SOMYと置き手紙



夢汰「ねぇ、何か紙があるんだけど」


こんにちは、長門夢汰です。
始業式での校長の話マジ長くて腰がミシミシいってるよ。

SHRが終わって、いつものメンバーで事務所に行こうとしたらね。
なんと雛志の姿が見えませんでして。
まぁいつもの放浪かなって思って廊下で雛志の名前を大声で叫びながら事務所に来た。
迷子の放送を頼もうと思ったけど雛志が放送委員長なんだよね。

そんでそんで。
事務所では雛志の荷物がありまして。
その上に「読んでね☆」と書いてる紙が置かれた。
ついに誘拐か果たし状かなって疑いを持ちながらも紙を取る。
そんなオレを見ていた母さんが


紅夜「はい、読んで」


荷物を自分の椅子に描け、ガンプラを出しながら言ってきた。
塩宮も荷物を置いて冷蔵庫に何か無いかと見ている。
さっきビーノさん食べてたよね?

とりあえず読むか。
わざわざテープで閉じられたいたから封筒を半分に破る。
中の手紙もついでに。


がわこ「何で?!」
紅夜「どうした、どうした!」
夢汰「読んで欲しいならテープで閉じなくてもいいと思って」
紅夜「とりあえず手紙読めんの?」


半分にはなっていたけど読めそう。
オレの手によって半分になった手紙をひらく。



【探さないで……、探してください ブルー】



おまえか



がわこ「探さないでじゃないんだ、悠ちゃんらしい」
紅夜「お腹が空いたら帰ってくるんじゃね?」
夢汰「事件の匂いッ!」
紅夜「しないしない」
がわこ「探し行く?」
夢汰「だって書いてあるよ」
紅夜「えー、行く?・・・行こう」


行かなかったら後々面倒になるかも知れないよね。
めんどくさいって顔してるけど母さんもそう思ったんだろう。
誘拐されて必死に書いたSOSかもしれないし。
まぁ、本当の誘拐だったらそんな暇ないだろうけど。

貴重品を持って、来たばかりの事務所から出てとりあえず校舎内を探す。
先に出た塩宮がじゃがりこを持ってた気がするけど。

各自ヘッドフォンを装着。
無線の電源もオンにして連絡を取り合う。
教室、部室、校長室とか職員室を探すけど見当たらない。
途中でムーンウォークしたり、マイムマイムしたりでスキップで華麗なターンもした。
なのに居ない!

思い当たるとこを探したんだけどね。
何処にも雛志が居ない。


がわこ「・・・何で居ないの」
夢汰「帰ったんじゃない?」
紅夜「荷物はあんのに?」


何処に行ったんだか、静かな廊下に集合して会議をする。
まぁ、いつかは出てきそうとは思うんだけど。



「たいちょ―ッ!」



ガスッと塩宮にタックル!
呼んだ名前は母さんなのにタックルは塩宮に。

うぐっと呻きを上げてしゃがみ込む塩宮。
とても心配そうな顔をして背中をさする雛志。
え、タックルしたのは自分だよ?


紅夜「お前何処行ってたんよ」
「ちょっと旅に」
夢汰「置き手紙は?」
「…え?」


塩宮から顔をあげ、答えた雛志がキョトンッとしている。
あれ、聴いてるのはこっちなんだけど。

顔を上げた雛志には違和感があった。
母さんも違和感を感じた様子。
2人で顔を見合わせたけどハッキリとはわからない。


がわこ「骨が、骨が砕けたかと思った・・・っ!」
「がわ!大丈夫?がわっ!」
がわこ「やったの悠ちゃんだけどね!」


本当に心配そうな顔をする雛志。
いやいや、雛志が思いっきりタックルするなんてよくあるよ。
オレにだってあるし!
でも自分がビックリするほど思いっきりやっちゃった時はいつも慌てている。
今回は心配そうな表情。

よいしょっと立ち上がった塩宮が雛志を見て固まった。


がわこ「あれ、悠ちゃんメッシュは?」

「ん、え?」


塩宮の言葉を聞いて雛志を見る。
もやもやしていたのが無くなった。
そうだ、それだ!
青いメッシュがないんだよ!


