SOMYと双子2



Hello、雛志悠です。
まさかの初任務が赤ちゃん相手だったんです。


事務所と言う名の勝手なたまり場に向かうがわと私。
赤ん坊の世話を頼まれたけど一応学生。
だから交代で授業には出た。
そこらへんが真面目で良いとこ!

4人でサボれば良いとか思うけどね、単位や成績がある。
今年は受験生だから気が抜けない。

そして昼休みになったので午前の授業を終わらせて事務所にに戻る。


依頼の赤ちゃんは双子。
だから2つの声が聞こえたのかっと納得できた。
もしかしたら赤ん坊の双子を間近で見るのは初めてかもしれない。


がわこ「お昼だよー」
悠「只今戻りましたー」


ガチャっとドアを開ければ足に衝撃。
叫びに出そうなこの気持ちを押さえ込む。

この赤ん坊は何故か私の足にしがみつく。


助けを求めようとキョロキョロする。
前を向けば隊長と夢汰が何やら片づけをしていた。
赤ん坊にご飯をあげ終わったんだと思う。
長女組のこの2人は妙に慣れている。


「うーぅ!」
悠「ちょ、足から離れてよ」


足に抱き着く女の子。
まだフラフラして危ないのにしがみつく力は強かった。
足もげる。


夢汰「雛志、もう1人も回収しない?」


床に座る夢汰の腕をグイグイ引っ張る男の子。
このままだと袖がちぎれてワイルドになってしまえ。

きっぱりと、私は正直に真顔で「嫌だ」と答える。
1人で充分過ぎる。
むしろ1人で充分困ってる。


悠「Don't touch me!!」
「ぅーあっ!」


もちろん赤ん坊には伝わっていない。
足にしがみついているままだった。
だけど返事のように足への力が増した。
もしかしたら通じてるかもしれない。
天才なのかもしれない。

足から離したいが離れてくれない。
無理矢理だと泣かれたら面倒。
だから無理に引き剥がすことができない。


がわこ「可愛いなぁ」
悠「がわ相手すれば良いのに。赤ん坊剥がして」
がわこ「赤ちゃんとの接触経験が少ないの!」
悠「接触経験とか何ぞ」


唐揚げうめぇっと騒がしいのに普通に昼飯を食べる隊長。
何先食ってるんだっとがわが昼を用意し始める。
待て、私も食べたい。
食べたいけど動けない。


悠「がーわー」
「うーぁー」


私ががわを呼ぶと女の子も同じようにがわを見ながら話す。
足に女の子が抱きついている為上手く動けない。
少しずつなら動ける。
でもなかなか進まない。

夢汰は器用に男の子を連れて昼飯食べている。


がわこ「2人して呼ばないで」
紅夜「共鳴率120%」
悠「ワオ」


女の子は私の苦労を知らないで笑っているだけ。
そうだ、絶対解ってない。
寧ろ面白がってるんじゃない?


紅夜「やべ、赤いタコウィンナーだ」
がわこ「ハムうめぇ」
夢汰「イチゴむっしゃむっしゃ」

悠「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


抱きつかれていない足をバタバタガタガタ。
女の子はビックリしたみたいで足にしがみつく力を強める。
ギリギリッと足が締め付けられる。
痛い、痛い。


夢汰「あ、雛志。泣きそうだよその子」
悠「え、ちょ、マジだ。助けろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


大声で助けを求める。
でもその大声が泣かせる原因だったらしい。
らしいじゃない、これが原因なんだ。
私が見れば目に涙を溜め始めて今にも溢れる感じがした。


紅夜「しょうがない、司令官がその子を預かろう」
悠「ありがとう隊長ッ!」
紅夜「いや、だから隊長じゃないんだけど」


あーどっこらっと言いながら隊長が立ち上がる。
そして慣れた様に女の子を抱きあげていた。
隊長に代わって私が食べる準備をする。


がわこ「ちょ、ヘッドフォン引っ張んないで!!」
「・・・う?」
夢汰「塩宮ドンマイw」
がわこ「うあああああああああ」
夢汰「もっといけ!」
「あぅっ!」
がわこ「ぎゃああああ」
悠「その子にがわのヘッドフォンあげるしかないね」
夢汰「次期ホワイトか」
がわこ「いやいや、ウチはまだ現役だよ」


弁当をもぐもぐ食べるがわ。
先程はお菓子を食べていたのに良く食べもんだ。
どうやら消化が早いらしい。

がわのヘッドフォンを引っ張っていた男の子は立ち上がる。
そしてフラフラと移動をし始めた。

隊長に抱っこされていた女の子も歩きたがるように足をジタバタし始める。
それを見た隊長は床に下ろす。
女の子は床に座り、手をバタバタさせる。


夢汰「そういえば2人の名前は?」
紅夜「アレ…?何だっけ?」
悠「キリンちゃんとレモンくんだよ」


私の目の前にはキリンレモンが置いてあった。


紅夜「サチコとジョンだよ」
がわこ「何処の人」




―――ゴンッ




急に聞こえた鈍い音。


驚いて音がした方を見る。



「うっ……うぁっ」


男の子が歩いていて頭をぶつけた様だ。
話に夢中になっていたから男の子まで見ていられなかった。

がわがすぐに男の子に駆け寄る。
少しでも痛みがなくなるようにぶつけた頭を撫る。


「うっ…、うわぁぁぁぁん!!」


ついに泣いた。
男の子の声にがわこと女の子がビクッと肩を揺らしてた。
女の子はだんだんっと目に涙がたまっていく。


「ふぇっ…うわぁぁぁぁん!」


紅夜「あー、よしよしドウドウ」
夢汰「ちょ、馬扱い!」
がわこ「放課後までとか無理」
悠「この2人、超不協和音」













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