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憧れなかったと言えば嘘になる。
己れの愚かさと浅はかさを再認識させられた。
彼女は聡明な美しい人で、大学内でも、いや幼い頃から、男女問わず人気があった。
そんな彼女が婚約者だなんて羨ましいとか、釣り合わないとか、美女と野獣だとか、常に言われていたんだ。
それは、婚約者である事が当然であった俺には、多少耳障りではあったが気にする事でもなかった。
けれど、今この状況に立たされて思い知らされる。
こんな俺じゃなく、奴と彼女のカップルなら、誰が見てもお似合いだと思うだろう。
敵う訳がない。
…せめて、
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