面が良いから仕方ない! | ナノ

セカンドどころかサードまで持ってかれる

ぼへぇーと頭の上に出ている気がするくらいにはぼへぇーとしている。歯磨きしなきゃ・・・。にゅーっとチューブから歯磨き粉をだして歯磨きにのせて口まで持ってった。目の前の鏡に映ってるわたし寝癖やばくね?どうやって寝たらこんなボンバヘッになるの?まあ赤ちゃんのころからこうだから仕方ないわ。アルバムの写真大体爆発してるもんな。個性かと思ったって親に言われたくらい個性的な頭だったんだわ。ちゃんと整えたらちゃんとなるから世の中よく分からないね。
よくわからないといえば、轟くんだよ・・・。あれは天然記念物だからああなの?この前のデートは控えめに言っても完璧だったと思う。女子なら完璧にイチコロだよ。服のセンスまで仲のいい緑谷くんを真似てたらどうしようかと思ったけど、Tシャツって書いてある服じゃなくてほんと良かった。というか国宝だったもんね、あの時ハート撃ち抜かれてたおばあちゃん元気かな・・・。お昼は奢ってもらっちゃったし、なんか欲しかったネックレスもプレゼントされてしまった・・・。全然轟くん折れないから受け取るしか無かったけど、なんか勿体なくて付けれない・・・。いつか返したい。とりあえず飾って見てるけどめっちゃかわいい。でも絶対返す。問題はプレゼントされたその後だよ。轟くんに、き、き・・・ワァァァア!!!恥ずかしくて思い出すだけで爆発しそう!!!歯磨きをする手にも力が入ってしまう!!ジャカジャカ磨きすぎて若干歯茎が痛い気がする!
というかなんでキスした?!ふぁ、ファーストキスだったのに・・・!というか轟くんもファーストキスなんじゃないの?!?!なんでこんな腐女子に!!猛獣とするんじゃないのか!!!
なんでも本の通りにやればいいって訳じゃないんだぞ!!ちゃんと言わなきゃ・・・!しかもあれ告白前のお出かけの練習なのに告白すっ飛ばしてキスしてどうすんねん!本人はなんであのあとケロッとしてんの????

「名前ちゃんめっちゃ気合い入れて歯磨きしてるところ悪いけど、それ洗顔料だよ・・・?」
「・・・どうりで変な味だと思ったよ」




朝ごはんはおいしい。ごはんはおいしいんだ、何があっても。今日は焼き魚とお味噌汁とご飯と小鉢2つ。めっちゃ素敵な和食だー・・・。洗顔料で歯を磨いたことなんて忘れられるくらいおいしい。轟くんにキスされたことなんて忘れられるくらい・・・いやそれは流石の和食でも無理だわ。ってごはんに舌鼓を打ってる場合じゃないの。いまは斜め前に座っている爆豪くんを見るのよ名前。ガン見するとバレるからチラチラとお魚を解しながら見てみる。爆豪くん朝から眉間のシワえっぐい。ドンパチやったのかな?遠くの緑谷くんめっちゃぼろぼろだし。しかしお魚めっちゃ綺麗に食べてるなー・・・。

「苗字、おはよう。隣いいか」
「・・・へ?」
「?おはよう。隣いいか」
「あ、おはようございます・・・、ど、どうぞ自由席なので」

誰かに声かけられたなと思って振り向いたらファーストキスくんだった。ん?いや、轟くんだよ。なんだよファーストキスくんって!!印象持ってかれすぎだよ!!というか朝からめっちゃ面が良い!眩しい・・・ッ!太陽の光すらも凌駕する眩さ・・・!!

「じゃ、なくて!」
「お?」
「あ、いえ、こちらの話です・・・」
「そうか」

思わず口にしたことに丁寧に反応してくれる轟くん、いまはこちらの話と言ってしまったけど、君に話があるんだよ!!主にこの前のデートのことについて!!
いえ、言うんだ名前。あ、まてよ、ここじゃ公開処刑じゃん。


「と、轟くん」
「どうした」
「あの、今日ちょっと時間ある?放課後」
「ああ、問題ない」

そっと轟くんの方に顔を寄せて話しかけると、轟くんも聞き取るためか寄せてきた。ウワッその顔で近づくな心臓がドギマギしちゃうじゃん

「ちょっと話したいことあって」
「わかった。教室でそのまま話すか」
「いや、ちょっと・・・人前では・・・」

あなたの恋の話であったりキスの話であったりするから人前だと話せないよ!轟くんの恋はわたしにとってはそれはもう素晴らしいものだけど、他の人からだと好奇の目に晒されちゃうかもじゃん・・・!世の中色んな人種がいて面白おかしく言いふらす奴もいるんだから!これは小学校の時に好きな人バラされた挙句嫌がらせされたわたしの体験談ね。

