「……ねぇよ」

『えっ、私まだ何も言ってませんよ!』



私がニヤニヤとした顔で静雄さんに近寄ると、静雄さんは暫く頭にハテナを浮かべていたが、何かに気付いたのかすぐに嫌そうな顔をする。



「どうせ、あれだろ。"金くれ"っつーんだろ?」

『わかってるじゃないですか!下さい!』

「なんでお前に金やらなきゃいけねーんだよ!」

『お年玉は普通自分から渡すんですよ』

「生憎、お前にやるお年玉なんてねぇ」



そう言って静雄さんは私を無視し、スタスタと歩いていく。



『えっえっ、待ってくださいよ!』

「………」

『あ!今日あれですか?仕事ないんです?』

「………」

『ないんだったら何かおごるのでもいいで、いだっ!?』

「うっせぇ」



チョロチョロと静雄さんにまとわりついていたら、頭を思い切りグーで殴られた。これ、めちゃんこ痛いんですよ静雄さん。



『う……、今の本気でしたね!?』

「アホ。俺が本気出したら死ぬだろ」

『女の子に手をあげちゃいけないんですよ!』

「………?」



私が言うと、いきなり静雄さんはキョロキョロと辺りを見回し始めたので、私は不思議に思いどうしたのかと聞いてみた。



「いや、どこに女がいるんだと思ってな」

『きゃあああ!いるじゃないですか目の前に!』



そう言うと、静雄さんはまた辺りを見回し始めた。



『…静雄さん、怒りますよ』

「あぁ?俺も怒ろうか」

『すみませんでした』



はぁ。やっぱり静雄さんからお年玉なんて無理ですよね。薄々わかってはいたんですけどね!







#来年こそは!

(打倒平和島静雄!)
(あぁ?なんか言ったか?)
(ひぃっ!すみませんすみません!)




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