約束ね、先輩!
「環ー!!一緒にお昼食べるんだよね!!」
午前の授業が終わり、教科書の類を片付けていると、ドアからミリオが声をかけてきてくれた。
食堂へ向かうべく廊下を他愛もない話をしながら歩いていく。食堂あまり混んでないと助かる・・・
「環は最近インターンどんな感じ?」
「相変わらずパワハラを受けている・・・パトロール中もいつまで経っても大阪のノリには慣れない・・・」
「大阪は元気な人が多いからね!」
「天喰せんぱーい!!」
「?!・・・どこかで誰かが俺を呼んだ気がする・・・いや俺の事なんて呼ぶ人なんか居ない・・・」
「でも俺にも聞こえたんだよね!」
「天喰先輩!!ここです!!」
「幻聴が・・・・・・ヒッ?!!?なんで上に!」
「上?・・・あっ!!廊下の天井に立ってるね!!」
「よいしょ!!先輩こんにちは!!」
「君は・・・この前の・・・」
「そうです苗字名前です!!!覚えててくれました??嬉しいです!!」
「だから近い・・・!お願いだ離れてくれ・・・!」
「苗字・・・?あ!!一個下の苗字さんだね!!俺は通形ミリオ!よろしく!」
「苗字名前です!通形先輩よろしくお願いします!」
「ミリオ・・・知り合いなのか・・・?」
「知り合いじゃないけど知らない人はいないと思うよ!去年の雄英体育祭の1年生の優勝者!しかもストレート勝ち!有名さ!」
「有名なんですか?わたし」
「有名さ!一瞬で相手を沈める姿がかっこよかったよ!」
「ありがとうございます!」
「優勝者で有名・・・知らなかった・・・なんでそんな人が俺に構うんだ・・・」
「背中を預けて戦うことになるヒーロー同士交流を図らないと!!」
「環やるー!!もうこんな可愛い子と将来を誓い合うなんて!」
「話が飛躍しすぎている・・・!!ストレート優勝するくらい強い君の背中を預かるのは俺には重荷すぎるし、そういう話をした記憶もない・・・!ミリオは言い方を変えてくれ・・・!」
「この前一緒にヒーローしたいってお話したじゃないですかー!!わたしなんて先輩の足元にも及びませんよ!!これからも精進します!」
「だから近い・・・!俺がセクハラで訴えられる前に離れてくれ・・・」
「環は少し照れ屋さんなんだよね!」
「そのようです!!あっ!もう少しで体育祭があるじゃないですか!!そこでわたし頑張って表彰台に登ったら先輩からご褒美が欲しいです!!」
「俺なんかが優勝者にあげられるものなんて命くらいしか・・・いや俺の命なんてむしろ優勝者にはその辺の石ころと同じ・・・」
「命くれるんですか!!!」
「お互い冗談じゃない目をしてるから一旦落ち着いた方がいいかな!さすがに!」
「・・・とりあえず俺なんかがあげられるものなんて気が知れてるし、何か欲しいなら君なら他の人がいっぱいくれると思う・・・」
「天喰先輩から、サンイーターから褒めてもらいたいじゃないですか!!わたしあなたを追ってここに来てるから!!」
「笑顔が眩しすぎる・・・このままだと浄化されてしまう・・・」
「環も隅に置けないな!とりあえずお昼食べに行こうよ!苗字さんも一緒にどうかな!」
「あっ、お時間を取らせてしまってすみませんでした!!わたしは先生の所に行かないといけないので今回はお誘いのところ申し訳ありませんが御遠慮させていただきます!天喰先輩!わたし頑張ります!!ご褒美考えておいてくださいね!!!」
「いい子だったね!環!」
「俺とは住む世界が違う人種に感じるよミリオ・・・」
「あの子が頑張るんだから俺達も体育祭頑張らないと!最後だしね!!あとご褒美も考えてあげないとだね!」
「また緊張して予選落ちが目に見える・・・。なぜ俺なんかにご褒美を強請るのか理解できない・・・命以外で何を・・・」
「まあおいおい考えよ!」