快楽は善であり、快楽が幸福をもたらす








「はぁ…はぁ…うっ、あぁ…」



なんて気持ちが良いのだろう。気持ちが良すぎておかしくなりそうだ。否、もう既におかしくなっているの間違いだろうか。



「何ね、今日は自棄に積極的ばいね。」



下ろしていた瞼を上げた。俺の睛に映るのは、俺を見上げる千歳。



「しらいし…」



そんな熱の隠った声で呼ばないで欲しい…。気持ちが良くなってしまう。頬を撫でる手があまりにも厭らしいから俺はもっと欲情した。



「ち、とせっ…もっとぉ…奥ぅきて…。」



騎乗位の姿勢で千歳の性器を半分だけ俺の中に挿入れてピストン運動をするものだから中途半端な快楽に身悶える。はっきり自分から腰を落とせばいいのだが、まだ羞恥心の残った理性からは到底したいとは思わない。否、思いたくもない。



「しらいしが動けばよかね。」



自分だって奥まで挿入れたい筈なのにどうしてそんなことを言うのだか…



「しらいし…」



ほら、と言うように俺の性器を扱き出す。



「あっ、やぁ…ちょぉ…千歳っ」



残り僅かな理性が飛んでいく。真っ白になった頭の中は、ただイきたいという貪欲な気持ちだけで快楽に溺れた心体は咥えた千歳の性器をきつく締め付けた。



「っしらいし…締め付け過ぎばい、」



耳に触れた千歳の快楽に酔しれる吐息が俺を絶頂へと導く…



「千歳…」
「うん?」
「一緒、イきたい…」
「むぞらしか。」



唇を啄まれるようにキスをされた。薄く唇を開けば舌が差し込まれる。



「ふん…んん…んっ、はぁ…」



キスに夢中になり過ぎてひたすら千歳の舌に自分のそれを差し出し絡めた。唇が離れる頃には、もう何も考えられなくなった。



「しらいし…奥、きて欲しかろ?」



こくんこくんと頭を縦に振る。すると、千歳は上に乗る俺をゆっくりとベットに押し倒し、千歳の性器がずぶずぶと俺の中に挿入ってきた。



「あっ!ち、とせぇっ、ちとせ、」



耐えられない快楽に頭に敷かれた枕に指を食い込ませる。奥を貫かれる度に嬌声が上がる。



「白石、白石、」



激しいピストン運動に目眩がする。



「あぁ、イく、イ、っちゃう、」
「イけば、良かね」
「やや…、一緒、一緒がええ」



首に腕を回して潤んだ瞳で千歳を見上げて懇願する。そんな顔されたら理性が飛ぶ、と辛そうな顔して笑われた。膝裏を大きく持ち上げられ接続が深くなる。



「あぁっ!!」



幾度か千歳の性器に貫かれた後、俺は果てた。そこからの記憶はない。



ぼんやりした頭が感じるのは快楽に溺れた、という幸せ。体に残るのは心地よい疲労感。千歳に抱かれる度に幸せを感じた。
だけど、それは一時的な幸せであってまたすぐに欲してしまう。いくらセックスしたって一瞬幸せになって、また幸せになりたいから千歳に抱いてと頼む。
貪欲に欲してしまう快楽。
馬鹿みたいに千歳を求めて。
馬鹿みたいに千歳の性器を咥えて。
馬鹿みたいに女みたいな声を上げて。
馬鹿みたいに射精して。
だけど、それが俺を幸せにした。
千歳とセックスすることで俺は幸せになれるのだった。



「しらいし…」
「…」
「愛しとうよ」
「うん…俺も…」



俺は千歳のくれる快楽しか愛してはないのだけれど
そんなこと言える筈もなく、今日もまた千歳の腕の中で幸せになる俺がいた。



快楽主義


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