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五年おとし



よし、忍たまをオトそう。

読者の皆様にとっては突然になるこの発言は一体どういった意味だったのか分かりにくかったかもしれないが、私のこの決意は別に忍たまの誰かを落とし穴にはめようとかそんなことではなく、だからと言って忍たま全員をはべらしてモッテモテのきゃっきゃうふふな生活に持っていきたいとかそういうことでもない。というか忍たまが私なんかにメロメロだったらそれはとても気持ち悪い。


なら何かと聞かれれば、忍たまの誰か一人に私に好意を持っていただくということを決意したのである。
お前それはさっき言っていたことと矛盾しているぞと言われてしまうと、まあそれも否定できないのだが、先ほどの発言との相違は表向きではなく中身のことである。つまり理由だ。


はっきり言って私は色気というかモテ要素というかそこら辺の技術やテクニックが全くない。

ここで先に説明しておくと、人が先天的にもっているいわゆる美人、それととモテ度は比例するように見えて、比例していない。モテ度に必要なのは相手に好感をもたれるという話術であったり雰囲気、しぐさや行動なのだ。そうは言っても美人は興味や目を引くことに比例するのでうまく使えばこれ以上の武器はないのだが、普通美人過ぎても近寄りがたかったら近寄らないし、ともかくくのいちの私としてはそのモテ度、いわゆる他人、特に異性に対しての好感度を上げるということはとても重要なのである。


ところが昔からそこまで特別に男の子と話していなかったり、好きになった人はずっと影から見つめるだけで、今でも妹のように思われているであろう近所のお兄さんは既に結婚をしてしまったりと、私は相手に対して恋情や恋幕といった感情を持たせることができない。


友人からは「名前は、いい人オーラ全開過ぎて恋愛をする相手になれないタイプね。」と直球で言われた。普段からざっくり言ってくる彼女は発言を八つ橋でくるんではくれなかった。


それからというもの私はこの現状を打破するべく考えたわけだが、散々考えた挙句、とりあえず忍たまをオトしてみよう、という結論に至ったのである。






そうと決めたらまず誰をオトそうかそこが問題である。

普通に考えてみると関わりが多い同級生を選ぶことが無難に思われるが、考えてみると私の学年は派手中の、ド派手。


座学も実技もそして体育委員会の仕事ですら完璧にこなしてしまう平くんが私を相手にするわけないし、したとしても私の平凡な頭じゃあ彼の話にはついていけなくてなんだつまらん奴、みたいなことを思わせてしまったら申し訳ない。


そうすると田村くんも座学と実技はトップクラスであるし、会計委員会の仕事をあの忍術学園一忍者していると謳われる潮江先輩に続いて頑張っていて、さらに火器を扱わせたら忍術学園ナンバーワン!だから駄目だろう。ちなみに私は火器の扱いについてはどちらかと言えば得意な方だがそれでもすごく上手というわけではない。うう、自分が情けなくなってきた。


モッテモテの斉藤タカ丸さんはフレンドリーで話しかけやすいだろうけど彼は本当にモッテモテのモッテンモッテンで、あれだけ美人な女の子に言い寄られても皆に平等に接してしまう彼じゃ恋情なんて抱かせることはもう100%無理だ。むしろそんな感情を抱かせてしまうとか考えることが既に申し訳ない。


だからといって綾部くんとなると、これもうまくいきそうにない。彼とは一度実習で組んだことがあるのだが、その時になんだかとってもコミュニケーションがとれず、結局最後まで私があわあわすることしかできなかったということがあり、たとえ私が頑張ったところでこれからもそのまま関係が進展しそうにない気がする。



その後、下級生、上級生、考えに考えたが、どれもうまくいきそうになく、私の頭は徐々に考えすぎの疲労と私なんかには無理だという負の考えが蓄積されてきた。



そんな私が、友人に「何考えてるか知らないけど、早く昼餉食べに行こ。」と言われ食堂に向かったその先で、ついに決断することになる。







空いている席に座って友人とA定食を食していたところ、隣に誰かがやってきて「ここ、いいかい?」と聞いてきた。群青色の服を着ているのを見て瞬時に五年生の先輩だと悟った私は反射で「はい。」と答える。
食事中にこのような対応があるのは当たり前のことであったが、隣にやってきたのは私が今まで全然関わったことのなかった五年生。
少し新鮮な気がして、折角だからどんな人たちなんだろうとなんとなく食事をしながら会話を聞いていると、私にある発想が浮かんだ。



そうだ、五年生の先輩はどうだろうか?

五年生はあまり表立って出ない人たちと聞いたことがあり、悪い噂を聞いたことがない。なにより会話内容は至って普通の優しいお兄さんと言った感じだ。

そうだよ、さっきはどんな人なのか分からないし、と思っていたがこの人たちならきっと関わりが持ちやすいだろう。きっと顔見知りくらいにはなれる!



安直すぎるその考えでぱっと顔を明るくする私には、向かい側で味噌汁を啜る友人が(こいつ、また変な結論出したな。)と思っていることは知る由もないのであった。







・いつもいい人どまりな四年ヒロインが五年とかかわりを持ちに行く話。
・五年とも結局いい子どまりになるほのぼの。
・ヒロインは考えが安直。
・必死にお手伝いとかして別れた後にハッ!これじゃだめじゃん!ってなるタイプ。


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