25…楽しい交流会ならぬ…撮影会!?

アマイモンにやられた傷が癒えてきたある日、私はしえみと一緒に寮の玄関前に立っていた。

「傷は本当に大丈夫なの?」
『はい。強く刺激さえしなければ何の問題もないですよ。…む!どうやら来たみたいですよ。』
「ふふ…ソラちゃんの能力って便利だね。」
『万能ではないですがね…。』ドヤッ

ドヤ顔したら笑われた。
私のドヤ顔は【ムカつく人】と【笑う人】に別れるのだが…なぜ?
そんなことを思っていると神木さんと朴さんが荷物を持ってやって来た。

「こんばんは。二人ともずっとここで待ってたの?」
『はい!』
「どんだけ楽しみにしてたのよ。小学生じゃあるまいし…。」
「仕方ないよ。ソラちゃんも私も【交流会】に二人が参加してくれて嬉しかったんだもん♪」

そう本日は例の交流会が開かれる日なのだ。
神木さんからの了承を得てから随分と日が立ってしまったので、余計に楽しみが倍増している。
二人を部屋に案内し晩御飯を雪と燐も入れた六人で食べた。
その時に燐の使い魔であるクロと初対面した神木さんと朴さんはあまりの可愛さに頬は揺るみっぱなしで燐に質問をしまくっていた。
そして、せっかくなのでクロも参加してもらう事に決定……もちろん女子会なので主である燐は不参加だ。

「……別に興味ねーからいいよ。」
『そうですよね。燐が興味あるのはしえ「そういや風呂の準備が出来てんだろ?片付けは俺がしとくから先に入ってこいよ!」……ふぁい。』
「「?」」

私の口を掴みながら必死に話を変えた燐は最後に睨んできた。
言い切る前に反応したということは……自覚があったのか。
まだ気になる女子程度だと思っていた。
皆は不思議がっていたが雪の「いつものじゃれあいだから…。」の一言で納得し風呂へと行った。
最後に燐が私の両頬を引っ張りながら小声で注意してきた。

「おい。あいつ等に余計なことを吹き込むなよ!つか、話題にもだすな!」
『ふぁ〜い。』
「二人ともいつまでしてるの?じゃれあうのも良いけど程々にしなよ。」
「こいつが悪いんだよ!」
『……顔を赤らめながら言っても怖くないですね。』
「ほっとけ!」
「やれやれ…。」

心配したしえみが呼びに来てくれたので私も風呂へと向かった。
……頬がヒリヒリする。
少し赤くなっている私の頬を見たしえみは遠慮がちに声をかけた。

「ねぇ、燐と喧嘩でもしたの?」
『あ〜…あれは喧嘩ではないですよ。そもそも私が燐にちょっかいをだしたのが悪いんですから……まあ、自業自得ですね。』
「ふふふ…仲良いんだね。」

笑いながら話していると神木さん達が待っていてくれたので急いで荷物を取りに行き入浴を終わらせた。
部屋へと戻るとピカとクロが仲良く話して盛り上がっていた。
飲み物や茶菓子を用意し終えたのでそれぞれの使い魔を召喚していく。

「稲荷神に恐み恐み白す。為す所の願いとして成就せずということなし!」
「おいで…ニーちゃん!」

二人が使い魔を召喚し皆が自己紹介をしていった。
白狐の【ミケさん】【ウケさん】にはお供えものとして和菓子とお茶の他にお酒も用意したら可愛らしく喜んでくれた。
使い魔達が一カ所に集まり何やら話している……それを見ていた私はある衝動が…。

『…くっ……モフモフしたい………しかし、邪魔はしたくない…でも……』
「なに写メ撮りながらぶつくさ言ってんのよ。」
『神木さんも撮った方が良いですよ!こんなチャンスそうはありませんから!』
「……確かに。」
「あ!じゃあ私も撮りたい!」
「私も!…というか杜山さんも携帯持ってたんだね。後で連絡先交換しようよ!」
「!…うん!」

しばらくの間、カメラのシャッター音が鳴り響いていた。
最初はウンザリといったミケさんとウケさんだったが、ピカ達の悪ふざけポーズやキメポーズ等を見るうちに自然と参加しており…1番ノリノリでモデルをしていた。
もちろん使い魔達だけではなく人間も混ざり写メを撮り続け私達の携帯にはたくさんの思い出が記録され、部屋は笑顔と笑いで溢れている。
神木さんとしえみがお互いの撮った写メを交換しているのを私は隠し撮りしたのだが簡単にバレてしまった。

「なんでバレないと思えるのよ。」
『……あちゃー!』

わざとらしく驚いたら絞め技をかけられた。
それを朴さんは撮っていた。
他のメンバーは笑っており特にピカとミケさん・ウケさんは大爆笑だ。
……誰も助けてくれない。
解放された私は癒しを求めて爆笑していた悪魔達に突撃した。

『……そこの大爆笑したお三方…私にモフモフされなさい!』
「ぎゃあああ!放せ!無礼者!」
「わあぁあ!?」
「ピッ!ビカァ〜!」

ピカ達がモフモフされている間、クロとニーちゃんはしえみの所に避難をしていた。
ちなみにこの瞬間も朴さんと神木さんは写メを撮っていたのを後でしえみが教えてくれた。
夜遅くまで騒ぎ眠りについたのは日付が変わった後だ。
朴さん達は隣の部屋でピカとクロの二匹と一緒に眠っている。
しえみは私の部屋のもう一つのベッドでニーちゃんと横になっているが、まだ眠れないようだ。

「ふふふ…楽しかったね。友達と騒ぐのがこんなに楽しいなんて知らなかったよ。」
『そうですね。久々でしたから私も悪ふざけが止まりませんでした。』
「確かに今日のソラちゃん…クッ…ふふふ…いつも以上に面白かった。」
『クスクス……私もそう思います。』

しばらく二人で笑いあい、眠りにつく前にしえみは嬉しそうに教えてくれた。

「あとね。神木さんと朴さんとも連絡先交換出来たんだよ!私…嬉しくて顔がニヤけちゃうよ。」
『おお!朴さんだけではなく神木さんともですか!?凄いじゃないですか!』
「うん!勇気だしてお願いしたら教えてくれたの。」
『なんと……私なんか頭を下げてようやく教えてもらったのに…流石はしえみですね。』
「そんなことないよ。ふふふ…。」

本当に嬉しいのだろう。
声だけでも伝わってくる。
私まで嬉しくなり眠っても私達の顔から笑顔が消えることはなかった。

















この楽しい日々が続けば良いと思うのが普通だが現実は甘くない。
もうすくで夏休み。
学生の私達にも大きな戦いが試練が待っていることをまだ知らない。



〜続く〜




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