28…アマイモン再来襲!

『おーい!』
「「!」」

吊り橋の前で手を振り声をかけると皆は一斉に振り向いた。

燐「ああ!ソラ!お前どこに言ってたんだよ!連絡もつかねーし!」
『それを言うなら皆もですよ!今は電波が悪いのか誰にも連絡取れなかったんです!』
杜「え!?そうなの?」

それぞれが携帯を確認している。
その間に私は吊り橋の向こう側、燐達の方へと蹴り跳んでいった。
今の私は某忍者漫画のように跳んでいけるほど脚力は半端ないのだ。
もちろん。皆は目を見開き驚いている。

『ほう。これが提灯ですか…デカイですね。』
志「う、うそぉ!?ここまで距離けっこうあるよ!?」
猫「水野さんって何者なん!?」
杜「すごーい!空を飛んでるみたいだったよ!」
燐(こいつって本当に人間なのか本気で考えちまうよ。マジで。)

勝呂君は詠唱しながらなので何も言えないが目は見開き…燐と私を交互に見ていた。
おそらく…「こいつら…本当に人間か!?」と思っていたに違いない。
とりあえず、事情を聞くと巨大な提灯を運びたいがボロの吊り橋しかなく勝呂君の囮作戦で渡る予定なんだとか。

(この吊り橋…封印の札らしきものがあるのと…【凝】で確認したけど橋の真下には巨大な悪魔がいますね。)
燐「……どした?」

本来は協力し合って解決するのがベストだが、今回は一刻も早く戻らなければならない。
なので、私が道を造ることにした。

『皆さんお疲れのようですから私が道を作りますよ。』
「「?」」
燐「道を作るってどうやるんだよ。」
『細かいことは落ち着いてから話します。今は…早く戻らないと。』
杜「え?」

吊り橋から離れた場所で私は両手を合わし、地面に掌をあてた。
すると電気による発光が始まり虫だらけの川から地面が盛り上がり、吊り橋の隣にはもう1つの道が出来上がっている。
先程よりも皆の目は見開き…まるでギャグ漫画のようだ。

志「ええ!?な、何が…!?」
猫「…おきたん?」
杜「地面が盛り上がって…」
燐「道ができてんぞ!?え?何したのお前!?」
勝「〜〜っ!?」
『帰ったら教えますから…ほら、行きますよ。』

詠唱をしてくれている勝呂君としえみは荷台に乗ってもらい、残りの二人は両脇でボディガードを…そして、リアカーの前を燐が後ろを私が押して行った。
私達の周りには小さな蛾の悪魔が何匹もうろついており襲ってくるわけでもないので放っておいたのだが、この時に何かおかしいと気づくべきだったと後悔することになる。









その頃のメフィストは目を子供のように輝かし興味津々に錬成を見ていた。

「オォ!何かを隠しているとは思っていたが……これまた変わった術だ。」
「…今のだけじゃ、どんな術かは分かりませんよ?」
「それは直接本人に聞くとしよう。お前はそろそろ準備をしておけ。」
「はい。」








提灯を運ぶこと数十分後にゴールすると神木さんと宝君が既にクリアしていた。
そのことに皆は驚いていたが私はある事に気づきシュラさんに聞いてみた。

『雪の姿が見えないのですが…』
「ん?あいつなら花火が上がった方に向かってるよ。」
『花火って…全員いますよ?』
「…ん〜…なんでだろうな?」

そんな会話をしている時に空から落ちてきたのはアマイモンだ。
彼はペットの悪魔と共に襲ってきた。

「ひゅーー……シュタッ。」
「「!?」」
(アマイモン!)
「ゴー!ベヒモス!」

私はすぐさまペットの悪魔を蹴り飛ばしに行き、シュラさんは刀を手にし指笛で使い魔の蛇を呼び結界を発動させた。
昼に描いた巨大な魔法円は強く光り悪魔は2体とも遠くへと吹き飛ばされたので今は戦わなくてすみそうだ。
戸惑う生徒達にシュラさんは髪を上に縛りながら軽く説明し聖水を皆にかけていった。

