清水「何で生徒会室はダメなんですか?」
夢汰「うーん、隙があってね」
渋谷「(隙・・・?)
はいはい、こんにちは。
生徒会さん達を引き連れて歩く長門夢汰です。
オレの言葉の理解が出来ないのか清水ちゃんと少年が不思議そうな顔をしてるよ。
まぁ、そうなるよね。
クラスから追い出されたオレらSOMY。
とりあえず作戦会議をする為に生徒会メンバーを事務所にご案内。
生徒会って言ってもいつもの4人しかいないんだよね。
これについては後で聞こう。
橋本「隙なんてあるもんか!」
桐城「あら。私達がいるのに?」
夢汰「いや、それに関してだと最強だよ」
確かにこの2人は隙がないけどね。
問題無いぐらいに。
でもちょっと違うんだよね。
夢汰「とにかく、SOMYの事務所の方が何かと良いんだよね」
橋本「まぁどこでも良いけどな」
サラリと言った橋本くん。
場所なんて関係ないんだろうね。
それに多分、生徒会をSOMYの事務所に入れるのは初めてだと思う。
入ったことがあるのは少年かな。
夢汰「あ、雛志」
過去の記憶を彷徨ってたらいつの間にかSOMYの事務所近くに来ていた。
廊下で脚立に乗り、ドアの近くにカメラを付けている雛志。
落ちそうだから見てて怖いわー。
オレが呼んだ声が聞こえたのか、足を組んでどやぁとした顔で手を振ってきた。
生徒会から、特に2年生から不審な目で見られるは気にしない様子。
悠「どうぞどうぞお客様、私には気にしないで入って」
脚立に座る雛志には手より足の方が開けやすかったんだろう。
足でドアを開けて生徒会を入れる。
清水「行儀が悪いですよ」
悠「気にしないの」
桐城「行儀が悪いよ」
悠「スミマセンデシタ」
夢汰「はいどうぞー」
橋本「お客様だぜー!神様だぜー!」
悠「すみません神様、他の神様にご迷惑おかけするのでお静かに」
渋谷「失礼します」
オレと雛志は入っていく生徒会をジッと観察をするかのように見る。
―――ジィィィィィィィィィィィッ!!
あぁ、やっぱりね。
少年が入ろうとドアをくぐったらベルの音が鳴り響いた。
橋本「おいSOMYッ!」
少年を見ていたらすっごい怒鳴り声が聞こえた。
今にも殴りかかってきそうな声と表情をオレと雛志に向けている。。
今まで見たことがない、怒りと不安が混ざって酷いこと。
自分の後輩に何か危ないことをするんじゃないかと思っている様だ。
オレは橋下くんの酷い表情に苦笑いをする。
先に説明するべきだったね。
悠「渋谷くんか」
作業の手を止めた雛志がドアの下に居た少年を指した。
うん、まぁそうだろうね。
ドアの下から廊下に退かせばやっぱり音は鳴り止んだ。
夢汰「ん?うーん・・・、あ・・・、あった」
見つけたのは少年のブレザーのボタン。
それを廊下に転がしてグシャッと踏み潰す。
中からボタンと全く関係ない、小さな機械が出てきた。
橋本「おい、説明」
夢汰「えっとね、ドアをちょっと特殊にしてね、あるものを探知するようになってるの」
渋谷「・・・あるもの?」
夢汰「まぁ、色々」
悠「渋谷くんにボタン型の盗聴器だね」
渋谷「盗聴器・・・?」
橋本「何でそんなもん」
悠「一般生徒の中に本気で勝ちたい人もいるんだよ」
桐城「随分、本気なのね」
渋谷「・・・、SOMYって何なんですか」
夢汰「正義の味方だよ」
少年が怪しむかのような表情だったから笑って言い返す。
だって正義の味方を結成したんだから。
ちょっと意地の悪い、ね。
悠「さぁどうぞ」
雛志が脚立から下りて、再び中に案内する。
今度は誰が通っても音はならなかった。
がわこ「あ、来た」
清水「こんにちは、塩宮さん」
がわこ「うん、こんにちは」
ホワイトボードから顔をひょこっと出してがわこと生徒会が挨拶をする。
挨拶をした清水ちゃんはそのままジッと塩宮を観察するかのように。
がわこはただ無言で見られているので、どうしていいかわからないようだけど。
がわこ「清水さんからの目が痛い」
桐城「さっきの事で警戒してるんだよ」
がわこ「それはそれは・・・」
塩宮も大きな音は聞こえているから何があったかわかってる様子。
ウチの仕業じゃないんだけどねっとが塩宮は苦笑いを桐城さんに向ける。
確かに、雛志が仕掛けたんだけどね。
多分、SOMYを警戒してる。
やっぱり、説明しとくべきだったなぁ。
夢汰「母さん、連れてきたよ」
母さん、っともう一度呼べば何やらパソコンなどの機材が積み重ねられたところから顔を出す。
紅夜「あ、いらっしゃい。早速だけど橋本と海月さんはそののソファーで」
桐城「わかったわ」
橋本「おーう」
清水ちゃんと少年は向こうねっとオレが場所を指しながら言えばまだ警戒している様子。
頷いて周りをキョロキョロしながら移動している。
清水「海月さんに何かしたら許しませんよ」
桐城「大丈夫よ。この人達は私に何もできないわ」
警戒しなくていいのに!
