黄瀬涼太。
あの青峰をバスケ以外でも本気にも真剣にもさせてしまう存在。
青峰の名を呼ぶことも身体に触れることも許された存在。
いくら中学時代の仲間だと言われても、青峰の黄瀬に向ける眼差しや言葉、振る舞いには他の人に向けるものとは違うものが含まれている。いわゆる、青峰にとっての特別な存在。俺は黄瀬をすごいと思うと同時に、羨ましいとも憎いとも思った。
黄瀬の何が青峰の心を惹き付けるのか。どうして黄瀬なのか。疑問がぐるぐるぐるぐる脳内を駆け回る。
だから、知りたくなった。
別に性欲が沸いたのではない。ただの好奇心だ。青峰が触れる黄瀬に触れたい。ただそれだけ。
先程まで見せていた人懐っこい笑顔はどこかに消え、恐怖を隠せない表情。触れようと伸ばした手に驚いたのか、目を強く瞑って身体を震わす。髪を梳き、頬に手をあててやると恐る恐るといったように黄瀬の瞼が上がる。
「怖がらんで…」
逃げられないようにもう片方の手も頬に添え、唇を黄瀬のそれに重ねる。
(やわらかい、)
下唇を噛んで、痛みで緩んだ口の隙間に舌を捩じ込む。
(あったかい、)
舌を無理矢理這わせれば、時々聞こえる喘ぎ声は色気を帯び、下半身に熱を与える。唇を離してやると、黄瀬はどちらか分からない唾液を口の端から溢れさせ、肩で息をしている。顎を持ち上げて目の奥を覗き込めば、恐怖と快楽への期待が混ざり合った色がそこにはあった。
「…その顔、ぞくぞくするわ」
乱暴にシャツのボタンを外し、露になった白い肌に手を滑らす。鎖骨の下にくっきりと残った1つの赤い痕が俺の本能を喚び醒ます。その痕をねっとりと舐めあげれば、黄瀬がひんと鳴く。
「助けて…、青峰っち…」
か細い声が青峰の名を呼ぶ。
「行儀がなってないなー…。これから抱かれるちゅーのに、他の男の名前なんて呼んで…」
楽しませてくれや、と耳元で低く囁いて俺は黄瀬を抱いた。
それは単なる好奇心と嫉妬
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