言われた雛志は前髪近くの右を手で確認する。


紅夜「・・・、付け間違えた?」
がわこ「ちょ、かーさん」
夢汰「そういえば冷蔵庫にアイスあったよ」
「え、じゃあ後で食べよう!」


にこにこっと雛志が言った。
うん、納得して「解った」と口にする。
雛志は何が解ったのか理解できずに頭にハテナを浮かべるだけ。


夢汰「生徒会室に乗り込もう」


その一言で母さんと塩宮が理解したらしい。
足を生徒会室へと向けて歩く。


がわこ「よっしゃ、行こう」
「ちょ、何で急に?!」
紅夜「暇つぶしだけどな」
「暇つぶしで行くの?!」
がわこ「え、ノリだよね」
紅夜「吹奏楽の予算を巻き上げよう」
「え、えっ」
夢汰「随分と焦ってるね、少年」


急に生徒会の話になったもんだから素が出てる。
すっごい焦り様で笑いが表情にでてしまいそうだよ!
笑ったけどね!


「…え、少年って誰だよー!」


紅夜「いい加減に蹴飛ばすぞ」


脅しだと思ったの母さんの言葉は本気だったらしい。
ガンッと勢いよく背中を蹴った。

少年っと言われた雛志は深いため息。
何でバレたんだろうなぁっと苦笑いして言った。


渋谷「はい、渋谷勇人です」
がわこ「はいはいどうもー」
渋谷「良く解りましたね」
夢汰「まぁ、あまり確信なかったけどね」
渋谷「アイスの件ですか?」
紅夜「残念、メッシュから違和感あったね」
渋谷「それはそれは、残念です」


笑いながらウィッグを取って変装を解く少年。
きちんとスカートを穿いてまで変装をするのは凄いよね。
オレが男だったら抵抗したね!


がわこ「で、悠ちゃんは?」
渋谷「え?」
紅夜「雛志の場所知らないの?」
夢汰「寧ろ知らないとか許さない」
がわこ「ユルサナーイ」
紅夜「でた!がわさんのユルサナーイ!」


ふざけ始めた2人は放っておくとして。
場所言いなよっと少年に言ってみる。
知らなかったらイチゴミルクね。


渋谷「何で自分に選択肢無いんですか」
紅夜「無駄な時間を取ったから」
夢汰「何か気分」
がわこ「生徒会でしょ」


なんて理不尽なんだろう!
でも現に変装した少年と話していたことで時間時間も削られてしまった。


渋谷「さっき鉄棒近くで見ましたよ」
夢汰「え、何で?」
渋谷「知らないですけど」
がわこ「えー、体育館?」
紅夜「体育館なら私がバスケしに行ったよ」
がわこ「探しに行ったんじゃないんだ」


体育館に行った際にバスケもしたかったらしい。


渋谷「合宿所じゃないんですか?」
がわこ「何、合宿してるの?」


そっちに行く雛志を橋本くんが見たらしい。
それを見て今ならSOMYを騙せるって思ったんだって。
そんで少年に雛志の変装をさせたらしい。



とりあえずで行ってみるということに。
他に探す場所も解らないから行くだけ行く。
少年に適当にお礼を言う。





紅夜「うわぁ」
夢汰「…ガチで?」
がわこ「えぇー」


3人の目の前に合宿所の座敷にて。
雛志が寝ころんで漫画を読んでいる姿があった。

少しの心配して探していたというのに!
本人はこんな暖かいところでくつろいでいただなんて!


紅夜「何してんの」
悠「朗読よ、良くない?」
がわこ「良くなくない?」
夢汰「良くなくなくない?」


無駄に疲れたなぁ・・・









bkm
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