ーーーーーーーーーーーーーー
皆が1年生の頃のお話
ーーーーーーーーーーーーーー



『あ、雨だ』

図書室で勉強中のこと、露樹が窓を眺めて呟いた。

「ほんとだ」
吹雪も一緒に窓を眺める。

外は薄暗く、校舎内も放課後ということあって静かだ。
図書室にも自分達以外は誰も居ない。

『どうしよう、傘持ってきてない』

「あ、僕も。」

「ちょっと、二人ともサボってないで手を動かせよ」
藤原が苛立ち紛れに声を上げた。
四人は、クラスで発表するレポートの製作に終われていた。四人一組で一枚のレポートを作成し、発表し合う。
その中でも自分達は成績優秀な者達が集まっているだけあって注目されていた。

「まぁまぁ藤原、焦ったって良いものは出来ないよ」

『わー、どんどん雨酷くなってる。』

「…ああもう!丸藤からも何とか言ってやってくれ!」
突然話を振られ、黙って作業していた亮が顔をあげた。

「ん、ああ…吹雪、露樹、あまり藤原を困らせるな。藤原もいっぱいいっぱいなんだ」

『…はーい』

「亮に言われちゃ仕方ないね」

「…フォローのつもりか」

二人が作業を再開した。

1時間ほど経った頃、亮が口を開いた。
「そろそろ終わりにしよう。大分進んだし、この調子なら発表に間に合うだろう」

『まってました!よし、帰ろう』
露樹が立ち上がる。
「うん、雨も降ってるしね」
吹雪が荷物をまとめ始める。

「…まぁ、もう遅いしな」
藤原も筆入れを鞄に詰めた。

ーーーーーーーーーーーーーー

「うわー、暗い!」
『寒いね〜…』

校舎の外は暗く、気温も低かった。

『…ねえ亮、その傘入れて!』
亮がちょうど傘を開いた時、その右腕に露樹が飛び付いた。
「おい……仕方ないな」
『えへへ』
露樹が亮の右腕に自分の腕を絡めて、嬉しそうにはにかんだ。
「あ!ずるい!僕も入れて!」

『残念でした、定員オーバーですぅ!』
「えー、まだ左側空いてるじゃん!…そりゃ!」
吹雪が亮の左側に飛び込む。

「おい、吹雪…っ」
亮がよろめいた。

「…ああもう!俺も入れて!」

『わ!』

藤原が露樹の左腕を掴んだ。

「ちょ、藤原が無理矢理入るから僕の肩がびしょ濡れだよ!自分の傘させばいいんじゃないかな!ていうか4人は無理!」
大きめの傘とはいえ、4人は入りきれない。

「おい、押すな吹雪、露樹も…!」
左右からぎゅうぎゅうと押され、亮が文句を言う。
『いいじゃん、温かいんだから』
露樹が楽しそうに笑った。

言われてみれば、確かに温かい。
今までの文句もじわりと溶ける温かさだった。

「…まあ、そうだな。たまには、いいかもな」

時刻すっかり夜になっていた


back


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -