面が良いから仕方ない! | ナノ

緑谷出久の憂鬱

僕が来た!!
おはようございますこんにちはこんばんは!緑谷出久です!無個性の僕はオールマイトと出会い「君はヒーローになれる・・・!!」ってなって個性を譲り受けて無事に雄英高校に入学していまはヒーローを目指す高校生ライフをクラスメイトと楽しく送っています!

今日は海開きの日!仮免を取得している僕たちには学校から課外授業の一環として付近の海のパトロールを言い渡されたよ!海は事故や事件も多いからね!海までは学校からバス出るからそれでみんなでワイワイ向かってます!なんか合宿の時のバス思い出すねー!夏に盛り上がる音楽流してキャッキャしてる感じ!!うんうん!!

「・・・」

僕の横以外はね・・・・・・・・・・・・。
僕の隣に座っている轟くん控えめに言ってこの世の終わりみたいな空気醸し出してガックリしてるんだけど・・・。いや理由は何となく分かるけどね・・・。

「と、轟くんヒーローチップス食べる・・・?」
「・・・ああ、もらう」

食べるんだ・・・。
差し出した袋の中に手を入れてガサガサと1枚とったらパリ・・・と食べた。食べるんだね・・・。パリパリと食べ終わった後にチラッと斜め前を見てじーっと見つめたあとまた心底大きなため息ついてガックリした。これをもう何十回とみています。
轟くんの視線の先、苗字さんは蛙水さんとそれはもう楽しそうに話しておかしを広げていた。2人とも女の子らしくてかわい・・・いやいや何言ってんだ僕はこんなこと思ってるだけで凍らされかねないのに・・・!いやかわいいと思うだけだとセーフか?セーフにしておいて下さい・・・。

轟くんがこんなにガックリしてるのは数日前から始まった。まあ理由は苗字さんだよ言わずもがな。共有スペースでもたまに話してたのに一切話さなくなった。いや轟くんは話しかけようとしてるけどその瞬間苗字さんが手負いの獣みたいにシャー!って威嚇して轟くんもたじ・・・となってる。轟くんが見てて目が合ってもあからさまにフンッ!ってシカトされてる。それにガーン!ってなってる轟くんをもう何回も見ました。
ちょっと前は苗字さんが僕の後ろに隠れたりした先輩がらみのいざこざ?もあったけどその後無事に仲直り?したみたいだったのにすぐこれだよ・・・もう絶対轟くんなんかしたよこれは。
それだけなら良かった、いや良かったのかわからんけどとりあえず良かったのに、苗字さんは共有スペースでかっちゃんといるようになった・・・。蛙水さんがいない時はかっちゃんとくっついてアプリゲームしてる。あの例のやつね。レベリングしないと爆殺されるって言ってたヤツ。あれ僕もちょっと入れてみたけど猛者強すぎるし難しいし僕には向いてなくて出来なかった。むしろあれランカーしてんのすごいよあの2人。だいぶ時間注ぎ込んでんな??

・・・で、かっちゃんといちゃいちゃ(?)してるから轟くんの嫉妬の炎がすごい。
僕轟くんと苗字さんが付き合ってるとばかり思ってたんだけど、いや実際なんかキ、キスとかセッ・・・・・・・・・とかなんか言ってたじゃん更衣室で!!!いやかっちゃんも言ってたんだけどね!?!?結局真相はどうなっての!?!?でも怖くて聞けないよ!!丸く収まってたみたいだから苗字さんに聞かなかったけどやっぱり男二人に無理やり迫られたりなんかしてないよね?!
で、あの先輩とのいざこざのときから苗字さんはかっちゃんとめっちゃ仲良いからクラス女子は完璧にかっちゃんと苗字さんが付き合ってると思ってる。男子もあれ・・・?そうなの・・・?ってなってるけど轟くんの手前そんなこと思えないし多分実際付き合ってない・・・んだと思う・・・。多分付き合ってたら絶対1回はかっちゃんと轟くんでドンパチやってるもん。おもに轟くんが吹っ掛けて。かっちゃんがそれに乗らないはずないし。

