□02
どうしよ、どうしよ。
青峰っちとお付き合いすることになったっス。わあ、どうしよ。嬉しくて気がおかしくなりそう。
『…いいぜ』
耳に残る青峰っちの返事。
普段は聞かない、とっても低い声で、正直えろ過ぎて腰抜けちゃうかと思った。思い出しただけで、かあっと顔が熱くなって、足が震える、呼吸も苦しくなる。
あの日、青峰っちの背中を見ていたら、急に涙が出てきそうになって、それを抑えようとしたら、胸がきゅっと締め付けられて、青峰っちへの想いが蛇口から水が出るみたいにどばどば溢れて、止められなくて。
気が付いたら、好きだ、と、付き合ってほしい、と言葉が口から零れていた。
しまった、と思った。取り返しのつかないことをしてしまった、と思った。
だけど青峰っちはいいよ、って言ってくれた。墓まで持っていくつもりだったその気持ちに返事をくれた。しかもいい方の。
嬉しくて嬉しくてたまんなくて、今の俺はふわふわ浮かんでいる感じ。ちゃんと歩けてるか不安になるくらいふわふわしてる。そんでもって今日青峰っちに会ったらどんな顔していいか全くわかんなくて、またまた不安っス。おはようってちゃんと言えるかな、ちゃんと顔見れるかな、顔引きつらないように笑えるかな、ああどうしよ。
そんなこんなで気が付いたら校門。青峰っちとは玄関で7割り会うからな、あーまだ心の準備が出来てないっス、まだ会いたくない、会えない会えない。
「おはようございます、黄瀬くん」
「ぎゃあ!」
横からぬっと現れたのは黒子っち。突然出てこられたらびっくりするっスよ、もうっ。相変わらず今日も影薄いっスね、今日も気付けなかったっス。
「朝から騒がしい人ですね、君は」
「す、すいませんっス!」
「はよー」
どきん。心臓が鳴る。あ、青峰っちの声だ。眠そう。
「おはようございます、青峰くん」
右側にいる俺から視線を左側に移す黒子っち。それにつられて俺も左側を見る。あ、どうしよ、目が合う、おはようって言わなきゃ、今の俺の顔引きってない、大丈夫?
「お、おはよ…青峰っち」
「おー、おはよ」
ちゃんとおはようって言えた、だけど今俺ちゃんと笑えてる?
願わくはちゃんと笑えていますように
(20130205)
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