目を開け竹谷君が一瞬やられた、という顔をしたが間を開けずにすぐ飛びかかってくる。
残った体力全部使う気構えで俺は彼の攻撃を避けまくって攻撃を入れる。何度も苦無と苦無がぶつかる音が響いた。数度繰り返し、体制が厳しくなってきた竹谷君に、この隙にと俺は彼の腹部におもっきし右足を入れた。がッ、と彼が喚いて、後ろに軽くとばされた。
だが、此処で相手に間を持たせる訳にはいかない。折角流れが変わった今、相手より特に優れているところがないというのにハンデ背負いまくりの俺にはここしかチャンスはない。
息がひどく切れているが、一息つかないまま俺は地面を蹴りあげ竹谷君の胸ぐらを掴んだ。
そのまま体をグルンと捻り竹谷君をひっくり返す。
ズダン、と音がした。
そして無音。風が吹いて、審判である先生が手を挙げ、笛を鳴らした。
「勝者、は組の苗字!」