SOMYのホワイト



「起立、礼〜!」


週番の号令。
礼をして座る。

大月さんと雛志さんは着席と共に寝る体勢。
長門さんは着席と共に絵を描き始めた。
この授業は真面目に取り組まない様だ。


さて、1日目。


1番最初で本日の標的は塩宮がわこ。
通称、塩。
吹奏楽で文化委員長。

他の生徒からは「いつも食べている」という印象。
食べてるのに細いから消化が良いんだろうけど。
ほかの情報としては数学では落書き。


そして本日のレポートは生徒会会計で2年C組渋谷勇人が担当。
各クラスの出版委員会も手助けしてくれるみたいだけど。
何か信用ならないんで・・・。


「えー、コレがコレでこうなんで。はい、こうなります」


只今自分はは変装して3年A組に居る。
実は変装が得意で。
小さい頃からやってたら簡単に出来るようになったんだよ。
紛れることはとても簡単なのだが、生徒が1人増えたの何も言わないこのクラスが怖い。
教師や出版委員会は知っているんですがね。

それより何ですか適当過ぎるこの先生は。


渋谷「(寝てもないし、落書きもしてない・・・)


SOMYレンジャーで唯一起きている塩宮さん。
寝ようという素振りも無く真面目に説明を聞いていた。
もしかしたら1番真面目なのかもしれない。

気がついたことをまとめる為にルーズリーフに書いていく。
今日の標的は塩宮さんだが、他のメンバーの気づいたところもメモしなければいけない。
レポートなんて簡単に言うが、まとめるのは結構大変。
今日提出だから。



―――バタバタバタンッ



急な音に心臓が大きく波打った。


何かが落ちる音なのは解った。



見れば塩宮さんの机の上に文庫本が錯雑している。
数秒、硬直したかと思えば一息ついて指を鳴らしてから文庫本を立て始めていた。


自分が観察していなかった時に何があったんですか。


しばらくジッと見る。
一体塩宮さんは何をしていたんだ。


ジッと見ていて気がついた。
自分に向けられている視線があることに。

自分に向けられていると感じた視線は長門さんからだった。
まさかバレた・・・?
自分と目が合って数秒、何事も無かったかのように再び絵を描き始めた。

生徒が1人増えているのがバレたのかと思った。
ってか普通解るハズなんだが。


視線を塩宮さんに戻す。


渋谷「(・・・文庫本でピラミッド!?)」


注意しないのかっとキッと教師を睨めば目があった。
伝わったと思ったが笑顔で頑張れとでも言うのか手を振ってきた。


渋谷「(何て呑気な・・・!)」


気がつけば早いことに塩宮さんの文庫本ピラミッドはあとてっぺんだけ。


生徒が静まり、ピラミッドに注目していた。



―――バタバタバタンッ



また倒れた。

しかも倒れたと共に挫折したらしい。
塩宮さんまで机に伏せて寝る形になってしまった。
周りの生徒から「ドンマイ」や「まだ時間はあるぜ」っと励ます声が聞こえる。
可笑しい気がするのは自分だけでしょうか。


「―――はい、塩宮さん。この問題解いて」

がわこ「・・・解りません」


そうだろう。

教科書の1冊も出していないのだから。
見たからにだと文庫本が机いっぱいにあるだけだった。


「じゃあこれ日本文に直して」


状況を知っている先生。
それでも答えてもらうのは塩宮さんらしい。
嫌々に顔を上げて黒板を見る。

ピラミッドが崩れたのがとてつもなくショックだった様。
すべてのやる気が無くなっていた。


黒板に指された英文を目で追い、自分の頭の中で日本文にしている。

黒板を見ながら黙っていたと思えば口を開く。


がわこ「・・・鳥は揚げています」


渋谷「(・・・!?)」


3年はどんな問題をやっているんだ。
何で鳥がから揚げにされる英文書いているんだ。


「はい、ありがとうございます。・・・あとね、塩宮さん、2人を起こして欲しいんだけど」


2人というのは授業始めから寝ている大月さんと雛志さんのこと。
1回も起きてない素晴らしい睡眠力。

頼んできた教師の言葉には塩宮さんが無言で首を横に振る。
諦めてとでも言うかの様に。


がわこ「起こしたら後か怖いんで」


怖いらしい。

何回か起こしたことのある様で、本人が言うには寝起きが悪いらしい。
何度も頼む先生をよっぽど嫌なのか断り続ける。


がわこ「かーさんなんて“馬鹿”って言っただけで殺る気だし。悠ちゃんなんて理不尽が更に理不尽だし」


SOMYレンジャーホワイトは苦労人の様だ。
そしてヘタレなのが解った。


「・・・大変ねぇ」
がわこ「そうなんです」


そういって再び寝る態勢になる塩宮さん。
もうやる気が無くなっているのは嫌でも良く解った。



そして終了のチャイムが鳴ったところで気がつた。


・・・この人寝れてない。


再び週番による号令。
この時には寝ていた奴が起きていた。




『塩宮がわこについて  渋谷勇人,出版委員』

・大月紅夜を怖がっている
「かーさん」っと呼んでいるが、普通に言った言葉にもすぐ謝罪するなど。
大月紅夜が立ち上がっただけでビビる

・長門夢汰への舌打ち
抱きつかれると脇腹が弱いのか何なのか、とてつもない速さでの舌打ちが行われた。
舌打ちは無意識のようだ。

・雛志悠に叩かれる
隣に立っていただけ、雛志悠の気分で叩かれていた。
やり返そうと試みるが逃げる。

・休み時間にお菓子
消化が早いらしく、休み時間には毎回違うものを食べていた。
主に塩。医者に塩を控えるようにと言われているらしい。

・ミルクティーの消失
パックの自販機からミルクティーが無くなり、自販機を蹴るという形で不満をぶつけていた。

・文庫本ピラミッド
授業中に行われる。
あまりにも暇だと行うようで、成功したことは一度もないらしい。
再チャレンジして結局は挫折をしている。

・プリントの落書き
よく解らない生物が生み出されていた。
よく見ればよく解らない生物のキーホルダーをつけるなど。
良く解らなかった。





放課後、2年の教室に戻って今日のレポートのまとめをしていた。
変装もしてない。
普段通りの自分の姿。



がわこ「ん?何してんの?」



ヒョイッと塩宮さんがドアから顔を出していた。


がわこ「前に事務所に来た渋谷くんだよね?」
渋谷「はい、そうです」
がわこ「放課後に教室に居るだなんて、どうかしたの?」
渋谷「・・・何でも無いです。塩宮さんは?」
がわこ「見回り」
渋谷「・・・見回り?」


聞き返せばSOMYレンジャーの仕事。
交代で放課後の校舎を歩き、戸締りや残っている生徒に帰るように呼びかけているらしい。
元々は教師がやっていたことだが、忙しい時は代わりにやっているそうだ。

話しかけてきたのも見回りの1つだろう。


渋谷「見回り中にヘッドフォンしてるんですか?」
がわこ「ん?・・・あぁ、これはね。SOMYが仕事するときにつけるんだよ」
渋谷「仕事中に・・・?」
がわこ「戦闘服は制服とヘッドフォンだからね」


決めポーズをされた。
制服は戦闘服だそうだ。


がわこ「んじゃ、ウチは行くよ」
渋谷「はい、じゃあ」

鞄を持って廊下に出る。

生徒会室に行く為に塩宮さんの隣を抜ける。




がわこ「レポートのことは他の生徒会さんに言わないでおいてあげるよ、渋谷くん」




すぐさま後ろを見れば塩宮さんはもう遠くを歩いていた。













bkm
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