ふわり、羽をひろげて降り立った誰もいない森の奥深く。
みんな、ごめんな。
俺はこれから禁忌を犯す。
「やあ、燐くん」
しばらくしてメフィストはやって来た。いつも通りの悪趣味なピエロみたいな服に身を包み、悪魔らしい妖しい笑みを浮かべながら。
「すいません、待たせましたか?」
「いや、そんなに待ってねーよ」
なら良かった、とメフィストは笑って開いていた蝙蝠傘を閉じた。
俺たち天使の掟では悪魔と接触することは禁じられているが俺とメフィストは時々こうやって会う。
天使と悪魔の禁断の恋なんて冗談じゃないと思っていたけれど、好きになってしまったものはしょうがない。
「燐くん、」
ふいに名前を呼ばれ、顔を上げると抱きしめられた。
「会いたかった」
「…っ」
耳元で囁かれるメフィストの声が脳を溶かしていく。
「…俺も、会いたかった」
震える声でそう言うと、背中に回された腕の力を更に強くされた。
「っ、痛てえよばか…離せ」
「嫌です、離しません」
「ふ、ざけんなっ…ん…っ!」
いきなり唇を塞がれ、舌で口内を侵され、息が出来なくなる。こいつのキスはいつだって突然で、乱暴だ。
少し息が苦しくなって、どんと背中を叩くとやっとキスから解放される。唇を舐めると微かに血の味がした。
「あまりにも美味しかったんでつい噛んじゃいました」
「は、馬鹿じゃねーの!」
「燐くん、顔真っ赤ですよ?」
「!」
恥ずかしくなって目線を逸らすと顎を掴まれ上を向かされた。かちり、黄金色の瞳と目が合う。一度、その瞳に捕らわれると俺はもう動けなかった。
そんな俺を見て気を良くしたのか、メフィストはニヤリと笑って言った。
「私から逃げるなんて、許しませんよ?」
それから二度目のキスが始まり、俺は目を閉じた。
(そしてまた俺は堕ちていく)
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すいませんでした(土下座)
二年ぶりぐらいに小説書いたんで…色々おかしいです。でも書いてて楽しかったです^^*
ありがとうございました!