「お前、またそんな甘いの頼んで」

有名珈琲屋のショーケースに並ぶ甘い菓子が、俺の前に差し出される。
ねぇ、俺は鉢屋が一緒じゃなきゃ頼まないって知ってる?

「食べてみなよ」

そう言って差し出すと、表情が綻ぶ。
かわいい色したマカロン。
チョコレートチャンクのたっぷり入ったスコーン。
シュガーが煌めくドーナツケーキ。

「こどもみたいだな」

呟いて、頼めない鉢屋。
だから俺が代わりに頼む。
自分のためじゃない。鉢屋のため。
鉢屋の甘い顔を見るために。
ただ、それだけ。


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