ぼっちなう | ナノ




今日は実技のテストである。
何かの物語の主人公で、そいつに友達がいないのであったとしたらそいつは何でもできるキャラで一目置かれている存在で、ちょっくら近寄りがたい系のかっこいい奴なのだが、俺の場合、そんなことはなく全くの普通の人間で、成績は大体平均を上回っているがやっぱりその程度、といったところである。早い話、パッとしない。そもそも時間が余っているので他の人間より勉強する時間があって平均より成績が上なだけで後は特に才能もない。実技もまた然り。自分で言ってて悲しくなってきた。


「次、山木!」


という先生の声に前に並んでいた山木君が走り出した。
山木君は今行っている苦無と手裏剣の走りながらの早打ちといったような技術的な実技ものはあまり得意でないのだが、明るく、実践的なものには強いタイプである。俺は山木君のことを知っているが、はて、山木君は俺のことを知っているのだろうか。知らない可能性が高いと思われる。そもそも約三十人、学園で一番人数が多いといわれるこの五年は組において俺の名前、それ以上に俺の存在をはっきりと認識している人間はいるのであろうか。ちょっと怖くなってきた。

これは結構胸に来るものがあるな、と俺が勝手に一人で精神的なダメージを受けていると「次、苗字!」という先生の声が聞こえた。苗字とはいえ、数日ぶりに自分の名前を呼ばれ少しダメージが回復した。

山木君四個外してら。そう思いながら俺は武器を構えて走り出した。




あ、一個外した。





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