そして極めつけはこの前の共有スペースでのできごと・・・。かっちゃんと苗字さんがソファーでゲームやってたら芦戸さんがあろう事かかっちゃんに苗字さんのどこが好き?とか聞き始めた・・・!!女子は浮き足立ってソワソワ聞き耳立ててるし、男子は轟くんの顔色を見ながらソファーでの動向を見守るしかなくて・・・。だってこれ付き合ってなかったら答えないもんね?!というか付き合ってる前提の質問でしょ?!

「こいつが俺のことだァい好きなとこ」
「えっ」
「うわあーー!!特大の惚気くらったんですけど!!」

ええええええええ!!!!かっちゃ!!かっちゃ!!!かっちゃんそういうこと言うやつだったっけ?!?!そういうのはうぜぇって一蹴にするやつだろ?!?!

「ま、マジかよバクゴー・・・みんなの前で言うなんて男らしいぜ・・・」
「暴君も情人の前ではなりを潜める・・・」
「情人て」

しかも苗字さんのことだ、抱き寄せてるし・・・!!顔近!!!ベッタリじゃん!!!や、やっぱりかっちゃんペットとかペットとか言ってるけど絶対苗字さんのこと好きだよこれ・・・!!
切島くんはなんでも堂々としてたら男らしいって判定なの??

「な、なあ緑谷。やっぱりバクゴーと苗字って付き合ってんのかな」

かっちゃんたちの方を見てたら横から上鳴くんがコソコソと寄ってきたけど、確かに僕もこれはもう付き合ってんのでは・・・?と思ってる正直に言うと・・・!でも轟くんと付き合ってるって轟くんは言ってたし・・・

「え、えっとどうなんだろう」
「付き合ってねぇ」
「と、とどろき・・・!」
「苗字と爆豪は、付き合ってねぇ」
「そっ、そうなんだね・・・!」

上鳴くんとコソってたら轟くんがヌッと隣に来て怖い顔で付き合ってないって言ってきた・・・!そ、そうだよね!苗字さんとかっちゃんは付き合ってないんだよね!!轟くんが付き合ってるんだもんね?!でもたぶん公表してないってことは内緒にしようとかそういう話し合いしたってことなんだよね・・・?苗字さんが恥ずかしがるからなのかな?よくわかんないけど・・・でも何かしらで言わない理由が・・・
・・・いやでも付き合ってるのが轟くんの妄想説もワンチャンあるかも・・・とりあえず苗字さんにきいて真相を明らかにしないと・・・!それと男二人に無理やり言い寄られてないかをだな

「ね!ね!名前は?!名前はバクゴーのどこが好き?!もう教えてよこの際!!」
「どの際!!」

芦戸さんまたすごいこと聞いてるな!!!苗字さんもツッコミ気質あるからついつっこんじゃってるよ・・・!え、でも苗字さん本当にかっちゃんのこと好きだったりするかな?!仲がいいのは確かだと思うしかっちゃんのことあそこまで扱えるなんて苗字さんしかいないでしょもう・・・立派な猛獣使い・・・いやかっちゃんが苗字さんの飼い主だっけ・・・?
あ!うーんと悩んでいるそぶりの苗字さんがこっち見た!!轟くんの方見てる!!轟くん良かったじゃん見つめあえて!(?)僕もう自分で何言ってるかわかんねーな。
轟くんはかっちゃんにくっつかれてる苗字さんが気になって気になって仕方ないみたいだから見つめ合うみたいな感じになってるけど、あ・・・苗字さんフイってして芦戸さんの方見た。これは、やっぱり、何かした轟くんに怒ってるでしょ・・・。絶対やらかしてる・・・。

「・・・すっごく優しくてー!」

「ば、バクゴー優しいんか・・・!苗字には優しくしてんの・・・?!」
「ちょ、ちょっと優しいかっちゃん想像しにくいね・・・」

苗字さんがだいぶ大きな声でかっちゃんを優しいと褒め称えてるけど僕たち全く想像できないんですがどんな感じで優しいか後で教えてもらいたいくらいです・・・!ノートのかっちゃんページに書き足したい・・・。好きな子には優しいって・・・!

