50,000hit企画小説 | ナノ

次の夢見は良さそうだ

※3部プロヒ軸




「お疲れ様でしたー」

事務所の出入口でぺこりと挨拶をして本日も残業なく勤務終了。わたしの務めてる事務所はほぼノー残だからすごい。これもちゃんとヒーローとサイドキックたちが頑張ってるからだよねー!あと犯罪とかが勤務交代の時間に来ないことかな。来たらもれなく残業なんだけどね、サビ残じゃないからいっか!ガーッと開く自動ドアから出たら少し寒い空気が鼻先を掠めてぶえっくしょい!!とくしゃみが出た。いや違うくしゅんっだわ。ぶえっくしょいなんておっさんみたいなくしゃみしてないからしてない?誰も見てないな?よし。駅まで徒歩10分。疲れから来るのか重たい体を引きずって何とか歩き出した。
勝己くんは今日おやすみで顔を合わせる機会がなかった。まあそういう日も山ほどあるさ。土日祝が休みの仕事じゃないもんねヒーローは。仕事が被る日はいつも駅まで一緒に歩いてたまに帰りにラーメン食べたりする。もちろん焦凍くんと駅で待ち合わせしてない日だけど。してたら待たせちゃうし。というか勝己くんとラーメン行ったって言ったら嫉妬の炎燃え上がらせるから言わないけど。まあラーメンとかごく稀にだしね!焦凍くんはやきもちやきだから困るね。自分も勝己くんとラーメン行ったらいいじゃん。そう言ったらはあ?みたいな顔されたあとはあ・・・ってため息ついてラーメン誘われた。わたしかい!いや行くけど!!というか焦凍くんラーメン誘った割に、やはりだけど家庭の闇が深いのでラーメン屋さんなんて行ったことないのでわたしチョイスのラーメン屋さんに行きました。店先で食券で買う時少し目がきらきらしてた。なんか切ない。。これからも一緒にラーメン行こうね・・・。

それにしても寒いなあと腕を擦りながら歩いていたら上着のポッケに入れてた携帯が震えたのでこの時間だと焦凍くんかなあと思ってポッケから取り出して画面を見たらやっぱり焦凍くんだった。エスパーじゃないよ、もう習慣化してるみたいなとこあるから!画面には電車に乗ったからいつも通りの時間に駅に着くよ的なことが書いてあった。焦凍くんの事務所のほうが少しだけ遠いから多分定時で事務所飛び出してマッハで電車乗ってると思う。想像したら少し笑えるな・・・。わたしもいつも通りの電車に乗ればいい時間に家の最寄り駅について焦凍くんと合流出来るというわけさっ。わたしもいつも通りの電車乗れるよとぽちぽちと返信して秒でつく既読とわたしの2次元推しカプの漫画のスタンプ(お揃いで買った)を確認してからまたポッケにしまい、いつもより時間のかかっている岐路を少し早足で辿った。





「名前」
「あ、焦凍くん!おかえり」
「・・・ただいま」

いつも通りの電車に乗って最寄り駅につく。焦凍くんより先に着くからいつもの改札の付近でぼけーと今日の夕飯何食べようかなあ焦凍くんもうちで食べるよなあなんて考えてたら、毎日のように下手したらおはようからおやすみまで見る紅白頭と目が眩むほどの顔面国宝が改札をくぐってきた。いや眩しッ・・・!眩しすぎる!!何回みても毎日見ても輝いてやがる・・・!周りの人もどよ・・・としてるもん!毎日見る光景だけど焦凍くんさながらモーセのようだよ・・・!ひとがあまりの美しさに自然と道を開けるしみんなぽーって見蕩れてるし!その人がまっすぐこっちにくるって大丈夫??わたしでほんとに大丈夫か??まあ練習の恋人だからいいのか??いいよね?!いいよ!!!焦凍くんいまわたしのだもんね!!!!
それにしてもいつもに増して輝いて見えるし目が眩むんだけどなんで?まあ顔面国宝だからか。はい解決!

「今日も怪我はなかったか」
「ないよー!今日は平和だった!」
「何よりだ。じゃあ帰ろう」
「はーい」

怪我はないと言ったのに上から下までじーーーっと観察されてから納得したのか焦凍くんはスマートにわたしの右手を取って歩きだした。いや本当にスマート!学生の時はまた手を・・・っ!って恥ずかしかったり慌てたりなんだりかんだりしたのが懐かしい。さらーっと当たり前のように手を繋がれるからわたしも当たり前だね!みたいに刷り込まれた。あれ?これでいいのか??まあいいか!なんかプロヒになってからもこの関係続いてるけど多分そのうち勝己くんと焦凍くんが結ばれるんだろうし、それまでは焦凍くんが好きなわたしは恋人役としてぬるま湯に浸かるだけよ!!でも30までには結婚とかしたいから次の人を見つけるためにも26くらいまでには轟爆くっついて欲しいな!!わたしも泣きながら𝑳𝒐𝒗𝒆 𝒔𝒐 𝒔𝒘𝒆𝒆𝒕歌って次に進むんだい!!

「なんかあちぃ」
「?なにが?」
「名前の手」
「そう?いつもと変わんない気がするけどなあ」

手を繋いで家に向かって帰ってる途中で焦凍くんがおもむろにそんなことをいいだすのでえ?ってなって繋いでない方の手をぐっぱーした。熱い気しないけどなあ、というか焦凍くんの左手の方があったかくね?通常運転で。

「体調悪ぃんじゃねぇのか」
「んー疲れてるだけだと思うんだけどね!それよりさあ夕飯何にする?焦凍くんも食べるでしょ?」
「それよりなんて気軽に方向転換できねぇんだが」
「まあまあ、わたし今日はうどんの気分でね」

隣を歩く焦凍くんの視線が上からじーーっと降ってくるけど多分今日も疲れただけだと思うんだけどなあ。だから体はだるいし足は重いしなんかぼーっとするんだと思う!大丈夫大丈夫帰って寝たら元気いっぱい名前ちゃんマンよ!!
わたしは自分の体調より今日の夕飯のほうが大事なんだよね、それよりだよそれより!わたし麺類だと蕎麦が1番好きだけどうどんも好き!今日は何だか寒気がするから温かいうどんが食べたい。煮えたぎってないやつね。煮えたぎったうどんは猫舌だから無理!熱いもの全般冷めてからじゃないと食べられないんだよね、その点で言うと焦凍くんは焼き芋をひんやりしてくれたり色んなものを冷ましてくれるから最高。一家に一人焦凍くんだよ。え?便利屋だから一緒にいるんじゃないからね!!

「名前、」
「溶き卵入れたうどん食べたいなあ温かいやつ。焦凍くんもそれでいい?」
「いいけど名前、」
「油揚げあった、か、・・・あれ、」

頭の中はもううどん1色よ。冷凍うどんとおつゆつくるのに醤油と、具材は卵とあとたまねぎとか、油揚げもあったらいいけどこの前使ったやつ残ってたかななんて考えてたらぐらりと視界が傾いて何事・・・?と思ったけどこれはわたしが傾いてる?ん?足に力入らない??あれー???と思ってる間に視界がブラックアウトして、遠くで焦凍くんが焦ってわたしの名前を呼んでいる気がした。







「ん、」

森のくまさんの演劇をやることになって、あいざわせんせにお前は白い貝殻のイヤリングなって言われてそんな大役わたしに務まるのか・・・!!と戦慄したところで意識がぼんやりして、閉じていたらしい目を開けたらよく見る天井だった。なんだ夢か・・・。夢でよかったよ・・・白い貝殻のイヤリングなんてわたしには務まらな、いや何白い貝殻のイヤリング役って。衣装全身タイツだったね??大役か??あれは大役だったのか??お嬢さんが落とすからってわたしを軽々持ち上げられる人がお嬢さん役がいいねってなって砂藤くんに決まりかけてたのもどうかと思うよお嬢さんだよ??まあいいのか、偏見は良くないね。
ぼんやりする頭でここ家かー寝てたのかーって思いながらもう1回寝ようと布団を被ろうとしてあれ、どうやって帰ってきたっけ??とパチリと目を開けた。そうだ焦凍くんと帰ってる最中にぐらってして、あれ気絶したのかな??だとしたら焦凍くんが連れて帰ってきてくれたのか??

「名前、起きたのか」
「・・・焦凍くん、」
「すごい熱だった、倒れて当然だ」
「そなの・・・」

焦凍くんに迷惑かけたなこりゃーときょろきょろすると部屋のドアがちょうど開いて件の焦凍くんが顔を出した。わたしが起きてることに気付いてすぐにベッドのそばに寄ってきてくれたけどウッ面が良・・・ッ!熱ある時に見る顔面国宝ちょっといつもより刺激強いな・・・!!もう少し遠くでサングラスかなんかを隔てて見たいよ。
しゅんとした、でもちょっと怒ったみたいな顔をした焦凍くんはわたしが倒れて当然なくらい熱があったと宣ってじとりとこっちを見た。体調管理もできないのか社会人のくせにって??いや焦凍くんそんなこと言わんけどなんか視線がチクチク刺さるのですが!

