面が良いから仕方ない! | ナノ

緑谷出久の陰謀

はい、前回に引き続き僕が司会進行を努めさせていただきます。緑谷出久です。よろしくお願いします。
今回のMISSIONは苗字さんに何とかして謝りたい轟くんのためにかっちゃんを掻い潜り苗字さんに接触、何とか宥めて轟くんとの時間を作り仲直りさせることです。MISSION名は『俺が全て悪かった。だから帰ってきてくれ〜かっちゃんを添えないで〜』です。
ちなみにこのMISSIONの成功報酬は地獄のような轟くんの相手をしなくてよくなること、失敗は僕の死です。よろしくお願いします。

いやよろしくお願いできない!!!!!死にたくない!!!でもさっきあんなに重い肩ポンくらって分かってしまった・・・本当に失敗したら明日を迎えられない可能性がある・・・!
だからなんとしてでも、僕は2人を仲直りさせないといけない・・・!!そう、最悪上辺だけでもね!!!轟くんには悪いけど苗字さんがガチで怒り散らしててもう轟くんなんて無理とか言われたら袖の下を使ってでも上辺だけの仲直りを提案させていただく・・・!

とりあえず前半チームはいまやることないし海で泳いだり砂浜で遊んだり屋台に食べ物買いに行ったりしてた。僕はと言うとパトロール中の苗字さんを捕まえるのは気が引けるので、僕のパトロール中にフリータイムの苗字さんに接触するという作戦にした。うん、いけるきっと・・・!僕が苗字さんを懐柔している間は轟くんに2倍パトロール頑張ってもらえばいいだけだもんね。轟くんも苗字さんとの仲直りがかかってるから絶対NOとは言わないでしょ。

件の轟くんは何をしているかと言うと、僕の隣でぼーっと海を眺めてます。男2人パラソルの下海を眺める絵面よ。でも轟くんがイケメンすぎて輝いてるから水着の女性が何人もチラチラみてアピールしてきてる。僕なんて眼中にもないね。むしろ轟くんの輝きのせいで僕って見えてないのかも??後光が重なってるのかな〜!
話しかけてくる女の人もいたよ!!相変わらず僕は見えてなかったけど・・・。

「あの、お兄さん暇?よかったらわたしと少し遊ばないかな?」
「・・・」
「あれ?聞こえてない?お兄さーん!」
「あの、」
「あっ、よかったきこえ」
「邪魔なんでどいてもらっていいですか」
「えっ」
「えっ」

僕と水着美女の声が被った。え?轟くんいま邪魔って言った??海見てただけだよね・・・?え?違う??
水着美女も困惑しちゃってるじゃん!!

「え、えっと、海見てるの?わたしも一緒に見ようかな」
「・・・」
「あの」
「・・・」

えっなに・・・・・・?轟くんどうした・・・・・・?目の前のお姉さんガン無視じゃん・・・。隣に座ろうとしてるお姉さんもどうしたらいいか困惑しちゃってるよ・・・?
え、轟くんそんなに海見るの好きだったの・・・??
あ、轟くんふんわり笑った・・・!!うわかっこいい・・・!!!隣のお姉さんも撃ち抜かれてる!!!!え?海そんなにふう笑う要素ある?!?!
轟くんの見てる方を見ると海がって、あ、苗字さんじゃん!!!!
パトロール中の苗字さんいた!!!犬かき上手だな・・・。あ、犬かきなんて言ったのバレたら本人に怒られるからこれは内緒にしておかないと。でもあの「犬じゃないもん!」って怒ってるのかわい、いやいやいやなんでもないですなんでもないので何かを察知したようにこっちを見ないでください轟くんん。

「あ、あの、お兄さんはこの辺の人なの?」
「いえ」
「そ、そうなんだ!わたしはね」
「そうなんすか」
「友達と来てるってことは、恋人とかは募集中だったり?」

僕のこと見えてた!!!!友達って!!!よかった僕存在してるよ!!
存在を許して貰えた感動で涙がこぼれそうになっていると轟くんが初めてお姉さんの方を見た。うわあのイケメンと目が合うとかやばすぎない?お姉さん耐性ないでしょ・・・?僕達だってウッってなるのに・・・それで行くと苗字さんってすごいな、この轟くんとキ、キスとかしてるんだもんね?!