お、今度はかっちゃんがこっち見た・・・!!
うっっっっっわ・・・・・・わっるい顔・・・・・・・・・!めちゃくちゃ煽りの笑顔じゃん・・・!!!勝ち誇ってる!!
隣の轟くんをチラッと見るとこっちもこっちで恐ろしい顔してた・・・。バッチバチしてる・・・!またバッチバチしてる・・・!

「優しいよ!そんで、」

あっ!!苗字さんがかっちゃんの顔グイッてした!!!うわ見つめあってる!!轟くんは?!?轟くこわ!!!!!や、やばすぎる!!!!顔が!!!
かっちゃん!!かっちゃんは!!
かっちゃんと轟くんを交互に見る僕の首の速さがもうフルカウルだよ!!!

「わたしのことかまっちゃいたいくらいだぁい好きなところ!」

うっっっっっわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。苗字さんめっっっっっちゃくちゃ可愛い花まる笑顔・・・・・・・・・!女子の盛り上がり方半端ないし男子は男子でこの後のこと考えたりしてもう悲鳴だよ・・・。多分峰田くんあたりは別の悲鳴なんだろうな。
でも、かっちゃん・・・!あんなの至近距離で食らったら・・・!!!
ほら!!!固まってる!!!あれは情報を処理しきれない顔!!!多分かわいいとかやばいとか構い倒したいとかすきとかなんだこいつとか様々な感情がせめぎ合ってそれがパンクしかけて処理できなくなってる顔!!!僕もあんなの眼前10cmくらいで食らったら直ぐに死ぬ。ハッ!轟くん、轟くんは・・・!

「と、とどろきく」
「・・・」

こ、この世の終わりの顔・・・・・・・・・・・・・・・!


あのあとお祭り騒ぎみたいになってゲームに集中出来ないからって2人でどっちかの部屋に行ったのにもさらに盛り上がって凄かった・・・。
ちなみに轟くんは2人がエレベーターに乗った後に嫉妬の炎(物理)を燃やして、それで芦戸さんが「轟なんで燃えてんの〜!!ウケる!マシュマロ焼こー!」って轟くんでマシュマロ焼こうとした。男子は轟くんが苗字さんのこと好きなの知ってるから、苗字さんとかっちゃんが部屋に行ったのを見送った後に轟くんをみて戦々恐々とするし・・・。控えめに言ってカオスな空間になってた・・・。



「ね、緑谷くん。お願いがあるんだけど・・・」

その日の夕飯後に部屋に戻ろうとした時に昼に共有スペースをカオスにした張本人その1の苗字さんに声をかけられた。ハッ轟くんは・・・?!近くに・・・居ないか。良かった・・・。もうあの人喧嘩(?)してから苗字さんと話す全ての男子に恨みがましい視線向けるから・・・。たぶん話せるのが羨ましいってレベルまで来てるんだろうね・・・。拗らせてる・・・。それを気付かない苗字さんも相当だけどね!!

「苗字さん!どうしたの?」
「うん、あのね、その・・・」

ちょっと悩みながらモジモジする苗字さんか、かわいい・・・。苗字さんてどちらかと言うとツッコミ気質で、面白おかしく話したり猪突猛進みたいなところあって明朗快活!みたいな感じなんだけど、それが一旦成りを潜めるともう180度方向性変わる。
苗字さん本人はあんまりわかってないみたいだけど、そして僕が言うのも恐れ多いことなんだけど、苗字さんは結構可愛らしい部類に入る人だと思う・・・。美人と言うよりは可愛くて、笑顔が本当に素敵で(だからこれを至近距離でくらった苗字さんの事が好きと思われるかっちゃんの心境を考えると胸が痛い)The守ってあげたいタイプみたいな。泣き顔も絶対かわい、いや何考えてんだ殺されるぞ!!!そんな苗字さんが犬みたいについてまわったらそりゃかっちゃんが落ちるのも頷けるよ・・・。かっちゃんじゃなくても落ちると思う。轟くんもゾッコンぽいしね。

