はい、おはよ。
生徒会副会長の桐城海月だよ。
今の時間、7時23分。
職員とてっちゃん以外の生徒会が昇降口に立ってるの。
何をしているかって、あれ。
頭髪、服装点検。
「あ、副会長!おはようございます」
桐城「うん、おはよう。1年生は向こうで点検ね」
「はーい!」
いつもは職員だけなんだけど月に1回は生徒会も立つ。
生徒たちにとっては嫌なぐらい徹底的にやる日。
でも抜き打ちでやるから対策できないんだよ。
させないけどねっ!
夏休みがあったから頭髪で引っかかる生徒が何人か。
黒染めして再登校するか、私達に黒染めスプレーをぶっかけられるか。
ちなみに、再登校で帰したのに来なかったら保護者に連絡するよ。
私が。
悠「あ、みーちゃん。おはよー!」
紅夜「みーちゃん?」
悠「海月ちゃん」
紅夜「(魔王をみーちゃんって呼んでんの・・・)おはよー」
声がしたほうを見れば悠が紅夜。
にこっと笑顔で挨拶を返す。
ついでに上から下まで服装を見る。
桐城「紅夜は良いよ。セーターが指定外だからブレザー脱いで廊下出ちゃダメよ」
紅夜「はーい」
私の隣を通って教師に点検が終わったのを知らせる紅夜。
紅夜はいつも制服を着崩したりしない。
なんかネクタイが好きらしいからいつもきちんとしてる。
壁に寄りかかって悠が終わるのを待っている。
悠「私は?!」
桐城「まず、スカートが短いかな」
悠「えー」
桐城「直さないなら理沙にスカートを伸ばしてもらうよ」
布を繋げて縫ってもらうっと言えば悠はすぐに直した。
理沙にスカートが床につくぐらい長くしてもらおうと思ったのに。
少し残念。
悠「もういいですよね!もういいよね!」
桐城「え、何言ってるの。頭大丈夫?」
悠「みーちゃんこそ、何言ってるのさ頭だいじょばないよ」
大丈夫じゃないらしい。
まぁ、スカートを直したぐらいで点検に通ると思ってるなら大丈夫じゃない。
もう見た瞬間引っかかる人なんだから。
ってか引っかかる常習犯だよね。
桐城「メッショがあるでしょ、青メッシュ」
悠「え、青メッシュは生まれつきだよ!ね、隊長!」
紅夜「知らないけどね」
悠「裏切りものおおおおおおお!」
紅夜が認めてもSOMYはグルだと考えるよ私は。
昇降口で騒ぐ悠は皆から注目を集めていた。
まぁ、メッシュってだけでも目立ってたんだけどね。
騒ぐと尚更、ってかやっぱり引っかかったかって思われるよ。
桐城「理沙、黒染めスプレー用意して」
清水「了解です、海月さん」
2年の点検をしていた理沙がシャカシャカとスプレーを振って持ってくる。
悠がそのスプレーを凝視している。
面白い。
悠「いやだああああああ!」
夢汰「ちょ、雛志の声外まで聞こえてるよ」
がわこ「あ、桐城さんだ」
悠を見て苦笑いしてる夢汰。
逆にまったく気にしてない様子のがわこ。
コンビニの袋を下げた2人登校してきた。
夢汰は朝ごはんだろうけど、がわこはおやつかな。
桐城「がわこは合格。でもセーターが白だからブレザー脱いじゃダメだよ」
がわこ「あざっす!」
夢汰「え・・・、あ、点検か!」
桐城「そうそう、だからスカート直そうねー」
そう言ったら嫌そうな顔をした。
うん、女子高生だからね。
オシャレしたいのは解るけどこっちも仕事なのよ。
点検の時だけ直してればいいのに。
悠「直さないとりっちゃんに縫われるよ」
夢汰「りっちゃん?」
紅夜「清水さん、清水さん」
がわこ「・・・、実際に縫われた人は?」
桐城「いるわよ」
そう言えば4人揃って目を見開いでえ?!と言ってきた。
私は事実を言ったまでじゃない。
桐城「3年A組」
紅夜「うちの学級すか」
桐城「ピアス」
夢汰「あ」
桐城「白いパーカー」
悠「・・・」
桐城「金髪」
がわこ「・・・・・・、がるさあああああん!」
パーカーとピアスを没収して黒染めスプレーを噴射してあげたよ。
もう逃げ回ってたけど追い掛け回してね。
校舎に黒いのがついてたらその痕跡だよ。
夢汰「スカート戻す、戻す戻す戻す」
清水「いえ、縫いますよ」
夢汰「いやいやいや!」
桐城「えー、戻すの?」
せっせと戻した夢汰は焦ってる様子。
無理に戻さなくても、いくらでも長くするのに。
桐城「・・・さて、2人とも、あとは髪色ね」
理沙「海月さん、黒染めスプレーです」
桐城「あら、ありがとう」
悠「がわは?!」
がわこ「ウチ、茶色いけど地毛だもん」
夢汰「オレも地毛デス」
がわこ「夢汰、中学の時黒でーす!」
夢汰「塩宮あああああああああああ!」
赤茶が地毛なわけないとは思ってるけどね。
としあえずスプレーを振る