SOMYの司令官



ピーッと鳴った。
笛の音で女子かバタバタッと体育館を走り始める。
準備運動の5周の完走を始めた。

標的は大月紅夜。
吹奏楽部部長、学級委員長。
何人かの友人や先生に「かーさん」と呼ばれる。

担当はまたも2年、渋谷勇人です。

体育はA組とB組と合同。
今回は変装をしてB組に混ざることに。
女子と男子の体育は別だが、同じ場所なので怪しまれる事は無いと思って。
それに大月さんは人を覚えるのが苦手だという情報を貰った。
誰にって、まぁ、情報好きな人が知り合いに居て・・・。
とりあえず、B組なら解らないだろう。


これから5周は走るっていうのに、始めから猛スピード。
女子の方を見れば先頭を大月さんと雛志さんが爆走中。
後ろには長門さんと塩宮さんが追いかける感じになっている。

それはその時だけで。

後ろを走っていたハズの長門さんと塩宮さんは大月さんと雛志さんに追いかけられていた。
鬼ごっこをしているようにも見える。
ふざけながらも1番に5周を終えてしまう。


紅夜「疲れたー、もう良いや」
夢汰「(また巻き込まれた・・・)」
悠「はい、深呼吸ッ!」
がわこ「ちょ、痛いッ!深呼吸なのに何で頭突きした!」


4人は床に座り込む。
爆走していた2人も楽ではないだろうな。
まだ準備段階というのに。

座ったばかりの大月さんが先生に呼ばれる。
嫌な顔を隠さずに立ち上がって、先生のところに向かっていた。


男子の方は体力作り。
ちなみに自分は疲れたから見学中。
これでも良いらしい。


紅夜「ドッジボールやろうぜ」
夢汰「バレーボールで?」

紅夜「デュエルしようぜ」
がわこ「他所でやってきて」

紅夜「・・・バレーボールだって」
悠「バレーボールだ!」


SOMYレンジャー4人は他の友人も道連れの試合。
4対4で試合を始めた。


紅夜「がわさん、蹴り上げてでも取れよ」
がわこ「了解っす」
紅夜「雛志、頭突きしてでも突っ込め」
悠「おう、任せろ!」
紅夜「夢汰、お前ボール無視すんなよ」
夢汰「・・・なるべくね」


大月さんが指示と注意をする。
長門さんの返事に不満だったのかジッと見ていたが、試合が始まった。


悠「がわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


ボールは塩宮さんの方に飛んでいく。
早くもなく、遅くもなく取りやすいボールだった。
そして何故か雛志さんが叫んだので男子からも女子からも、もちろん先生からも注目を集めた。


がわこ「よし、任s」
悠「一生俺のタァァァァァァンッ!」


塩宮さんの方に落ちていたボール。
相手コートに返したのは塩宮さんではなく、突っ込んで行った雛志さんだった。
しかも雛志さんは塩宮さんにタックルした。

大月さんと長門さんは爆笑し、力が抜けてしゃがみ込む。
今コートに立っているのは雛志さんだけだった。

笑って呼吸ができなくなっているSOMYだが、相手コートではラリーが続いていた。


悠「隊長、ボール返ってきてますよ」
紅夜「え、えー、じゃあ夢汰トス」
夢汰「はーい」


紅夜「いけどんッ!」


紅夜によってスパイクが打たれた。

ボールは相手コートでバウンド。
勢いが良かったのだろう。
床にバウンドしたボールは高く上がった。



―――ガンッ



天井に当たって方向を変えたボール。


・・・嘘だろ。


自分の方に向かってきた。

自分も友人も慌ててた。
見事に真っ直ぐ来た。


ドンッと落ちたボール。
唖然とする相手チームを放って大月さんがボールを取りにきた。


紅夜「あ、申し訳ない」


笑いながら謝罪したので本当に悪いと思っているのだろうかっと疑ってしまう。
明らかに思って無い感じがする。


紅夜「・・・まぁ、お互い様って事で」
渋谷「・・・お互い様?」


元々居た場所に座り直していたら「お互い様」という言葉を理解出来ず聞き返す。

前に怪我をさせるような事もした覚えがない。
お互い様とは何のことなのだろうか。


紅夜「レポートのこと。じゃあね、渋谷」



・・・見抜かれた。



大月さんを見れば悪そうに笑っていた。
すべてバレていた様だ。


紅夜「今は誰かはわからないけどね。がわさんと夢汰のレポートはやったの知ってるよ」


そこまで知っていれば充分だろう。
多分、他のメンバーも知っている。

大月さんは自分の右手を見ながら少し指を動かしていた。


紅夜「先生ー、右手内出血してる!」


そう言って青くなった右手で手を振ってコートに戻って行った。

教師は慌てて保健室へと指示。
怪我人は随分落ち着いているんだが。


会長、この人達は敵にしちゃ駄目ですよ。
こっちの身が危なくなります。





『大月紅夜について  渋谷勇人,出版委員』


・毎回長門夢汰と席が近い
席が近いので長門夢汰の落書きの音が聞こえて寝れないらしい。
気になるときはとことん気になってガン見する。

・雛志悠と組む
文系が苦手なために、文系である雛志悠と組めば最強だと思っている。

・塩宮がわこが娘
テストが危ない塩宮がわこを家に泊まらせてまで勉強。
強制的に脳に叩き込まれるので苦情を受ける。
スパルタだと言われるがそのつもりはない。

・やる気がない
やる気がないが、やろうとすればきちんとやる。

・骨が弱い
バレーでスパイク、バスケではボールをキャッチして打撲。
年に1回は骨を怪我している。

・愛故に
とりあえず愛故にだと言って何とかしようとしている。
愛が痛いと怒られる。

・猫バカ
猫を3匹飼っていて、1日1枚は必ず写真を撮っている。
猫の可愛さについて語る。











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