ぼっちなう | ナノ





ぼっちと名高い俺だが、そんな俺にだって友達はいる。
それがこいつ、マイ筆のヒトシくんと苦無のくーこちゃんである。今、なんだ無機物じゃねーか、とか言った、もしくは思ったそこの君。ちょっと廊下立ってなさい。それか俺と友達になりなさい。笑った奴は強制的に友達な。


さて友達と言ったのは二割程冗談であって、何が言いたいかというと名前を付けるほどこの筆と苦無は特別だということなのである。

俺がこの室町時代に突然ベイビー化して現れた頃、道端に転がっていた俺を引き取ってくれた優しい老夫婦がいた。俺にとってこの時代の両親となってくれたのがその二人なのだが、彼らは貧しいながらに俺に教養を、とヒトシくんをとくーこちゃんを渡し、忍術学園に入れてくれたのである。なんと優しい人たちであろうか!
そんな思い出をもつこの二つの道具とはテスト前に励ましあったり、一緒に頑張る俺の友である。付け足すと俺の唯一の友である。付け足さなきゃよかった。みじめな気分になった。


ちなみに俺も独り言は言う。さすがにずっと無言なわけではない。たまたま一日六回しか発さないときもあるだけで。
人間あまりに寂しいと独り言を連発するわけだが、俺は一時期それによって独り言にとりつかれ、ある日気づいた時にはまさかの一人で会話を行うという偉業を成し遂げており、あまりの悲しさに涙が止まらず、その日から独り言は少し抑えるようにしようと誓っている。


そんな悲しい過去を語ってみたが誰もいないこの部屋で俺の話に耳を、無い耳を傾けてくれるのはこのヒトシくんとくーこちゃんだけな訳で、俺はその二人を一撫でし、くーこちゃんに指を切られ、なんだ意外とくーこちゃんはツンデレなのかと新しい発見をするのであった。むなしい。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -