ぼっちなう | ナノ




「おばちゃんA定食下さい。」


どうも、今日三回目の発言、つまりランチタイムの俺です。

席に着き黙々と食事をする。ああ、おばちゃんのご飯は美味しいなあ。
美味しい。美味しいが、なんだか前世(と言ってもこの時代より遥か先)から来た平成人の俺としてはあちらのおかんの手料理が恋しくなってきた。お袋の味ってやつだ。おかんのから揚げ食いたい。


未だ黙々と食べる。
そうすると周りの奴らの面白い話やら笑い声やら午後の授業についてだとかが異様に耳につく。だが俺はこの学園においてのぼっち歴五年。このひとりさみしい状況にキレることも、ヒステリーを起こすこともなく、ただ無の境地に入り込み静かに食事をする技術においてはぴかいちである。そんな技術磨きたくなかった。

そんなこんなで食べ終わった俺は箸をおき席を立つ。ぼっちのおかげで大抵は平均より食べ終わるのが早い。そんなスピード感はいらない。それよりもっと足が速くなりたい。こう、クラス一番の速さで人気者になれる感じの。


「おばちゃん、ご馳走様でした。」


そうして本日四回目の言葉をカウンターで忙しそうに働くおばちゃんに掛け、はーいというおばちゃんの言葉に自分にも返事を返してくれる人がいるのだと感動し、それによって緩んだ涙腺を押さえながら俺は食堂を後にした。






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