ぼっちなう | ナノ




二日目、昨日勝てた人物が二回戦、更に勝てた人物は三回戦の二試合行う日である。ちなみに二日目の今日が終わると三日目の最終日、ラストの決勝戦までばーっと終わらせることになっている。昨日は全員試合があり自分に精一杯な人も多かったが、参加者が約半数に減った二日目、また半数に減り強い奴同士の激しい試合が行われる三日目は日増しで大会への熱気が上がってくる。

その途中経過である今日、対戦相手表を見ると俺の二回戦目の相手はろ組の竹谷八左ヱ門君らしい。
竹谷八左衛門君といえば、生物委員の委員長代理を務める人物である。たまに不破君や鉢屋君と一緒にいるのを見かける元気で友達が多そうな人だった気がする。


対戦相手が友達の多い人物となると相手への声援が非常に多く、俺の精神が2秒で崩れ去るという事態が起こる。
そんな声援ごときで、なんて思っている奴がいたらそんな人物にはぜひ実際に体験してみることをお勧めする。
周りからあふれる対戦相手への応援、相手の攻撃が決まって自分が焦り始めた時のいいぞいいぞという声、それでもどうにかしてなんとか勝ったとしても自分への賞賛なんぞ一言もなく、あるのはただ周りのため息と、結局あいつ誰なんだ?という視線である。

そんなただひたすら自分の気持ちと反対の声が聞こえるのに加え更に自分のぼっちさを見せつけられたその後俺は数日は落ち込み続け、人生とはなんなのかという壮大なテーマに向かって思考を飛ばしたりという自分でもよく分からない行動に陥るのである。


そんな三年の時の武道大会を思い出し、いやだいやだと思いながら名前を呼ばれた俺は対戦場に踏み込んだが、竹谷くんはまだおらず、先生がおーいろ組の竹谷はどこいったーと叫んでいるところでやっと竹谷くんの姿が見えた。


突然だがこの武道大会、武器は何でも使用OKでむしろ武器でなくてもたとえば鍋でもなんでも自分が使いたいと思ったものは使用可である。
その代わりに一度でも試合場の枠線の外に道具が落ちたらたとえ自分が枠内にいて手が届いたとしても使用不可、ということになっている。



さて、話を戻してすんませーんと言いながら帰ってきた竹谷くんが枠内に足を入れ、俺に「わりぃな!」と言った。それに対して俺は「いや…」とだけ返した。いや、それだけしか返せなかった。

なぜかって、重要なのは竹谷君の足もと。


きりりとした眼に黒と茶が混ざった固めの毛。



いかにも元気いっぱいでがっしりとした狼が、そこにいた。



え、勘弁してくださいよ。次回最終回とか洒落になんないよ竹谷君。





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