「海開きのパトロールなんだけど、緑谷くんチームかわってくれない・・・?」
「えっ」

海開きの、パトロール・・・!?た、たしか苗字さんのチームには轟くんがいて、僕のチームにはかっちゃんが・・・!!こ、これは気まずいから?!轟くんと一緒がいまの関係性だと気まずいから?!そして仲良しなかっちゃんがいる方がいいから?!いや、苗字さんかっちゃんが好きなのか?!それともかっちゃんが同じチームになるよう助言した?!
で、でも轟くんと仲直り(?)できるチャンスではあるから、僕の精神衛生上あの轟くんといるの辛いからぜひこのままのチーム分けで仲直りして欲しいんだが・・・!

「ダメかな・・・?」
「ダメじゃないです!!!僕で良かったら!!」

苗字さんの上目遣い(無意識)うるうる攻撃(無意識)に勝てるやつっている??







そして冒頭に戻るんだけども。いや回想長くなっちゃったね。こうしてチームを軽率にかわってしまった訳なんだけど。飯田くんはうんうん頷いて「爆豪くんの働きっぷりが期待できるな!」と逆に喜んでた。これもしかしなくともチーム分けの時轟くん1枚噛んでたな・・・とやってしまった感ありました。でも苗字さんが100万ドルの笑顔で「ありがとう!緑谷くん!」って手を握ってブンブンしてくれたからそんなのは一瞬でどうでも良くなってしまった僕を許して欲しい。
ちょうどその時にかっちゃんが近くを通り掛かって、苗字さんがかけていって(やっぱり犬・・・)多分代わってもらえたと報告しているようだった。うん、しっぽ見えるな・・・。かっちゃんは僕の方をチラッと見たあと苗字さんの頭ぽんぽんして部屋に戻って行ったけど多分あの視線にはミジンコ程度の感謝があったと思う・・・!幼馴染にはわかるんだ!!

轟くんはというと当日にチームが変更になっているのに気づいてわなわなしながらチーム分けの記載された紙を握りしめて凝視してた。轟くん、結構顔にも態度にも出るよね・・・。多分轟くんもこのパトロールの中で仲直り(?)するつもりだったんだろうな・・・。
バスは飯田くんが席順に座るよう言ってたけどみんな好き勝手座り始めて、触れぬ神に祟りなしの精神で誰も座らない轟くんの横に僭越ながら僕が座らせていただきました。

「緑谷・・・」
「どうしたの?轟くん」
「俺、いま苗字と喧嘩してて、」
「そ、そうなんだ」

うん、言われなくても分かってるよ・・・。ガックリ俯きながらぼそぼそ話し出す轟くんを見てチラッと苗字さんの方も見た。あ、かっちゃん苗字さんの後ろに座ってたんだ。苗字さん立ち上がってかっちゃんにお菓子あげてる。うん、犬・・・

「いや、喧嘩じゃねぇ。俺が一方的に悪い」
「そ、そうなの?」
「興奮してて、嫌がってることに気付かないままやらかしちまって・・・」

うん、何も聞こえなかったことにしたいなあ。何?興奮しててって。やっぱり苗字さんと轟くん付き合ってるってことでいいの・・・?興奮、嫌がるのこのふたつの単語で導かれる答えがひとつしかないんだもん。察しの悪い僕でいたかったと後悔するよ・・・。