「そうか、2人きりのほうがいいんだな」
「ウン・・・?まあ、そうだけど・・・」
「俺も2人きりがいい。俺の部屋でいいよな」
「ンンッ・・・ああ、ハイ・・・。大丈夫です・・・」

近くで微笑みながら話す轟くん。いやこの距離で微笑まれると心臓にダイレクトアタック食らって場外に吹っ飛んじゃうから。なんとか咳払いで誤魔化せたけど、誤魔化せてなかったら口から心臓出てきてたわ。やけに2人きりって強調して聞こえたけど、気の所為だよね。というか2人きりじゃないと困るもんね。ウンウン。

話し終わって引き続き爆豪くんをチラチラ見るのを再開する。ウッワ魚ってあんなに標本みたいに骨残せんの?!育ち良〜〜〜〜!!!

「さっきからチラチラうっせぇぞ赤目!!!!死ね!」
「育ち悪!!!あ、声に出ちゃった」
「はァ〜〜〜〜!?!?いい度胸してんなァ・・・!!表出ろや・・・!」
「出ません・・・!!学校行く時だけ出ます・・・!」
「爆豪、赤目じゃなくて苗字だぞ」
「テメェはすっこんでろ半分野郎!!」

轟くん!!朝から爆豪くんとお話出来て良かったね・・・!!わたしはこの後忍者のように学校行かなきゃ行かなくなったけど結果オーライ・・・!でも爆豪くんと話してる時の視線痛かったけど、嫉妬かな・・・!!嫉妬だね・・・!!ごめんねたくさんお話して!!というか会話を取り持った(?)わたしマジキューピット。








「と、轟くん、」
「焦凍」
「とど」
「焦凍」
「焦凍、くん・・・あの、近いんですが・・・」
「?近くなきゃキス出来ねぇだろ」

背中には壁、前には轟くん。横には轟くんの手。・・・あれ、どうしてこうなったんだっけ・・・?

落ち着いて、思い出そう。まず忍者のように学校に行ったおかげで爆豪くんとのドンパチは避けられた。代わりに緑谷くんがまた犠牲になってた気がしたけどたぶん気の所為。あしたお菓子あげるね。
で、問題なく学校は終わって、寮に戻ってきて部屋着に着替えて、轟くんの部屋からバイブルたちを回収するための大きめのトートバッグを持って、轟くんの部屋に来た。うん、そうだね。
それで「そこ座って待ってろ」って言われて冷蔵庫からりんごジュース出してくれるのを後ろから見て部屋の中のバイブルをキョロキョロと探したわけだ。うん。
そして愛しのウスイ=ホンを壁際に見つけて、そこに近寄って本を手に取ってたら、なんか急に暗くなった。
顔を上げたら轟くんがいて、今に至る。
・・・・・・・・・?????なんで今に至る??
てかキス??今キスって言ったの??

「キキキキス?魚の??天ぷら美味しいよね」
「?ああ、美味いな」
「いやそこは違ぇって言えよ!!」
「?違ぇ」
「真面目か!!」

天然凄すぎるよ〜〜〜!!!!冗談通じないよ〜〜〜!!ツッコミどころ満載すぎて突っ込む手をとめられないよ・・・!

「と、とととりあえず一旦おお落ち着こう」
「俺は落ち着いている。」
「ソウダネ・・・」
「じゃあキスするな」
「待って!!!!!お願いだから待って!!落ち着いて一旦離れて!!」

わたしの必死の形相が効いたのか、轟くんは壁から手を離して目の前に座り直してくれた。とりあえず轟くんのご尊顔が離れたから安心だわ・・・至近距離で良すぎる面を見すぎると体に悪いからね。あのおばあちゃんだったら間違いなくもう天国行ってるわ。

話がそれたけど、轟くんはわたしにキスをしようとしていたのか・・・?懲りずに?!