「恋人います」
「えっ、そ、そうなの?」
「はい、恋人いるんであんたに割いてる時間ないです」

し、辛辣!!!!!え、轟くんてこんな歯に衣着せぬ言い方する?!?!あ、この前の先輩のことがあったからかな?!?!あの時も控えめに言ってやばかったもんね!!学んでる・・・!!!自分への好意に気付いてるかはわかんないけど、他の人を構ってる時間にかっちゃんに持ってかれる可能性があんのに気づいたんだ・・・!!!


「い、いやー轟くん大人気だね」
「よくわかんねぇ」
「そっか・・・」

真顔で拒否られたお姉さん真っ白になって無言で去ってった。そりゃ結構美人でス、スタイルも良かったし上鳴くんと峰田くんなら喜んでついて行ってしまいそうな人だったから余計にショックだったんだろうな・・・。多分人生で邪険にされたことないタイプだよ。こんなイケメンに袖にされたらショックだよね・・・。

「あっ、そ、そうだ、苗字さんは海上パトロールの担当なんだね」
「みてぇだな。まあ名前なら海上でも砂浜でも問題ねぇだろ」
「たしかに!苗字さんの個性なら海でも陸でも森林地帯でも氷山でもどこでも順応できそうだしむしろ冬とか氷とかに強いもんね足の速さも引けを取らないしフィジカル面においても身のこなしも軽やかででも1発1発が重いしそこに爪が加わってなおさら攻撃力が増してブツブツブツブツ」
「なんかヒーローのことまとめてるノートあるんだろ?名前のページもあんのか」
「もちろん!!クラスメイトの事もしっかりまとめてるよ!!」
「今度見せてくれ」
「いいよ!!」

そういって轟くんはまた海に視線を戻した。それにつられて海を見る。あ、苗字さんが蛙水さんと楽しげにパトロールしてる楽しそうだなあ苗字さんって本当に蛙水さんのこと好きだよね・・・もう懐き方が半端ないもんね。蛙水さんも一種の飼い主というか、群れの仲間というかそういう感じなのかな。うーん苗字さんがどこまで個性に引っ張られてるかはわかんないけどまあそんなに重要なことじゃないよね。蛙水さんは大事な友達、わかんだね。

「蛙水はいいな」
「ん?」
「いつも楽しそうな名前を間近で見てられる」
「う、うん」
「羨ましい」

と、轟くんでも人を羨ましいって思うことあるんだな・・・。まあ最近は話せてないから話せてる人みんなの羨ましいというか恨めしいという視線で見てたか。まあなんかよく分からないけど(多分)付き合ってるのを内緒にしてるくらいだから部屋では一緒にいたりするんだろうけど、轟くんはきっと蛙水さんみたいにいつでも一緒にいたいんだろうな・・・。もう苗字さんを見る視線が語ってる、めちゃくちゃ好きって・・・。

「ほ、ほら、お付き合いしてるんだよね?」
「ああ」
「じゃあ蛙水さんに見せないような顔も轟くんは見れてるんじゃない?」
「・・・」

『しょおとくんっ!(はぁと)』『ばかぁっ(はぁと)』『かっこいい・・・!(はぁと)』『いやじゃ、ない・・・(うるうる)』

「・・・そうだな」


ぜっっっっったい轟くんいま思い出してたよ!!だって斜め上見てたもん!!!妄想も入り込んじゃってるかもしれないけど絶対苗字さんのこと考えてた!!!見てほら!!口元のニヤけが隠せてないじゃん!!!こいつ本当に反省してる?!?!苗字さんに現在進行形で嫌われかけてるかもしれないこと思い出せてる?!?!

「す、好きなんだね苗字さんのこと」
「好きだ。誰よりも」
「いや僕を見つめながら言われるとちょっとはたから見たらおかしいからさ。わかってんだけどね苗字さんのことを言ってんのはさ」

ほら通りすがりの男の人ギョッとした目で見てたじゃん完璧に勘違いされたよなんであのシーンだけ見てったんだよちゃんと前後も把握してください勘違いしないで僕と轟くんそういうんじゃないから!!!
轟くんには苗字さんっていうゾッコンLOVE(死語)な相手がいるの!!

「え、えっと、苗字さんのどこが好きなの?」

前に更衣室でかわいいとこって言ってたけど実際どういう風に好きなんだろうって気になってたんだよね・・・。いや苗字さんが魅力的なのはわかるんだけど、轟くんはそんな苗字さんのどこが好きなのかなって、詳しく聞きたいなあって・・・ほら、三角関係の愛憎ドラマの大事な要素じゃん??ノートに詳しく書きたいからさ!

「顔」
「かお・・・」

顔なの・・・????えっ顔なの・・・・・・???いや確かに可愛らしいけど、え?!

「かわいいよな。笑ったり怒ったり困ったり色んな表情がすげぇ好き。泣いてる顔もよかった・・・」
「反省しろ」

よかったただの顔面じゃなくて表情らしい。確かに苗字さんころころ表情変わってかわいい。落ち込むとしまってるはずの耳がへにゃってしてるように見えてかわいいよね。落ち込んでる犬みたいな。あっ犬じゃないね!!犬じゃないもんね苗字さん!!
そして轟くんは反省しろ

「なんでも楽しげにしてるところとか、美味しそうにご飯食べるところとか、はしゃいでるとこすげぇかわいい」
「うん・・・」
「ちょっとアホなとこもいいよな。押せば流されちまうし」
「本当に反省しろ」

え?これ本当に轟くんと苗字さん付き合ってる??マジで轟くんが押しまくって押しまくって流されて関係を持ってるとかない??ありえてきた・・・
これ本格的に仲直りさせて大丈夫なんか??ちゃんと苗字さんの意見を聞かないと。僕は、苗字さんの味方だからね・・・!!苗字さん、困ってたらいつでも助けを呼んでね・・・!!!

「・・・優しいよな、名前」
「・・・」

本当に愛おしそうな顔しながら、苗字さんのことを考えてる。本当に好きなんだなあ・・・
好きすぎて暴走しちゃうのかな・・・

「いつから好きなの?」
「・・・気がついたら好きだった。でもきっかけはあったな」
「・・・どんな?」
「絆創膏くれた」



実践訓練で初めてペアになった時に、隣でころころ表情を変えながら話す名前に正直うるさいなくらい思ってた。ニコニコ笑ってたかと思えば目が合えば「面が、」とか言って逸らすし。
その後軽く瓦礫で頬を切ったら訓練後に絆創膏を押し付けてきてうんざりしてた。

「轟くんの顔に傷が!!!リカバリーガールのところに!!」
「こんなん行く必要もねぇ」
「じゃ、じゃあせめて消毒してからこの絆創膏貼って!」
「それも必要ねぇ」
「あるよ!!轟くんの顔に傷がついてんだよ?!」
「顔って・・・もうでっけぇ火傷の痕があんだからどうでもいいだろ」
「・・・気にしてたの?」
「は?誰が、」
「火傷の痕があっても轟くんは轟くんでかっこいいよ!」
「な、」
「なんで火傷の痕出来たかは知らないけど、轟くんが過去を背負って頑張ってきてる証だと思ってたよ!まあ今なら火傷の痕だって美容整形で綺麗になるから気になるなら通えばいいしさ!(くらい背景のある攻め・・・!!顔の傷で「俺なんて醜いだろ・・・」って卑屈になるけどそこは受けが救うから・・・!!というか痕があることでアンニュイな攻めになっていいじゃん・・・!!いや美容整形で無くなったらそれはそれでタダの恐ろしいくらいのイケメンになるからこれはもうホモの入れ食い状態だよ・・・!!どっちに転んでも美味い!!薄い本が書けてしまう・・・!なんでわたしには文才も画力もないんだ・・・!!ばかばか!!こんなに美味しい題材が目の前にあんのに・・・!!)」

「・・・」
「ね!だから、絆創膏!はい!」

そうやってにっこり笑って絆創膏を渡すから、つい受け取ってしまって。



「まだ使えてねぇんだ。大事にしまってある」
「そうなんだ・・・」

えっめちゃくちゃいい回想だったな・・・。これは気になっちゃうわ。苗字さん、轟くんがコンプレックスって自分で思ってたけど気付いてなかったのを知らないでそれでもかっこいいとか言ったんだ・・・。

「おかしなやつだと思った。こんなでけぇ火傷の痕あんのに、って」
「でも僕も全然気にならないよ!」
「・・・ありがとな。そっから何となく気になりだして、気がついたら目で追ってたりしてた」
「それは・・・恋だね・・・」
「でもやっぱ火傷の痕あるなんて嫌だよなって思ってて・・・そしたらたまたま名前達が共有スペースで話してるのを聞いて」


飲み物でも飲もうと思って共有スペースに降りてきたらちょうど女子が集まってなんか騒いでいた。気にもとめねぇで進もうと思ったら話している内容が聞こえて来て

「ねえねえ名前はクラスの中なら誰がタイプ?!誰と付き合いたい?!結婚したい?!」
「限局されすぎてて草」
「まあまあいいじゃん!!で、誰誰?!」

「轟くん」

えっ、俺・・・?というかいま話してたの苗字か・・・?
どうでもいいと思っていた会話の内容が、今何となく気になってる苗字の話で、しかも俺の名前がでてきた。確か、誰がタイプで付き合いたくて結婚したいか・・・だったか・・・。俺・・・?

「即答じゃん!!轟のどこが好きなの?!」
「顔が好き」
「顔!!確かにクラス屈指のイケメンだよね・・・!火傷がなかったらもっとかっこよかったんだろうなあ〜!」

「火傷があってもかっこいいじゃん!火傷があって今の轟くんがいるんだよ!!(だから火傷が攻めのいい要素になってるんだよ気づけよ〜!!)」

「つい火傷がなかったらって考えちゃった!じゃあ付き合いたいのも結婚したいのも轟?」
「うん(受けとのHappy学生生活・・・!緑谷くんか爆豪くんとお付き合いしたら絶対最高じゃん・・・!!緑谷くんは轟くんからしたら殻をぶち破ってくれた、俺を変えてくれた天使みたいな?!?爆豪くんは顔カプとか言われそうだけどあそこはライバル枠でライバルだったのに段々気になっちゃうやつなんだよ〜〜〜わかれよ!!!結婚生活なんて・・・想像しただけでよだれが出そう・・・。はあ、画力か文才があればな・・・)」


バレないようにそっと洗面所に移動して鏡を見た。
顔半分弱を覆う火傷の痕に触れる。

『火傷があってもかっこいいじゃん!火傷があって今の轟くんがいるんだよ!!』

「かっこいい・・・、火傷があっても・・・」

苗字は俺の顔が好き、火傷があっても。
そして、付き合いたくて結婚したい・・・(※例え話です)

「俺も、苗字が好き、」

声に出したらストンと収まるところに収まった感覚がした。
そうだ、ずっと気になって、追いかけて。
俺は、苗字が好き。そう思ったらもう好き!!って心が叫び出して。
俺も付き合いたい(※も、ではありません)、そしてゆくゆくは結婚・・・!(※苗字さんはそんなつもりは毛頭ありません)


「そんで、顔でゴリ押せば行けると思った」
「う、うん・・・」
「若干の食い違いはあるけど付き合えたしな。あとは結婚だ」
「うん・・・・・・・・・」

いい回想ダッタカナー?でも自分の顔でゴリ押せるってイケメンじゃなきゃ許されないからね。轟くんだから許されてるからね??それにしても女子はなんて話を共有スペースでしてるんだ・・・。そこで名前の上がらなかった男子が切なくなっちゃうだろ!!よかったよ轟くんしかいなくて。

というか轟くん自己肯定感爆上がりしちゃってるけどそれは苗字さんがあげすぎちゃったんだね・・・。
だからグイグイいっちゃうんだきっと・・・。
・・・ん?まてよ・・・さっきの回想だとあくまでクラスの中でなら誰がタイプかって話だったから好きな人ってわけじゃないし、付き合いたくて結婚したいのも仕方なくクラスの中から選んだわけであって、別にそこから両想いだった訳では無いんだよな・・・むしろ押せ押せしたから好きになって(?)付き合った(?)みたいな?
いや好きになってなくても顔が好きらしいからそれで押されてしまって・・・みたいな・・・
やっぱり真相は謎・・・!!!ちゃんと苗字に確認しないと!!!


