あいえんきえん、 | ナノ


  どうもお豆腐屋さんの娘です




 初夏、晴天。今日は本当にいい天気だ。

ダンッと音を立てながら置いた洗濯物籠の中の服も太陽に反射していつもより小奇麗に見える。
この洗濯物を干したら店の方にいって両親の手伝いをしなければならない。今日は天気がいいからお客さんも結構来るんじゃないだろうか。早く洗濯物を干しきらなければ。店の方に行ったら掃除をしなきゃなと今後の行動について考える。いつもの習慣だがよく考えてみたら私ってば意外と良い子なのではないだろうか。毎日欠かさないなんて。

そんなことを考えながら洗濯物を干し終わり、店の方に行く。店の方と言ったって家の表側だが。
入ると母さんが忙しなく手を動かしながら私の方をちらりと見て言った。


「あ、やっときた。豆腐切ってー、木綿の方ね。」
「ほいほーい。」


何を隠そう私の家は豆腐屋である。そして実は結構評判が良かったりするのだ。代々地味に続いている店なのでお客も地味に付いていて家計も地味に安定している。とにかくいたって普通の何処にでもありそうな豆腐屋である。

それにしても今日は随分量が多い。先程今日はいつもよりお客さんが来るかな、と考えたが今日の豆腐の量はその考えを上回る量である。木綿だけでなく絹やその他エストセラ…といつもの2倍はあるのではないだろうか。


「母さん、今日随分量が多いね。」
「何言ってんの。今日は祝日じゃないの。」


ハッと気付く。今日は祝日か。そりゃあ量が多いはずだ。

そろそろ開店時間である。木綿豆腐を切り分けた私は掃除に向かわなくてはならない。お客さんが多くなるからいつもより奇麗に拭いておこうと思う。よおしこの美しく切り分けられた木綿豆腐のように美しくしてやるぞー待ってろ!






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