「轟くん、」
「焦凍」
「・・・焦凍くん、なんで、キスなんか」
「したいから」
「練習を?!そんなに?!」
「練習・・・練習・・・。うん、練習。」

顎に手を当てて考えながら練習と呟いて、1人納得したのか練習したいと言う轟くん。そうか、練習したいか・・・。そりゃそうだよね、キス下手だったら嫌われちゃうかもしれないもんね・・・。

「じゃなくて!!」
「お?」
「告白もお付き合いもしてないのに急にキスの練習は順番がね!」
「そうか」
「この前もそうだよ!デートの終わりにき、キスしたけど、あれは告白前のお出かけデートだったんだから急にキスしたらダメなんだよ!」
「そうだったか。本に描いてたやつはもう付き合ってたんだな」
「そうだよ!ちゃんと読まないと・・・ね・・・?お付き合いするにあたって順序って大事だよ!」

相手はあの猛獣なんだよ?!急にキスしたら地球の果までぶっ飛ばされるよ!!轟くんのご尊顔に爆破がめり込むよ!!そんなのわたしが嫌!!おばあちゃんだって嫌だよ!!
ぶっ飛ばされる轟くんを想像して顔を顰めていると、急に真面目な顔をした轟くんが

「名前好きだ。付き合ってくれ」

・・・?(宇宙猫顔)

「名前、返事は?」
「ゑ・・・?」
「告白したぞ、付き合ってくれ」
「え、ちょ、ま・・・マ!!」

そんなキリッとしためちゃくちゃかっこいい顔でこ、告白・・・?!コクハク!?ツキアウ!?
ア、練習だ!!!

「告白の練習急すぎるよ!!!ビックリしちゃうじゃん!!」
「練習・・・、まあ、練習でいい」
「めちゃくちゃ顔がいいからすぐ頷きそうになったけどダメだよ!!告白はムードが」
「ダメなのか?」

捨てられた子犬(必殺技)を出すな!!!

「ウッ・・・、ほ、ほら、告白って大事だよ・・・!ちゃんと告白しないとぶっ飛ばされるよ!」
「俺はぶっ飛ばされんのか」
「確率的にぶっ飛ばされることはあると思う。」
「そうか・・・」

ムード、と呟いてまた顎に手を当てる轟くん。
び、びっくりした〜〜〜〜・・・。急にす、好きとか言うから・・・。時間差で心臓バックバクしてるわ。言われた時は理解できなかったけど時間経つとめちゃくちゃ効いてくる。ステータス異常:毒かよ。ちゃんと事前に「今から告白の練習するな」って言ってよ・・・。心構えが必要じゃん?良すぎる面を見つめる心構えとかさ。

「名前」

心做しか呼ばれる名前が甘い感じがする。呼ばれて轟くんを見るとまためっちゃ真剣な顔してた。ウワ顔が、顔が良すぎる・・・!
おもむろに手を動かして、わたしの床に置いていた手の上に重ねてくる。・・・?
もう片方の手も、顔に添えられて

「名前、ずっと好きだった。」
俺と付き合って欲しい。


テレビなら1カメ、2カメ、3カメと様々な角度から映し出されていることだろう。わたしのぽかんとしたアホ面が。
て、いや・・・好きって・・・ずっと好きだったって・・・、いやこれは練習・・・練習・・・!練習なのに、めっちゃ恥ずかしくてもう首からギャーーッと顔が赤くなってく気がする。ウワ〜〜〜!!!!

「どうだった?」
「へ、」
「ムード。これならいい返事もらえるか?」
「あ、あ、う、ウン、そだね、」
「告白の返事は?」
「は、ハイ・・・・・・。」
「・・・これで恋人同士だな」

その面で微笑むのやめろ〜〜〜〜!!!!落ち着け!!!落ち着けわたし!!!これは練習!!!!
わたしは爆豪!!爆豪勝己!!!

「こ、この俺を好きなんざ」
「あ、そういうのは大丈夫だ。普通にしてくれ」
「あ、ハイ」



晴れて恋人同士になったわたし(猛獣役)と轟くん。轟くんは告白の練習が上手くいって嬉しいのかニコニコしてりんごジュースを飲んでいる。わたしはやや疲れた顔でりんごジュースを頂いた。時計を見るとまだ部屋に来てから30分も経ってない。ウソ?!めちゃくちゃ濃い時間だったな?!?!体感で3時間は経ってたわ!!!

「名前」
「はい」
「俺たち恋人同士だな」
「ウッ・・・、う、ウン。ソダネ・・・」

轟くんの恋人ムーヴキッッッツ・・・。的確に急所狙ってきやがる。テーブルに肘を着いて手に乗せた顔を微笑みながら傾げるとか直視しちゃったからこの後死ぬわ。かっこよすぎてむり。まだ美術館に帰らないの??はよ帰れ

「名前は俺のこと好きか」
「ゑ」
「ほら、仮にも恋人同士なんだろ」
「えっと、その、あの」
「・・・好きじゃないのか?」

ヤンキー!!!ヤンキーの子犬を拾う動きが早すぎて見えない!!!