「訓練は終了だ。今からアマイモンの襲撃に備えるぞ。」
「…は?アマ…!?」
「トリプルC濃度の聖水で重防御するから皆こっちに集まれ。」
(……ん?そういえば燐って聖水駄目なんじゃ…)

思った通り燐にはかけることはできなかった。
一応 聖水アレルギーということになり皆は結界の中で周りを警戒している。
私はテントの中で寝ていたピカを起こしにやってきた。
熟睡のピカを揺さぶり起こすとずぶ濡れの私を見て目を見開いて心配をしてくれた。

『大丈夫ですよ。あ!ピカには毒ですから気をつけて下さいね。』
「ピッ!?」
『前に話したアマイモンが襲撃に現れました。ピカも一緒に戦ってくれますか?』
「ピッ!ピカチュウ!!」

胸をはり元気よく返事をしたピカとテントを出ようとしたときに勝呂君の驚きの声が聞こえてきた。

「杜山さん!?」
『!…しえみ!?』
「おいおいおいおい!!止めろ!!」

テントから出て見えたのは結界の外に出ようと歩いているしえみの姿だ。
皆が驚き、シュラさんが止めるよう叫ぶが間に合わず彼女は魔法円の外に出てしまった。
そして、アマイモンが現れしえみの隣に降り立ち淡々と説明しはじめる。

「しえみ!!」
「その娘に何をした!?」
「ん?チューチの雌蛾に卵を生み付けてもらいました。孵化から神経に寄生するまでに随分時間がかかりましたが…これで晴れてこの女はボクの言いなりだ。」
『なっ!?』

しえみの頭を引き寄せとんでもない事を言い放つ目の前のトンガリ頭は私の方を見てから爪を伸ばし彼女の喉元に刺そうとした。
もちろん、瞬時に移動し【念】の篭った右ストレートを顔面に入れるが片手で防がれてしまう。
堪えきれなかったアマイモンの足下の地面はひび割れ砕けた。

「「なっ!?」」
『…何のつもりです?』
「前のお礼がしたくて外に出てもらいました。」
『!』

そう言った彼は掴んでいた私の右手を放して蹴りを入れてきた。
私は腕をクロスさせ防御し遠くへと飛ばされてしまったがすぐに態勢を整え、脚を踏ん張る事で魔法円の反対側で止まることに成功。
前回の事もあり私は【念】をフル活用だ。
しかし、その間にアマイモンはしえみを連れ去って行き燐が後を追いかけて行った。
シュラさんはペットの相手をしているようだ。
私もすぐに追いかけるために走っていると…

神「ダメよ!生徒はここで待機するようにって先生が…」
シュ「ソラ!お前は燐を追え!」
「「!?」」
シュ「人質救出を最優先に行動しろ!」
『了解!』

シュラさんの指示に従い私は木々の上を跳んで行った。
その様子を他のメンバーは戸惑いながらも見ていたようだ。

神「な、なんで…あいつだけ…」
猫「なんで先生は水野さんを行かせたん!?相手は悪魔の王の一人ですよ!?」
志「…いくらなんでも無茶や!」
勝「っ!」

魔法円を出てすぐに燐がアマイモンにより殴り飛ばされた。
木々をなぎ倒しながら飛ばされている燐に向かっていく奴に私は先程よりもオーラを集め飛び蹴りをかまし、燐とは別の方向へと飛ばされていく彼の目は私をしっかりととらえている。
しえみを離してくれれば良かったのだが…

(やはり…駄目ですか。でもピカを潜ませる事には成功しましたね。)


燐の方を見ると傷は浅いのか立ち上がりアマイモンの所へと走っている。
私も奴の下へと向かう。

この後…私達は王の名を持つ悪魔の恐ろしさをその身で知ることになる。




〜続く〜







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