出茂利っつか出茂→←利
わかりにくいけど利吉視点



最中、熱くて溶けてしまいそうになる。

君との口付けから先。
どんなことをされても、君になら私は厭わない。少しでも、ほんの微かでもそれをこいつは感じ取るだろう。
そうしたら君は傷つくだろうから。だから私は絶対に受け入れる。本人には絶対言わないが、それくらいこの男を愛しく思っている。
でも、君はどんなこともしない。ただ、丁寧に優しく私に触れる。
普段は人徳がなくていい加減で自己中な奴なのに、こんな時ばかり壊れ物でも扱うように触れる。だから余計にムカつく。
込み上げる愛おしさは、それだけでは満足できないらしく、私はどこか無意識に君を求め続けていた。

結局何をしてもムカつくんだけど。
私が君を求めれば、「君は僕がいないと駄目な奴だな」とか言う。違う、そんなんじゃない。
かと言って我慢すれば君に見破られる。きっと最中に私が優位に立てることは無いのだろう。

君のことだから、きっと「道理を説明することに無駄はいらない」なんて訳の解らない事を言うだろう。なのに、愛を感じることは、何故こんなにも無駄を必要とするんだ。「好き」のひとつでも投げてやれば、お互いに変わるのに。
指を絡めて、抱き寄せてるのに、肝心な何かが足りなくて穴はぽっかりと開いたままだ。
君は僕がいないと駄目な奴だな、と耳元で今日も言われた。私は悔しくなって君の首に手を回して、何も言わずとも口付けを強請る。それでも君がくれる口付けは優しい。ムカつく。涙が出る。

似合わないことすんなよ。
もっと素直に私のこと求めろよ。
もっと私に溺れろ。
そのまま溺れて、死んでしまえばいい。

私が君を求めてるんじゃない、寧ろ私がいないと駄目なのは君の方だろうが。
そうとでも思っていないと、自分で自分が嫌いになりそうだ。
悪態のひとつでも吐いてやりたいのに、私の口からひっきりなしに出てくるのは君を求めた甘い声ばかり。
しかのすけ、と無理矢理口を動かしたら、君は眉を潜めて黙れと言わんばかりに私の口を乱暴に塞ぐ口付けをした。





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結局どっちもどっちなんです
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