「・・・す、、すき、です・・・」

もういっそ殺してくれ・・・。

「そうか」
「う、ウン・・・」
「じゃあキスしていいよな」
「はァ?!」
「?」

え?ダメなの?みたいな顔でこっちを見る轟くん。なんでキス?!魚の?!魚の鱚をするってモノマネ?!
轟くんのモノマネ角度が急すぎてみんなにヒットしないかもよ・・・?

「告白して、恋人同士になったからキスしていいだろ。順番は守ってる。さっきそう言ってた」
「た、たしかに!」
「それに練習しないと。俺はキス下手かもしれないから」
「そ、そんなことないと思うんだけどナー!ほら、この前した時上手だったって!!」
「1回じゃわからねぇだろ。まぐれかもしれねぇ」

たしかにキスしたこと覚えてないから上手かったかどうかはわからない・・・!けど、轟くんジリジリこっちに近づいてくるのやめて!!わたしもジリジリ下がっていくしかないじゃん!!
轟くん落ち着け・・・!わたしも落ち着け・・・!!あ、壁。前に轟くん、横に置かれる手。
振り出しに戻ったな???

「しょ、しょうとくん・・・」
「・・・ダメか?キス。してぇ」
「どんとこい」

面が良すぎると何も考えられなくなる。これ知恵袋ね。

轟くんの手が壁から離れて、わたしの顎をそっと掴んだ。あ、顎クイ・・・!!!高度なテクニック!!!
轟くん顔近!!!うわ肌めっちゃ綺麗。きめ細かすぎる。女子として負けた感じする。鼻筋も整ってて目の色綺麗〜顔小さ・・・。髪サラサラじゃん・・・。

「そんなにガン見されると照れる」
「ごめん、あんまりにもかっこよくて」
「そ、そうか・・・。目、瞑ってくれ」

つい率直な感想を述べると轟くんは少し照れたように頬を染めた。ウワッッッ心臓持ってかれるッ!!
たしかにガン見したままキスはわたしの精神衛生上も良くないね。よし、こい・・・!!

「名前、好きだ」
「ひぇ、ッん」

こいと言ったな、あれは嘘だ。
だ、誰が好きって言ってからキスしろなんて言った〜〜〜〜!!!本か?!本に書いてあったんか?!?!
てか轟くんの唇柔らかっ!!え?!今キスしてる?!わたしの心の声うるさすぎ?!いや喋ってないと死ぬから!!!ワーーー!!!キスしちゃってんのか〜〜〜〜!!?

「っは・・・」

唇が離れて、やっと息を吸い込んだ。何秒もしてないのにめっちゃ息止めてた。頭が混乱してたから尚更苦しかったわ。目を開けたら轟くんの顔が・・・ウッ、面が良すぎる・・・!!うわ、わたしの(仮)轟くん、かっこよすぎ・・・?

「・・・しょ、っんん?!」
「ん、」

話しかけようと思ったらまたキスされた。な・・・何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった・・・いやキスされてんだわ。
・・・は??セカンドどころかサードまで?!

「んん、っふぁ」

自分の口から漏れる声が気持ち悪!!!わたしこんな声出たんか!!!てか轟くん睫毛長・・・じゃなくて!!
さっきとはまるで違うキスに頭の中で使徒が暴れ始める。さっきは触れるだけだったのに、か、角度を変えたり、下唇ハムハムされてるんですけど?わたしのくち食べ物違うよ!!もう少しで夕飯だもんね!!お腹すいたかな?!?!(混乱)
てか息が!!息が続かない!!死ぬ!!物理的に死ぬ!!
息苦しくて轟くんの肩あたりを押したり叩いたりすると、やっと離れていった。酸素が勢いよく肺に入ってきて少しむせた。解せぬ。

「っは、はぁ、」
「・・・」
「ま、まて!!焦凍くん待て!!」

息を整えていると、また顔を近づけてくる轟くんにステイをした。こいつ、また・・・?!

「?なんでだ」
「いやなんでって」
「俺はもっとキスしたい。」
「すげえ直球」
「俺キス下手だっただろ。練習しねぇと」
「いや!!上手だった!!!めちゃくちゃ上手だったから!!もうメロメロなくらい上手かった!!」
「じゃあもっとメロメロにするからキスしよう」
「は?!ちょ、まっん、しょ、んん、んんんー!!!!」




『次回予告!』
轟だ。名前は息が切れてるから代わりに次回予告をする。今回めでたく名前と付き合うことが出来た。名前はなんか変な勘違いしてるっぽいがまあそのうち解けんだろ。練習?名前と名前がいいと思う恋人になるには必要だろ?本人で練習するとすぐ評価して貰えていいな。
次回「ディープキスからの・・・」デュエルスタンバイ!・・・でゅえるってなんだ?


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