「お、もうパトロール交代の時間だ」
「え?!あっほんとだもうこんな時間!」
「じゃあ緑谷、頼んだ」
「う、うんできる限りの事はするよ・・・!」
「パトロールは任せておけ」

ザッと2人でパラソルの下から立ち上がる。
苗字さんと轟くんの仲直りをかけた仁義なき戦いが、今始まる!!






さてヒーロースーツに着替えたわけですけれども。パトロールをしながら苗字さんをちらちらと探してるけど苗字さんは泳いでるかな。それとも
砂浜でぺちぺちしてるか、屋台に食べ物を買いに行っているか・・・そして蛙水さんといるのか、かっちゃんといるのか。そこが1番何より問題だ・・・。
かっちゃんがそばに控えてることによってこの作戦は失敗の確率がうなぎのぼりになってしまう・・・。そりゃ苗字さんがすきってさっき公言してたから轟くんとの仲直りなんて絶対に嫌だろうし、もし楽しげに遊んでたらそばによった時点で邪魔と判断されて爆破されるのが親の顔より見た光景になってしまう。

とりあえず砂浜のパトロールを任命されているから適当に歩きながら目的の人物を、できればかっちゃんには会わない方向で探そう。いや一緒にいたら会わないとか無理なんだけどね。でも蛙水さんとも同じチームだったから楽しく遊んでるよきっと!!かっちゃんもともとそんな遊ばないタイプだしね!!苗字さんは海とか絶対はしゃぐもん。砂浜でフリスビーとかやりたそうじゃん?あ、ごめん違うんだ犬扱いしてるんじゃないんだよ!!

「おっ!緑谷ー!あ、いまヒロスだからデクか!」
「切島く・・・・・・」

砂浜で苗字さんにフリスビーを投げてる蛙水さんを想像しながら歩いていたら声をかけられてそっちを向くとパラソルのところに切島くんがいた。そしてその影に

「あ?」

かっちゃん・・・・・・・・・・・・・・・。


「パトロールさんきゅーな!」
「ううん、切島くんこそ前半はありがとうね」
「おうよ!」

水着の切島くんが太陽すら凌駕する笑顔で話しかけてくるけど君がパラソルの下にいても眩しいよ。君がね。前半は砂浜でパトロールに勤しんでいたらしい切島くんはナンパされて困ってる女の人達を助けたらしい。さすがだね!!
二人で話している間、パラソルの下で座っているかっちゃんは興味無さそうに周辺を見渡していた。水着の上に羽織ってるワイシャツ、シックでかっこいいな・・・。僕が着てもシャツに着られてる状態になりそう。あ、かっちゃんがここに切島くんといるってことは苗字さんは蛙水さんと遊んでるってことだよね?!やった!!難易度下がったじゃん!!すぐにでも探しに行かなきゃ!!

「じゃあ僕はパトロールに、」

「あれ、君たちめちゃくちゃ可愛いね。2人?よかったら俺たちとあっちでお話しない?」
「えっと、いや・・・」

と思っていたら近くでナンパと思わしきチャラい男性の声が聞こえたのでこれは女性が困ってたらパトロール中である僕の出番なので行かなきゃと振り返ったらそこに居たのは苗字さんと蛙水さんだった・・・!!
これは絶対困るやつだしクラスメイトをチャラ男の手から守らねばと足を踏み出した瞬間、

