「ん…」
「お、起きたか?」
さっきの男の声がする。
あぁ、私発作で倒れたんだ。
「ガラス、悪かったな。一応手当てはしといたけど、平気か?」
コクリと頷く。
「じゃあ本題に入るけど…お前、俺の下僕になれ!」
「…はあ!?」
何言ってんのこの人…
「お前、もうすぐ死ぬんだろ?俺が解いてやるよ、その混血の烙印。」
「何でそれを…」
すると、男は黙ってしまった。
訳がわからず首を傾けていると、見兼ねたようにスーツ姿の長身の男が話し出した。
「続が烙印を見たからですよ。」
…烙印を見た?
「…胸……見た、の?」
「ふ、不可抗力だ!」
端正な顔を真っ赤に染めて否定する続というらしい男。
「あんな路地で胸押さえて倒れてたら誰だって気になるだろ!」
「だからって普通見ず知らずの女の胸見る!?」
「あーもう!そんな無い胸見たって面白くもなんともぷぎゃ!」
続はスーツの男に蹴飛ばされた。
「てっめえ花村!」
「はいはい、うるさいですよ」
花村と呼ばれた男はテーブルにクロスを敷く。
そしてその上には一流シェフ顔負けの料理がずらりと並んだ。
「お詫びと言ってはなんですが、夕食でもいかがですか?」
「色々ありがとう。おかげで命拾いしたよ」
夕食を食べ終え、私は帰り支度を始めた。
「花村、送ってってやれ。」
「はい」
続の言葉に、花村は車のキーを手に取る。
「いいって!一人で大丈夫だよ!」
これ以上迷惑を掛けられないので必死に断るが、
「女性をこんな夜に一人で帰すわけにはいきませんから」
という言葉に何も言えなくなってしまった。
「ありがとうございます…」
神候補との出会い