「ねえねえ、室ちん」
「何だい、アツシ」
「切ないのと淋しいののちがいって、なーに?」
両方とも胸をきゅうって痛いくらい締め付けるよね。ちがいってあるの。
白いベッドに頬杖をついて問う君。なんてかわいらしいのだろう。ああ、こんなにも好きなのに伝わらないなんて。切ないな。
ベッドに乗り上げて、アツシの甘いお菓子みたいに甘い唇に口付ける。
「これが、切なさ」
ぽかん。頭にクエスチョンマークを浮かべる敦。かわいい。かわいすぎだよ、アツシ。
「切なさはね、傍にいても埋まらないんだよ。自己完結の世界にあるものだからね」
「じこかんけつ?意味わかんねえしー」
「んー…じゃあさ、俺はアツシのこと、好きだろ」
「うん」
「だから、手も繋ぐしキスもするしセックスもする」
「そだね」
「アツシとそうやって傍でつながっていれば、淋しくない。アツシだって、俺が傍にいたら淋しくないだろう?」
「たしかに」
「だけど、俺が傍にいても、つながっていても何だか胸がきゅうって締め付けるものがあるだろう?」
「…ある」
「それが、切なさ。切なさはどんなに傍にいたって埋められないものなんだ」
「どうやったら埋まるの?」
「嫌いにならない限り、きっと切なさは消えないよ」
「じゃあ、好きだから、切ないの?」
「Excellent! そう、好きだから、切ない。好きで好きで仕方ないから切なくて胸が痛むんだよ」
そっかー。ややこしいね、切ないって。
びり、びりりり。まいう棒の封を開けて、さくさくと食べ始めるアツシ。It's so cute.
ごくん。喉仏が上下する。ああ、その立派な喉仏に噛みつきたい。
口の端に付いたお菓子のかすを舌で器用に舐めとる姿がsexyで、cuteで見とれてしまう。本当に見ていて飽きない俺のかわいい天使。
あ、とお菓子に夢中になっていたアツシが再び俺を見る。どうしたの、という顔をしてアツシを見つめと
「おれ、痛いのやだけど、室ちんきらいになる方がやだから、切ないのがまんする」
だから室ちんも、切ないのがまんしてね。
耳元ですごい音がした、爆発音的な何か。ああ、アツシ、俺の地雷を踏んだね。そんなことされたら俺の理性は粉々だよ。
そのあと、俺はアツシを抱いた。もうありったけの愛を込めて、優しく、時には激しく抱いた。愛を囁いた。何度も何度も好きだと。
ばかだな。セックスしたって淋しさを埋めることはできても、切なさは埋めれないのに。でもできることなら、この切なさに胸を押し潰されて死にたい、なーんて。
切なさと淋しさの違い問うきみに
(20130207)
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『切なさと淋しさのちがい問う君にこれが切なさ』
という短歌を聞いて室ちんだ!ってなったので
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