(静雄)


【貴方なんか好きじゃない】




『静雄』

「…んだよ」



呼びかければ、プリンを食べながら少しめんどくさそうに答える静雄。きっと静雄のことだから、今日がエイプリルフールってこと知らないんだろうな
ぷぷっ
友達とかだとすぐばれちゃうけど、静雄ならいける気がする!



『…今日、静雄に伝えたい事があって』

「んあ?」

『わ、私ね…。本当は静雄の事、す…好きじゃないんだよ』



私がそう口にした瞬間にプリンを食べていた静雄の手が止まる。それはもう、停止ボタンでも押されたようにピタッと止まった。口も開けたままだ。



『し、静雄…?』

「…………………ねぇ」

『え?』

「…別に、お前が俺の事を嫌いになるのは変な事じゃねぇ…。」



え?
ちょ、そこは
なんでだよ!とか怒る所でしょ?
なんで、普通に受け止めるの…?



「俺が他の奴に好かれる事のほうがおかしいんだ」

『!?っ、』



なに…言ってるの
私は静雄のこと好きだよ?
好かれるのがおかしいって…そっちのほうがよっぽどおかしいよ…。



『…静雄大っ嫌い』

「…そうかよ」

『大大大っ嫌い!』

「………。」

『っ…こっち見なさいよ馬鹿』

「………、」



静雄は私のほうを向かずにずっとそっぽを向いて座っている。
私はそんな静雄に近付いて静雄の頬を両手で包み私と目を合わさせた。



『…ばっかじゃないの』

「……。」

『何が"好かれる事のほうがおかしい"よ。そんな顔するくらいなら言わなきゃいいのに』

「っ…るせぇ」

『"大嫌い"なんて嘘。それくらいわかれ馬鹿…』

「嘘…?」

『静雄を好きになる人がおかしいなら私はとってもおかしい人間だね』

「は?」

『だって静雄のこと大大大好きだもん』







#好きじゃないなんて嘘。


(ほんとは大好き)




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