補習とモデル


補習

この熱い中、私は朝から自転車をこいでいた。

向うは夏休み中の学校。

理由は英語が標準点にまで満たなかったからだ。

私は英語が大の苦手でダントツで点が悪い。

きっとこの学校で2番目くらいに。

それにあの先生の担当だから課題も人一倍・・・いや二倍は出される。

あぁ、私は何故運がないのだろうか。

夏休みの課題+特別課題まで出されたうえにこの補習だ。



気づけばもう教室前。

いやもう一生気づきたくもなかったし、できればもう1ヶ月ほどきたくない。

なのに約2週間はこなければならない。



ふ ざ け る な よ(*^ω^)



ドアを開けるとクーラーの冷気が私を迎えてくれた。

汗が冷えて寒いくらいに効いている。

教室を見渡すと私のほかにもう一人生徒がいた。

まだ補習が始まる30分前だしそりゃそうか。



その一人の生徒・・・男子生徒は今大人気モデルの黄瀬涼太だった。

芸能人とか興味ない私でもさすがにわかった。わかりたくなかったけど(ボソ

黄瀬はこちらに気づくとなぜか犬のような目でこちらを見てきた。



私は普通の女子高生だし、いつもちょい地味めにがんばってきた。

面倒なことには関わらないというのが最近身についたことである。



なので私は黄瀬から離れた(黄瀬はベランダの真ん中に座ってる)廊下側の真ん中あた

りに座った。


黄瀬「なんでこっち座らないんスか?」


ここと言いながら隣の席を指差す。

モデルだからなのか、仕草が狙っている。首をかしげながら笑顔だ。

あざとい、あざといぞ黄瀬涼太!!

だが私には効かぬぞ・・・・(`・ω・´)


『なんでって・・・なんでだろーね(困笑』


私は彼とはじめて話す。初対面だしね。遠目でみたことはあるけど。

はっきりといって、私は会話するのが少し苦手だ。

いつも話していたりするひとはいいんだけど、初めて話す人とかは一言、二言で会話が
終わってしまう。

淡白な会話しかできない。

それと、彼はモデルだ。

女子のファンが多くて学校にもファンがあふれてるらしいけど私は芸能人とかあいにく興味ない。

名前だけだよ。知っているのは。


黄瀬「君は俺のことどうも思わないんスか?」

『どうって・・・あまりモデルとか興味ないですから・・・』

黄瀬「隣座ってもいいっスか??」


なぜなんだ。

なぜ隣に座ろうとする。

断る理由も無いからどうぞと言ってしまったけど・・・

黄瀬「君が初めてっスよ!!俺がモデルでも興味を示さなかった人っ」

『へ、へぇ・・・』

黄瀬「普通の子なら騒ぐのに」

『ファンが、嫌いなの?』

黄瀬「別に、そういうわけじゃないっスよ!!ただ、モデルって言うだけでそんなに大げさに騒がれて・・・少し迷惑だなって・・・」

『ふーん、大変だね』


モデルにはモデルの大変なことがあるんだなって思った。

大変だなって思った。

会話終了。

クーラーの音と窓を閉めていても聞こえてくる蝉の声が沈黙のBGMとなった。

それから間もなく数名の生徒と英語の補習担当の先生が入ってきて補習が始まった。





2013.0506微修正


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