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武道大会。

それは一年に一度、数日にわたって各学年で三組入り交じってくじで相手を決めて闘う、いわゆる一対一のガチンコ勝負大会である。
トーナメント式のこれにはシード権があり、い組ろ組の実力のある各一名ずつがシードに選ばれる。なぜは組にシード権が無いのかというと、人数が多く、ついでに言ってしまえば、全体の平均実力が他の組より低いからである。

組ごと一人ずつくじを引いていくのだが、入るタイミングを失い一番最後にくじをひいた俺の手の中にある紙に書いてあった番号は四。一番はろ組のシード権を持つ強者が入り込むので俺は五番の人と闘うことになる。
全員の名前が張り出されたところで確認してみると、どうやら五番はい組の人らしい。うわあ一回戦で負けるかもしれん。


トーナメント表の前にて軽く絶望していると、すぐ近くに先日廊下ですれ違った不破君がいた。見れば彼は「うわ!僕兵助とだ!」と嘆いている。あのい組の秀才と闘うなんて不破君も運が悪いやつだと思った。そんな彼に隣にいた不破君と全く同じ顔をした人物が話しかけた。

「嘆くのもいいが雷蔵、君は何の武器を使うのか決めておいた方がいいんじゃないか?」
「うっ!そうだよなあ、うーん兵助なら寸鉄を使ってくるだろうから…いや火薬系かもしれないし…」

学園きっての天才と言われる変装名人の鉢屋君と悩み癖のあるという不破君の五年ろ組名物コンビという二人が並んでいるのを目にする機会は意外と少ないので、せっかくだと思い、よく目に焼き付けておく。見る側としては面白い光景である。

俺も名物コンビと言われるような仲の良い友人が欲しい。いや、名物と言われなくてもいいから友達が欲しい。考えてたら悲しくなってきた。



始めに二番と三番の人とが闘うのを観覧してみたが、予想以上にレベルの高い二人の闘いに、こりゃもし俺が運良く二回勝ったとしても勝ち続くのは難しいかな、と思いこれからの試合により絶望を感じる破目となった。


次の四番と五番!という呼びかけに試合場の四角い線の中に入る。

相手はい組。メインに選んだ武器は忍刀のようだ。あれはシンプルな分えげつない武器である。


やばい当たりたくない。どうやって闘おうか頭の中で簡単に作戦を立てながらくーこちゃんを構えた。やっぱりこういう時はくーこちゃんである。なんだか元気が出る。




審判の笛が鳴り響き、試合が始まった。





武道大会編開始。




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