SOMYと副会長



はいはい、どーも
私は真顔じゃなくてポーカーフェイスだと言った塩宮がわこ、がわさんです。
照れるーっ!



―――コンコンッ



普段見慣れない、普通は見慣れることの無いドアをノックする。
ドアの向こうから返事が聞こえたのを確認してゆっくりとドアを開ける。


中に入れば穏やかで優しそうな女子が目に入った。
ウチと夢汰はその女子に会釈をする。

ベッドで寝ていた女子は上半身を起こしてふんわり微笑んだ。


夢汰「どーも、失礼します」
がわこ「こんにちは」


ウチらの挨拶に笑顔で返してくれた。
ほんわかとして、女子力高いなぁって思った。

ただいまSOMYレンジャーは仕事中。
校長が真面目な顔でとある病院にいる生徒のお見舞いを依頼してきた。
超真面目な顔。
キリッとしてたから逆に気持ち悪い。

学校についた途端に依頼書渡してきたので少し驚いた。
校長が本当に真面目な顔だったんだ。


夢汰「えっと、桐城海月さんですよね?生徒会副会長の…」
桐城「うん、そうだよ」


よかったらどうぞっとベッドの隣にあるパイプ椅子を指す。
お言葉に甘えて椅子に座り、仕事だからと付けていたヘッドフォンも外す。


桐城「初めまして、3年C組で生徒会副会長をやってる桐城海月です」
夢汰「初めまして、SOMYレンジャーの長門夢汰です」
がわこ「・・・塩宮がわこです」

がわこ「同?学?年?・・・だよね?」
桐城「そうね、アナタも3年なら」
夢汰「あぁ、塩宮留年したから違うね」
がわこ「ちゃんと進級したわッ!」
桐城「うん、同学年ね。あなた達はA組よね」


よくご存知でって言ったら全員覚えてるものっとサラッと言った。
まさか全員覚えてるとな?
顔と名前が一致してるというんか。
いやいや、無理だよ。

桐城「SOMYって、4人じゃなかった?」
夢汰「あと2人とは、はぐれて・・・」
がわこ「気がついたら居なくて」


SOMYの人数を良くご存知で。
3年生になってからずっと入院生活だと聞いたんだけどね。

ウチも夢汰もこの病室を探していたのでいつ居なくなっていたのかも解らない。
なんか、いつの間にか居なかった。
だからどこでいなくなったのかもわからない。


桐城「へぇ、そんな少人数で」
夢汰「・・・」
桐城「病院ごときで」
がわこ「・・・すみません、すぐ呼びます」


桐城さんのにっこり笑顔。
これは、呼ばないとウチらが逝かされそうだ。
生徒会選挙のときの演説会の時は優しい印象だったと過去の記憶を辿る。
確かに口調は優しい、優しいが何か怖い。

病室から出ようとドアに向かう2人は桐城に呼び止められる。


桐城「ここで電話しなよ」
がわこ「でも病院なんで」
桐城「うん、電話しなよ」
がわこ「…ウッス」


桐城の笑顔が怖い。
マジ怖いかあら目を合わせられない。
夢汰は気にしていないのか普通に電話をかける。
こいつ、慣れてやがる・・・。


夢汰「もしもし、雛志サン?」
悠『はいはい、雛志さんですよー』


電話をスピーカーにすれば皆に聞こえる。
チラッと桐城さんを見れば続けてっと言うようにニコッと笑う。
おぉ、こわい。


夢汰「何処居るの」
悠『背後』
夢汰「ちょ、がわこが確認しちゃったじゃん」
悠『あえての地下だって』
がわこ「適当に言わないの」
夢汰「何処居るの」
悠『寧ろ知りたい』


本人も初めて入る病院なんので今どのあたりに居るのか解らないらしい。
大きい病院だから尚更。


がわこ「悠ちゃん、近くに部屋無いの?」
悠『682号室』
がわこ「何そこ、310号室だよ」
悠『ねぇ、迎えに来ない?』


桐城「それぐらい自分で来なよ」


知らない声が聞こえたからか悠ちゃんが黙る。
まぁ、急に桐城さんが喋ったんだもんね。
そりゃビックリするよ。

悠ちゃんは誰かと話している様子。
でも送話口を押さえている様で聞こえない。


紅夜『どうも、SOMYの司令官やってます。大月紅夜です』
桐城「こんにちは、生徒会副会長の桐城海月です」
紅夜『いつも生徒会にはお世話になってます』
桐城「迷惑かけてる様でね」
紅夜『ホントだよ』
桐城「そこは否定しなよ」
紅夜『嘘つけないんで』


がわこ「嘘だッ!」


電話を指して思わず言っちゃった。
いやいや、だって、かーさんだよ?
そんな毎日がエイプリルフールなかーさんだよ。

電話越しにもダウトッ!!っと言うのが聞こえた。
悠ちゃんが言ったんだろう。
こっちにも向こうにも味方がいないかーさん。

かーさんが悠ちゃんに電話を返した様で声が変わる。


悠『って事で迎え』
がわこ「行かないってば」
夢汰「近いでしょ」
悠『心の距離が遠すぎる』

桐城「ねぇ、サライ歌ってるの誰」
悠『隊長ですよ』
夢汰「走って来いってか」


ガラッと夢汰達が居る病室が開く。


紅夜「どーも、大月紅夜です」
悠「こんにちは。SOMYレンジャーブルーの雛志悠です」













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