27…仲間外れ

『汝の代にて神の御旨を行い 終い眠りて先祖たちと共に置かれ かつ腐れに帰したり…』

森に入ってすぐに血を吸う蛾が襲ってきた。
しかも数が多過ぎるため前が見えない。
ライトを消し詠唱を唱え続けて進んでいると燐の炎を感じた私は足を止めオーラを放出し蛾を遠ざけた。
尚も襲おうとやって来るので殺気を込めたオーラを蛾達にむけて放つ。

『邪魔です!』

すると彼らは1匹残らず居なくなったので先ほど感じた方向へ【円】をすると…燐の他にしえみと勝呂君が一緒にいた。
……志摩君も近くまで来ているようだ。
しかし、燐達から離れていく悪魔がいた。

(……この悪魔が原因で炎を使ったのでしょうか……にしても小さい蛾の悪魔が多過ぎる。)

ごちゃごちゃし過ぎて【円】を使っても探るのに手間取ってしまう。
とりあえず、燐達の無事が分かったので提灯を探す事にしたが先に見つけたのは【アマイモン】だった。
気づいてすぐに振り向いた瞬間、目の前には派手な扉が開いた状態であり私は中に閉じ込められる。
次に扉が開いた時には森ではなく学校の正門の前だった。

『何故に!?』







ソラが困惑している時、彼女がいた場所にはメフィストが笑みを浮かべ立っている。
扉で移動させた犯人は彼だ。

「やれやれ。念の為に離れておいて正解でしたね。」

【円】の範囲外に避難していた為に彼は気づかれることはなかった。
ソラの能力は厄介であり、邪魔をされたくないメフィストは彼女を遠くへと追いやったのだ。
そんな事を知らない本人はというと…






『…………なんでやねん。』ボソッ

誰の仕業かは分からないが…まさかの【スタート地点から頑張ってね♪】状態に涙が出そうになった。
しかも、携帯が繋がらないので雪達と連絡が取れない。
とりあえず、良い予感が何一つとしてしないので全速力で皆の元へと走った。

(………アマイモンがいたという事は…狙いは燐ですね。)

途中、低級悪魔の邪魔もあり遅れてしまったがなんとかキャンプまで戻ってくることが出来た。
既に午前3時を過ぎている。
息を切らせながら帰って来た私を見て二人の先生は目を見開いていた。

『た、ただいま…』
「お、おかえり…提灯は?」
『それどころではないですよ。』
「「!」」

二人に先程の事を話すと雪は顔の険しさが増していき、シュラさんは私に水を渡してくれた。

「ほれ、これでも飲んで休め。」
『おお!ありがとうございます!』
「…他にも狙われた人がいるかもしれない。」
『【円】で確認しながら来ましたが、全員この森にいましたよ。』
「…誰の仕業かは知らないけど、言えることは一つ。」
「『?』」

シュラさんは私の肩に手を起き言った。

「また、お前一人だけ仲間外れにされたんだな。」
『!!』
「シュラさん!」

分かっていたが直に言われると心に槍が突き刺さったような痛みを感じる。
四つん這いになり落ち込む私をシュラさんは笑いながら「ドンマイ♪」と言っていた。

連絡を取ろうとするも電波が悪いのかどの携帯も繋がらない。
その後、復活した私の【円】で神木さんと宝君が近くまで来ているのがわかった。
シュラさんは試験続行を提案、雪は反対したが…

「下手に中止して呼び戻してみろ。気づかれたと知った奴がここに辿り着くまでに襲う可能性が高くなるぞ。」
「それまでに襲われないという保証はありません。」
『なら、私が皆を集め速やかに任務を終わらせます。』
「お!大した自信だな。やれるのか?」
『お任せ下さい!』

これといって活躍もしていないのでやる気はある。
何より…早く彼らを安全な場所に避難させたい。
雪は渋っていたが最後は行くことを許してくれた。

「アマイモンに気づかれないように気をつけて。あと、混乱させないために皆には話さないでくれ。」
「もし、危険と判断したら花火をあげろよ。」
『はい。』

私は近くにアマイモンがいないことを確認しながら森の中を進んだ。
暫くすると残りのメンバー全員が大きな提灯を荷車に乗せ立ち止まっているのが見えた。
ボロの吊り橋前では志摩君の悲鳴が何度も聞こえている。



















空からその様子を眺めている二人の上級悪魔は範囲外にいるため気づかれることはなかった。

「あの女…もう帰ってきましたね。」
「ふむ。…もっと遠くにしとけばよかったな。奥村先生の言うとおり人間離れした身体能力だ。」
「嬉しそうですね。…このまま放っておいていいのですか?」
「構わん。コレはこれで面白そうだ…」

喉を鳴らしながら笑うメフィストは楽しそうだ。

(奥村燐の事もそうですが…もしかしたら彼女の能力をもっと知ることが出来るかもしれない。)







〜続く〜







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