(井浦&柳)


『コチラなまえです。柳くんを発見しました、どうぞ』

「コチラ井浦です。あかねは無防備です、どうぞ」

「なにやってんだお前ら」



秀と一緒にせっかくのハロウィンだし、柳くんに悪戯しちゃおうという話になって二人で遊んでたら石川に見つかった。



「お、お。石川も混ざる?」

「何にだよ」

『柳くんに悪戯しちゃおう!ってやつ』

「…あんま柳いじめんなよー」

「いじめるんじゃないよ。トリックオアトリート」

『そうだよ、石川。トリックオアトリート』

「なんだよ、その語尾!!」



石川は怒鳴った後に、しぶしぶといった感じで、「…宮村んちのケーキ奢る」と言ってくれた。



『やったあ!じゃあホールで買ってもらお』

「なんでだよ!!」

「おーれもー」

「調子のんな」

「すみませんでした」

『あ、じゃあ秀と私の足してホール1個ね』

「あー!もういいよそれで!」

「よっしゃ!」

『秀一緒に食べようねー』

「いえす!」



石川はすぐに教室へ行って、宮村くんにケーキ安く売って、と言っていた。…ボンボンなんだからそのくらい平気でしょーが。



『よし。柳くんに突撃だ!』

「作戦はさっき言った通りで!」




×××




『やっなぎくーん!』

「あっかねー!」

「…え?」

「『トリックオアトリート!』」

「え、え!?」

「ふっふっふ。油断したなあかねー!」

『今日はハロウィンなんですよ!』

「あ、すみません…。今日はお菓子持ってないんです」

「いーんだ、お菓子なんて!」

『そうそう!私達は柳くんに悪戯したいだけだからさ!』



私がそう言うと、柳くんは身の危険を感じたのか一歩後ろへ下がる。



「な、なにをするんですか」

「…よし、なまえ、せーので」

『おっけ、…せーぇのっ!』



っぎゅ!



「…え!?」

『柳くんにスキンシップだよー!』

「あかねとはこういうのしないもんなー!」

「わ、わ…!」



私と秀が柳くんをぎゅうぎゅうと抱きしめると、柳くんの頬が赤くなった。きっと慣れないスキンシップに照れてるんだなぁ。かわいーんだから!



『よし。今日から私も"あかね"って呼ぼう』

「ほんとですか!?」

『うん!あかねよろしく!』

「じゃ、じゃあ、僕はなまえさんって呼びます…!」

「そんな、なまえでいいんだよ?」

『え、なんで秀が言うの』



3人の友情が深まったところで、3人で悪巧みをする。…いや、主に私と秀が、だけどね。あかねは聞いてるだけ。でも、今回実行するのはあかねだ!



「――…って言ってきて!」

『お願い!あかね!』

「え、でも…」

「大丈夫だって」

『私達もついてるよ!』

「う…、言ってきます」




×××




「い、石川くん」

「あ、柳くんどうしたのー?」

「なんだ、柳。あいつらにいじめられたか?」

「え、えぇっと…」

「?」

「と、トリックオアトリート」

「!?」

「お、お菓子は、宮村くんの家のケーキ1ホールで…!」

「え、ケーキもう1個追加する?石川くん」

「…なまえ!秀うううううう!!!」



この後、私と秀は石川に怒られました。




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