残念ながら私は嘘つきだ。
もうこれ以上にないくらいに嘘つきの偽善者野郎で、救いようがない。
だから私は嘘をつきたくなかった。
上辺すべてを嘘で固めてしまうなら、他のものは全部まっさらな嘘なんてないようなものでいたかった。
たとえ生きるために嘘が必要でも、私は嘘をつきたくはなかったのである。
でも、それすら聞いている限りではまったくもって偽善者の吐き出す嘘にしか聞こえなくて。私は嘘にまみれているから、きっとそれも嘘なんじゃないかと思えて。
悲しくなったところで、結局私は自分のために周りに嘘をつくような人間だった。
いつだって自分が大切だった。
そんな自分が嫌いだった。
それでも私は私のために嘘をついて、ああ、私は結局私のことが大好きなんじゃないかと思って、苦しくなった。
私が脳内から出した”自分が嫌い”というフレーズすら、嘘だったのである。
そう思って自分が救われたかっただけなのである。
人の十分の一も百分の一も苦しんでないくせに、私は誰かに助けを求めてしまうような甘ったれた野郎だ。
それでいて、人が私より苦しんでいないように見えて、ただ羨ましく思う。そして後になって、その人の苦労のたった片鱗を垣間見て、やっと、私はなんて失礼な奴なんだと気付くのだ。どこまでも鈍くて鈍感で、愚かな人間であった。
自分に苛々して、それでいて私は報われたかった。
だから私は嘘が嫌いだった。
嘘つきだ。
嘘をつきたくない私のこの話は、いつだって人が助けてくれるような、甘ったれた私の人生の汚点である。
溜まってたので引っ張ってきたやつ。
長編ネタとして書いたと思うのですが一体全体これを書いていたとき自分に何があったのかわからない。終着点のなさすぎるただの病んだ小説過ぎて逆に笑った。