そんな2人を見て母さんが笑っていた。
紅夜「え、何、どうした」
桐城「あなた達を警戒してるのよ」
紅夜「えー」
がわこ「怖いのはかーさんぐらいだよー」
紅夜「ちょ、待て」
何かを投げような素振りもあったけど、抑えて自分の作業に戻った母さん。
とりあえず、忙しいんだろうね。
母さんが作業に戻ったから橋下くんと海月ちゃんをソファーに誘導する。
夢汰「どうぞー」
お茶を出す感じにハーゲンダッツ。
ハーゲンダッツ。
お茶も出すけどね。
それと同時に塩宮がカラカラッとホワイトボードをソファーの横まで持ってくる。
悠「カメラおっけーっす!」
がわこ「あ、悠ちゃんアイスあるよ」
悠「まじか!やったね!」
軽やかにスキップをしながら握っているコードを振り回す。
そのまま冷蔵庫に向かう。
途中、母さんの近くに置いてあるパソコンのコードと繋いだ。
がわこ「かーさん、作戦会議は?」
紅夜「代理に夢汰と君がやって」
がわこ「そーやって仕事放り出してぇ」
紅夜「仕事せい」
がわこ「はーい」
母さんに仕事しろ言われてるよ。
塩宮はホワイトボードの隣に立ち、オレは橋本くんと海月ちゃんの前に座る。
座る時についついよっこらせとか言ったけど気にしない。
生徒会2人をみて、何から話そうか迷う。
夢汰「あ、そうだ。何で生徒会が4人しかいないの?気になりました」
がわこ「あ、それについてウチも気になりました」
桐城「一般の生徒側よ」
橋下「生徒が生徒会の何人かを味方にほしいって言ったからな」
夢汰「良いんだ」
がわこ「ウチはスルーか」
なんか、塩宮がホワイトボードを叩いてる。
うるさ、超うるさ!
夢汰「あ、でね。ある程度、作戦考えてあってね」
桐城「だったらそっちの作戦でいいわ、ね?」
橋本「おう」
夢汰「・・・ホントに言ってんの?ー」
桐城「アナタ達の方が得意分野でしょう?」
がわこ「(得意分野・・・?)」
そう思われているのは良いのか。
まぁ、合わせてくれる様。
どんな作戦にも対応できるんだろうね。
夢汰「生徒会さんって4人だよね?」
橋本「そうだな」
夢汰「SOMYが4人。鬼をやる8人を引いて325人の生徒を探すんですよ」
カッカッと音がしたから見てみれば塩宮がホワイトボードを叩いていた。
はいはい、ホワイトボードにも書いてあるね。
朝のSHRから帰りのSHRまでの時間。
約9時間で325人を探す。
鬼側にとっては不利な状況だった。
かなりね!
がわこ「なので!」
塩宮がホワイトボードに勢い良く、大きな字で書き始める。
がわこ「確実に生徒の位置を特定して、確実に探し出します」