「露樹…?」
『…ふぶ…き…っ』
見詰め合ったまま動かなくなった二人とその周辺の空気に耐えきれず、十代が口を開いた。
「え?ふ、二人は知り合いなの?ていうか何でそんな驚いて…」
露樹…、そう呼ばれた彼女は顔を歪ませた。
そしてみるみる長いまつげを涙が濡らしていく。
『吹雪…生きて…っ!』
次の瞬間、涙を散らしながら吹雪の胸に飛び込んだ。
「ごめん、心配かけたね…もう、大丈夫だから」
吹雪が露樹の背中を優しく叩いた。
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「えっと…」
十代が気まずそうに声を出した。
「あ、皆の前だったね」
『…ぐすっ…、ごめん』
露樹がぐずぐずと鼻をすすりながらしぶしぶ吹雪から離れる。
「さて、ここじゃなんだし中に入ろうか」
吹雪の一言で十代達を含め周りで固まっていた生徒たちも慌てて動き出した。