あいえんきえん、 | ナノ


  太陽のような


なぜこんなところに、という彼に質問に山菜を取りに来たんですと返す。


「え、一人でっスか?危ないですよ。」
「そんな、…え、一人?」


大丈夫だよ、と言いかけて、彼の「一人で」という言葉に違和感を感じた。私の隣には諸泉さんがいるはずである。


そういえば隣から諸泉さんの気配がしない。私は勢いよく隣に顔を向けた。
笑顔くんが不思議そうな顔をする。そりゃそうだ、私の隣には先ほどまで話をしていたはずの諸泉さんがいなかったのだから。


「に、忍者、すごい…。」


小さく呟いた私に、聞こえなかっただろう笑顔くんがあっ、と声を上げた。今更に彼の忍者のような服装が目に入る。あれ、まさか笑顔くんも忍者?


「あー見られちゃいました。すいません、驚きますよね。オレ、忍術学園の竹谷八左ヱ門っていいます。」
「えっ忍術学園?」
「そうです。知ってましたか?」
「知り合いが、通っているんです。」
「えっ!そうなんですか!」


私が伊助くんの名前を言うと、どうやら彼は伊助くんのことを知っていたらしい。ああ、あいつか!と大きな声で言った。

少し話して、そういえば彼はなんでこんなところに来たんだろうと疑問がわいた。質問してみると、彼は人を追いかけてきたらしい。改めて彼を見れば、汗だくで、私よりも数倍は暑そうである。葉の隙間から照りつける日差しが強い今日だ。全力で人を追いかけたらきっと大変だろうなあ、と思った。


「名前さんも気を付けてくださいね。ここらへん忍術学園が近いんです。曲者っぽい奴がいたら危ないですから!」
「え、そうなんですか。ありがとうございます。竹谷さん。」


そういうと彼がなんだかむず痒そうな顔をした。


「あの、オレそんな竹谷さん、なんて呼び慣れてないんで、その、もっと適当でいいですよ。」
「え、そ、そうですか?」


失礼にならないか、とも思ったが、彼がそういうのならなにか変えた方がいいだろう。


「あ、じゃあ、竹谷くん、でいいですか…?」
「あーいや、そんなに固くなくても、何でもいいんで…、えーとオレ十四なんですけど名前さんもそんなにかわらないですよね?」
「はい。十四です。」
「じゃあ、敬語とかもなしにしませんか。その、どうもオレ慣れなくって…」


彼が照れくさそうに言った。そんな竹谷くんに親近感が湧いて、嬉しい気持ちなった。思わず声が大きくなる。


「じゃ、じゃあ、八左ヱ門くん!よろしくね!」
「おう、名前!…でいいか?」
「いえいえいえ!いいですいいです!ぜひ!」
「はは、そんなにうれしいのなー。」


そういう八左ヱ門くんが優しそうに笑うものだから、やっぱり彼は笑顔くんなのだな、と思った。


空はいまだ真っ青で、照りつける太陽は輝くことをやめない。





竹谷は学園で尊奈門を見つけて追いかけてきた。雑渡さんもいたけど尊奈門を囮にして逃げる。尊奈門涙目。

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