「・・・嫌がってることをしちゃうのは、まずいね・・・」
「きらいって言われた・・・」
「うわ」

この3人の関係って轟くんと苗字さんが付き合っててかっちゃんの片想いってことでいいのかな??でもなんかそんな単純な関係じゃない気がするの僕だけ??もっと複雑そうな気がする・・・。もしかしなくとも付き合ってるって思ってるだけでワンチャン身体の関係・・・いや高校生が何してんの?!?!勉学に励もう?!ナニに励まなくていいから!!でも身体の関係とかならかっちゃんと苗字さんがそういう関係かもしれない説もワンチャンあるし、いやまてよかっちゃんと苗字さんが実はこっそり付き合っててそこに轟くんが押せ押せで入ってたりする?!ダメだ考えるとドツボにハマる。すげぇ愛憎ドラマだよ・・・

「謝りたいんだが威嚇されちまって」
「されてるね・・・」
「チームも代わって・・・、まさか緑谷」
「ね!!なんでかわったんだろうね?!僕も今日知ったんだよー!!」
「そうか・・・」

あっぶね・・・。仲直り(?)の邪魔したと思われるとこだった・・・!轟くんも、かっちゃんも敵に回したくないからね・・・!いやでもやっぱり男二人に迫られてる苗字さんの味方だよ僕は。苗字さん辛かったら僕にすぐ助けを求めてね・・・!
あ、苗字さんかっちゃんからお菓子分けてもらってる。かっちゃんお菓子持ってきてんの?!きっと苗字さん用だな・・・。やっぱり僕としてはかっちゃんと苗字さんが上手くいってるようにしか見えないんだけどな・・・。

「緑谷、頼みがある・・・」
「う、うん?僕が出来そうなことなら・・・」
「苗字に謝りたいからタイミング作って欲しい。俺が単身突撃した所で袖にされるのが目に見える」
「意外とちゃんと考えてんだね・・・」

苗字さん逃げ足速いし、中遠距離タイプの轟くんと近接タイプの苗字さんじゃ近づいたら轟くん分が悪いもんね・・・。いや個性使う体で考えんな僕!!でも轟くん意外と個性ブッパするとこあるからな・・・。いや仲直りしたいなら個性は使うな!!頭の中の轟くんに言ってもしかたないんだけどね?!

「チームが違うからどうなるかはわかんないけど、様子は見てみるよ」
「緑谷・・・ありがとな」

さっさと仲直りして恨みがましい視線をやめて欲しいのとボヤ騒ぎ起こすのやめて欲しいのが本音です。





「よし!点呼問題なしだ!じゃあチーム分けの通りにパトロールを始めるとする!A、Bチームは前半パトロール、C、Dチームは後半のパトロールだ!お互いにパトロールがない時間は自由に過ごしていいが節度のある行動を心がけるように!!」

飯田くん輝いてるなあ・・・。
僕と轟くんはDチームだから前半は自由時間だ。だから海に入ってもいいし屋台でもの食べてもいいし砂浜でビーチバレーしてもいい。まあ轟くんいまダークサイドにいるからどれも楽しめないだろうね・・・。今だってほら、Bチームで飯田くんにバレないようにコソコソおしゃべりしてるかっちゃんと苗字さんのことすごい顔で見てるもん。苗字さんはこっちに背を向けてるからわかんないけど、かっちゃんニヤニヤして楽しそう。あ、こっち見た・・・うわ、苗字さんにバレないように中指立ててる!!かっちゃんらしい!!!バレないようにしてるところがみみっちい!!こら!轟くん!!燃え始めない!!!
え?この後着替え・・・?また更衣室・・・?嫌な予感しかしない・・・。







「爆豪」
「あ?なんだよ強姦魔話しかけんなや」

始まった・・・・・・。僕を間に挟んで始まった・・・・・・。僕たちは水着に着替えるけどかっちゃんはコスチュームに着替えるもんね・・・。そりゃ更衣室に揃うよね・・・。
ほかの男子は触れぬ神に祟りなしだし、見えてる地雷を踏みにくるわけもないからめっちゃ遠くで着替えてる。強姦魔なんて聞かれなくてよかったね轟くん・・・。え?轟くん本当に強姦・・・したの・・・?嫌がってるって言ってたけど・・・ほんとにやらかしたのか?!?!