「俺のツレになんか用かよ、あ?」

かっちゃんんんんん!!かっちゃん速い!!!多分僕がナンパに気付くより先に気付いて向かってたあれは!!あっもしかして周囲を見渡してたのって苗字さんたちを探してたのか?!
苗字さんたちのところに行ったかっちゃんは苗字さんの肩をぐっと掴んで自分の方に寄せるとめちゃくちゃ怖すぎる眼光でナンパ野郎を睨みつけた。こわ・・・・・・怖すぎる・・・ナンパ野郎もチビりそうになってんじゃん。

「いえなんでもないです失礼しました・・・!!」
「二度と話しかけんじゃねぇクズ」

ナンパ野郎は漏らす前に逃げることを選んだようでしっぽを巻いて逃げ出していった、でもそっち海だけどそのまま入るのかな・・・?急いでかっちゃん達のところに向かって2人を見るも特に掴まれたりとかはなさそうだった。よかったよかった

「爆豪くん」
「ちょろちょろしてっからあんなクズに話しかけられんだくそ犬」
「大丈夫だよ!無理やり連れてかれそうになったら爪を立ててパンチしてやらァ!」
「名前ちゃん頼もしいわね」
「いや爪はしまっておこうね・・・2人とも無事でよかった」
「おせーんだよクソデク!!てめぇの仕事だろうが愚図!!」
「返す言葉もございません・・・」

本当に返す言葉ないんだけどかっちゃんが速すぎたのはあると思うよ??僕だって聞こえた時には動き出してたのにもう既にいたじゃんね??セコムかよ・・・
それにしても最悪の展開だ・・・!かっちゃんと苗字さんが揃ってしまった・・・!なんとか引き離して時間を作ってもらわないと・・・!!一体どうしたら自然に2人を引き離して苗字さんを誘導できるのか・・・

「ねぇ爆豪ちゃん。名前ちゃんの水着どうかしら。可愛らしいでしょう?」
「あ?」
「梅雨ちゃん!!もう、梅雨ちゃんが可愛いに決まってんじゃんんんん!」
「ケロケロ」

水着・・・?とどうやって引き離すかを顎を覆いながらブツブツしてたら聞こえてきたのでつい見てしまった。あ、蛙水さん緑のボーダーの水着・・・!!うわっかわいい・・・!!あっちょっとダメだ水着なんて見たら!!刺激が強すぎる!!!
苗字さんは・・・スカートタイプのビキニ?!?!似合いすぎている・・・!!!これは轟くんが見たら卒倒するかまた過ちを犯すかの2択!!!ダメだ刺激が強すぎてみてられない!!かっちゃん、かっちゃんは・・・!!

「・・・」
「なに?どーせ似合わないよ!」
「ンなこと言ってねぇだろーが」
「あいたたたたたなんで頭掴むの!いたたた」
「爆豪ちゃん痛がってるわ、離してあげて」

照れ隠し・・・か?!かっちゃん真顔で苗字さんを上から下まで見たあと頭鷲掴んでる・・・!!なんか久しぶりに頭鷲掴まれてるの見たな。ちょっと前までは頭とか襟とか掴まれて引き摺られてるのよく見てたけど最近は苗字さん呼ばれたらちゃんとついてってるもんね・・・躾されちゃったんだね・・・。ってしみじみ思ってる場合じゃない!!どうにかして時間をだな!!チャンスは限られてるんだから!!

「バクゴー!!向こうでスイカ割りしようぜー!!」
「あ?」

切島くんナイスアシスト!!!!かっちゃんスイカ割り行ってくれ!!!

「誰がやるか」
「んなこと言わずによお!!でっけぇスイカなんだよ!!」
「だからなんだよ、あ?」
「あ、分かった。爆豪くんスイカ割る自信ないんでしょ」
「・・・・・・ああ?!」
「いたたたたたた離して離していたいよおお」
「誰が、自信ないってェ・・・?!スイカなんざ秒で割ってやらァ!!!」
「その前に名前ちゃんの頭が割れるわ爆豪ちゃん」

苗字さんもナイス煽り!!!煽られて乗らないかっちゃんなんて居ないからね!!!ギリギリと掴んでいた頭をフンッと離して切島くんの方に動き出した!これは分断出来そうだ・・・!僕の明日が明るい!!

