ホモだった。ゲイだった。というかバイだった。
「はっはっ、はあっ、はあっ、」
暗闇の中、乱れた服装なんて関係なく俺は全速力で走っている。
「はっ、はっ、はっ、」
息が切れる。だがそんなことに構ってられなかった。頭では苦しいと思っているのに、本能からなのか足はどんどん動いて俺を森の先に運んでいく。木の葉の踏む音、風の音、遠くからわずかに聞こえる喧噪、全てが耳を通り抜けた。俺はただただ走る。先ほど自身がいた場所から離れるうちに、視界が少しづつぼやけてきた。
なぜこんなことになっているのか。
全ては数週間前に遡る。