ぼっちなう | ナノ




良くない夢を見た朝。

どうやら結構早起きしたらしい。周りにあまり人がいなかった。だが挨拶するような存在もいない俺にはまあ、特に何も変わらない。
食堂へ一番乗りで入るともう少しで朝食ができるので待っていてとのこと。昨日は結局億劫になって夕飯は食べなかったので、伸び盛りの年頃らしくめっちゃ腹が減っていた俺には一刻も早く朝食が必要である。腹減った。ちなみにここで、お前そんなこと言ってるけど精神年齢はどんなに小さく見積もっても三十路だろこのおっさん、というのはやめてほしい。そこは俺も目を向けないようにしていることである。

そんな感じで久々におばちゃんの一番飯を食べることができてぐんと気分が上がった俺は大会が始まるまで軽く体を動かすことにした。当然のごとく一人でできるレベルの運動である。
体を動かすとところどころ痛むが気にしない。だって周りが仲良さげに朝練してる方が気になるから。
超痛い。いや気にしない。でも痛い。

誰か一緒に朝練やってくれないかなー、と思いながらちらほらといた朝練を行っている人達をチラ見しまくってみたが、周りにいる数人の内三分の二は二人組で練習をし、残りは全員超真剣な様子で一ミクロンでも俺とやってくれそうな雰囲気ではなかった。やばい起きるタイミング間違えた。こんな朝早くに練習する奴なんて皆上位狙ってるに決まっている。ちくしょう。せっかくおばちゃんの一番飯食べれてほくほくしたのにもう気分下がってきた。

あ、あそこ、いいなー二人でお互いの苦手なとこ克服するための練習してるよ、いいなー。
もう既にチラ見どころかガン見をかましている俺の耳に武道大会二日目開始の式をする合図の鐘の音が入りこんだ。

体痛いしのんびりグラウンドいくかな、と思った俺は足を動かしたがそこで気づいてしまった。


二人で練習していた人はもちろん、その他の人たちもだれかしら周りの人たちの誰かと喋りながら向かってる。

つまり俺だけ浮いてる。


やっべえここ居辛い。



そして俺は大会前と分かっていながらもグラウンドまでの全力疾走を余儀なくされたのであった。








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