「あ、爆豪くん」
「あ?」
「さっき助けてくれてありがとうね!」

さっきまであんなに強く頭掴まれてたのによくお礼のこと思い出せるね・・・?むしろプラマイゼロになりそうなレベルなのにね・・・律儀だよ苗字さん・・・
かっちゃんも無言で苗字さんのことみて、あ、戻ってきた。

「ペットの面倒を見んのは飼い主の役目なんだよ」
「ペットじゃないってば」
「お前なんぞペットでじゅーぶんだくそ犬」
「犬でもないもん!」
「お前は俺の犬なんだよ、ばぁか」

苗字さんの頭をぽんぽんしてわしゃわしゃにかき混ぜたあとかっちゃんはスイカ割りに参戦しに行った。けど、何アレ・・・。え・・・?かっちゃん・・・苗字さんのこと好きなんだね・・・。あんな優しい目をしたかっちゃん初めて見たよ。むしろ解釈違いレベルなんですけど。本人と解釈違いとか救いようがない!!でもあんなに優しいの?!苗字さんといる時のかっちゃんってあんなに優しいの?!ガチじゃん、優しいのガチじゃん・・・。

「緑谷ちゃんはどっちがいいと思うかしら」
「え?」

こそっと蛙水さんが苗字さんに聞こえないように耳打ちしてきた。うわ蛙水さん近いよ近い!!!
でなにが??どっち??

「私は名前ちゃんを大切にしてくれるならどっちでもいいわ」
「あっ、蛙水さん気付いて・・・!」
「ケロ」

蛙水さん苗字さんが男二人に迫られてんの気づいてるんだ・・・!!気付いて見守っているということは苗字さんが嫌がることはされていないということでいいんだな?!いいんだよね?!2人とも嫌がってる苗字さんをあーだこーだしてないんだよね?!いや轟くんは今回アウトだったのかな。いやセーフか?

「名前ちゃん、わたしかき氷食べたいわ」
「あ、いいね!じゃあ違う味買って半分こし」
「キャー!」

轟くんのアウトについて考えていたら急に背後から悲鳴が聞こえて3人で振り向くと砂浜の至る所に四角い箱が現れていた。は、はこ?!箱って何?!
そう思ってる間に近くのカップルがいた所に箱が現れて、あれは押しつぶされたのか?!それともどうなってる?!

「名前ちゃん上!」
「えっ」
「危ない!」

蛙水さんの声に苗字さんを振り返ると苗字さんの頭上にも箱があって今にも落ちてこようとしていた。あの中身がしっかり詰まっていたとしたら落ちてきたらひとたまりもない!!苗字さんは避けられるだろうけど念の為に救けに入らなければ!!

「苗字さん!」

苗字さんを庇うように抱き抱えるとその瞬間箱が落ちてきて、衝撃に備え目を瞑った。
でも、一向に痛みも何もやってこない。というかなんか圧迫感がすごい。そしてやわらかい

「・・・?」
「み、緑谷くん・・・」
「苗字さ・・・・・・・・・・・・・・・」

目を開けると肌色で柔らかかったです。そして視線を上にあげたら苗字さんの顔がありました。えっ・・・・・・・・・これ胸・・・・・・・・・・・・?!?!?!

「ごっごめ!!いたっ!!!」
「大丈夫だよ!!なんか閉じ込められたみたい」

飛び跳ねて離れようとしたけど頭だけが背後の壁にぶつかって跳ね返った。ま、まさかさっきの箱の中?!?!は?!?!苗字さんとこんな状態で?!?!
その瞬間2人の鬼の顔が浮かんだ


こ、殺される・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





『次回予告!』
緑谷です。僕のターン長くなっちゃってごめんね。
とりあえずこの状況下で苗字さんには仲直りの懐柔をしようと思います!願うことはひとつ!この箱が無くなった時にあの2人がそばにいない事です!!!!よろしくお願いします!!!

次回!「緑谷出久の驚愕」デュエルスタンバイ!!


prev / next

表紙へ戻る

×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -