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なんだか天女様とか言われた私は学園長?先生とやらのお部屋に向かうことになった。 それより皆さん随分素敵な格好ですね。いや人のこと全然言えないけど。何?和服ブームでも来たの?どの子もすごく忍者っぽいね。あっはっは素敵。
「此方です。」
髪の長い男の人に案内されて、私は目の前のこの障子の奥の部屋が、その学園長先生とやらのお部屋だということを知る。 もちろん和風である。・・・ううん、ここは歴史村ってこと?
「入っていいぞ。」
お爺さんのしわがれた声がしてちょっと緊張したが私は髪の長い男の人に続いて部屋に入った。・・・っていうか君すごく髪の毛さらさらだな。どんなトリートメント使ってんの。教えてくれ。最近どうも昔のさらさらには程遠くなってしまったみたいでねぇ。まいったまいった。
「ほう。それ、が先程落ちてきたという天女様、か?」
「はい。間違いありません。それと、先生方には生徒を教室で自習させてからここに来るようにと伝えました。」
「ご苦労じゃった。」
「・・・?」
なんだかしわだらけの愉快そうなお爺ちゃんがニコニコしながら此方をじっと見てくる。流されに流されているが、私もそろそろ現状を把握したい。どういうことなのだ。私の知っている世界に、こんな服を着ながら生活している学校は、無い。
「あの、」
「どうしたんじゃ?天女様。」
「いや、そもそも私は天女とやらではないのですが。」
「・・・その格好で、か?」
「え。」
そういえば私は今個性的な格好をしているんだった。
「天女の羽衣、それを持っている、ようじゃがの?」
「へ・・・いやこれはそんな大層な物ではな、」
「噂では、その羽衣で天女は空を飛ぶという。」
「おぬしは、ふわりと落ちてきたと聞いておるが?」
何言ってるんでしょうか。それは無い。いくら現代人に厨二病が多いのだとしてもそれは無い。
「は、いやいやいや。飛んできたなんてそんな馬鹿な、」
私はそのストールを肩ぐらいの高さまでスッと上げた。よくみてくださいよ、という意味だったのだが、その時だ。私の体は、す、と今座っていた畳から、浮いた。
浮い、た。
「え。」
十センチ、二十センチ、それぐらいの幅。 私は畳を見やる。いや、みなくても分かった。この、浮遊感。足には、私の体の重みは掛かっていなかった。
目の端で、男の人と、学園長先生とやらが目を丸くしているのが見えた。
え、私、天女?このストールだと思ってたもの、羽衣?
正直に言おう。ありえんでしょうが。
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