「お前だろチームかえたの」
「はァ?てめぇの愛しの名前チャンがてめぇと同じチームじゃ嫌だったんじゃねぇの。嫌われてるみてぇだしなァ!」
「・・・っ」

轟くん押し負けてる!!たしかにきらいって言われたんだもんね!!そりゃその単語にはうぐってなるわ!!好きな子に嫌いなんて言われたら誰でも辛いよ!!あと本当に同意無しでしてないよね?!?!場合によっては仲直りの協力はできないんですけど?!

「名前チャンは俺と同じチームがいいんだと」
「爆豪・・・お前名前のこと好きなんだろ」
「急に舵切る・・・!」

轟くんマジで話の流れそんな気にしないよね・・・!ぶった切って自分の聞きたいこと聞く・・・!かっちゃんもはァ?って顔してるよ・・・。でも僕も気になってたから聞けるなら聞きたい・・・!!いやでもかっちゃんが答える可能性もミジンコ程しかないけど・・・!神様仏様かっちゃん様・・・!どうか答えてください・・・!!


「だったら何だ。なんか文句でもあんのか?」

きた・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!きたよ!!!!
やっぱりかっちゃん苗字さんのこと好きだった・・・!!!ノートに書き込まなきゃ・・・!!矢印が確実になった・・・!あ、新しいページでこの3人の関係性まとめとこ・・・。
じゃ、なかった・・・!轟くんはどんな顔して・・・、うわ苦虫を噛み潰したような顔してる・・・!

「前はどうでもいいとか言ってたろ」
「知らねぇなンなこと」
「大体名前は俺と付き合ってんだ、横恋慕してくんじゃねぇ」
「名前チャンはどう思ってんだかなァ?」

なんかやっぱり轟くんと苗字さんの間で認識の違いあるよね・・・??苗字さんは付き合ってないと思ってるかもしれないしこれはもしかしたらだけど苗字さん轟くんに引くぐらい好かれてんの知らないかもしれない・・・!なんか急にそんな気がしてきた・・・!だって苗字さんほわっとしてるとこあるもんね・・・!(アホを言い換えた訳では無いです断じて)

「まぁ俺の方がやさしーんだろうな名前チャン的には。どっかの強姦魔と違ってよォ」
「んだと、」
「てめぇの言う"恋人"にいじめられた犬を慰めるので忙しぃんだわこっちは。俺たちのために精々後でパトロールに励むこったな」

着替え終わったかっちゃんはひらひら手を振りながら出てった。いや今回もすごいバトルだったね。ほとんどかっちゃんが優勢だったけど。轟くんも自分に落ち度があるからなかなか今回は、いや、今回も?押し負けちゃったね・・・。

「緑谷」

かっちゃんの出ていった方を見てたら肩にポンと手が置かれた。轟くんだよね声でわかるけど声だけじゃないんだ。うん、凍らすのやめようね???あと背後のオーラが既にとんでもない気が・・・!

「な、なにかな?」
「今日、タイミング、頼んだからな」
「は、はひ・・・!」

振り返った轟くんはそれはもうとんでもなく恐ろしい顔をしていた・・・。
もし僕が上手く出来なかったら、明日の朝日拝めなかったりするのかな・・・
この後のこと考えるとゲロ吐きそう・・・。どうか丸く収まりますように・・・!!!!





『次回予告!』
緑谷です!轟くんに仲直りしてもらわないと僕の命が無いかもしれない・・・!お願い苗字さん僕の話聞いて・・・!!そして無理だったら表面上だけでもいいから仲直りしてくださいお願いします。
・・・ところで苗字さんって、かっちゃんのことどう思ってるんだろう?

次回!「緑谷出久の陰謀」デュエルスタンバイ!

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