「調子悪い時はちゃんと言え。仕事も無理すんな」
「あい・・・」
「もう1人の体じゃないんだから」
「え???いや1人の体だよね??」

焦凍くんにごもっともなことを言われてごめんなしゃい・・・としゅんとしたら1人の体じゃないんだからと言われたけど1人の体だな???どう考えても社会人一人暮らし()の1人の体だな??いや確かに焦凍くんとほぼ同棲みたいにはなってるけどね?
あれ・・・?みたいな顔してたら焦凍くんの手が伸びてきて頭をぽんぽんしてくれた。少しひんやりしてて気持ちいい

「心配した」
「・・・ごめんね」
「心臓止まるかと思った」
「ごめんてば」
「・・・目が覚めてよかった」
「ん」

心底優しい声と切なげな顔でそう言われて面が・・・ッ、って少しなりながらもその手に擦り寄った。焦凍くんはわたしのこと練習の恋人の割にはすごく、いやそれはもうすごく大事にしてくれてる。いやでも伝わるって言うかね。わかるでしょこれを読んでる人は。もちろん2部まで読了済だもんね。こーーーんなに大事にしてもらって、あれわたしのことほんとに好きなのかもって勘違いしそうになるよ毎回。そんでもっと好きになっちゃうから厄介。私ってほんと馬鹿。

「濡らしたタオル絞ってきた」
「うん、ありがと・・・いや硬ッ」

焦凍くんが手をのけたと思ったら濡らしたタオルを持ってきてくれていたらしい。だから起きた時部屋にいなかったんだね。持ってきたタオルを広げておでこに置いてくれたけどびっくりするくらい硬かった。え??水は??水を絞ってこんなになることある???ってくらい硬かった。パワーSで絞れるだけ絞った感じが伺えるわ。びしょびしょにならないような配慮かもしれないけどこれは逆に冷えない。もう乾燥してると言っても過言ではないレベルで硬い。タオルが硬いって何??繊維どうなった??これなら焦凍くんの右手をおでこに乗っけてもらってひんやりした方が100万倍いいんだけど・・・?

「冷えるか」
「あ、いや・・・うん、まあ」
「名前が飯食ったら冷えピタとか買ってくっから、それまでタオルで我慢してくれ」
「なんか色々ありがとう・・・」

冷えるか冷えないかで言うとワンチャン冷えないかもしれない。でも一生懸命、それはもう一生懸命絞ってきてくれた焦凍くんにそんなことは言えない。わたしにも良心と言うものがだな。
ご飯食べたら色々買ってきてくれるらしい。ありがたすぎるよ。寮だと先生もすぐ近いしみんなもいたから何も困らなかったけど、一人暮らしになると自分しかいないもんね。全部備えてるわけじゃないし。それを考えると焦凍くんが隣に住んでほぼ同棲みたいな感じになってたのはありがたいのかも。やっぱ1人は寂しいって、風邪を引いた身ではめちゃくちゃ思うからね。いやこれは熱が出てるから少し弱気になってるだけでね。

「当たり前だろ、恋人なんだから」
「う・・・」

さらりと言って微笑むから顔面国宝スマイルに当てられて浄化されそうになるし普通に恥ずかしい。いや恋人て。恋人なんだけど、恋人なんだけどね・・・!普通の恋人では無いというかさ・・・!いやまあ、いいんだけどね・・・!焦凍くんがいいなら練習の恋人期間中は出張っちゃうんだけどね・・・!!今しかないからさ!!恋人期間はよ!!!
見つめあってううってなって、いつもなら秒でキッスしてるタイミングだけど風邪が移ったら困るから見つめ合うだけで、なんか余計に恥ずかしい・・・!もう顔が見えないキッスのほうがまだマシな気がする!!

「そうだ、うどん食べられそうか」
「ふえ?う、うん、少しは食べられそう」
「待ってろ、持ってくる」
「え?」

うどんがなんだって?と聞いているうちに焦凍くんはスタッと立ち上がりキッチンある方へ消えていった。そしてえ?と思っているうちにうちにある少しファンシーな鍋つかみを両手に装備した焦凍くんがふたり用の土鍋、これは焦凍くんの部屋にあるやつだわ。持ってきたのか・・・。そう、土鍋を運んできて、と思ったらアッとした顔をしてまたキッチンに戻ってった。え・・・?さっきからえ?って顔しかしてない。キッチンからまた出てきた焦凍くんはいい顔で鍋敷きを持ってきてローテーブルに置いたあと、また戻ってさっきと同じ鍋つかで土鍋を持ってきて満を持して鍋敷きの上に置いた。置いたね、うん。そしてジャーン、と言いたげな顔で土鍋の蓋を開けて出てきたのは、

「に、煮えたぎったうどん・・・!」

マグマのごとく煮えたぎったうどんでした。え?これ火から下ろしたよね?火から下ろしてこのぐつぐつ具合?中を覗き込むと歪な形の人参とたまねぎと、おそらく割るのを失敗したのであろう卵がその形を失ってしっかり火が通っていた。あ、殻ある。

「これ、焦凍くんが・・・?!」
「ああ、名前うどん食べたいって言ってたから、風邪、うどんでレシピ検索して作った」
「そ、そうなんだ・・・!」

ネギはいつか見たニラのように連なりうどんは・・・というかこれ何玉入ってんの??ふたり用の土鍋にたっぷりなんだけど??かちゃりととりわけのお椀とお箸を持ってきてさらにお茶も持ってきてもらったところ悪いけどこれ何人前??レシピ検索したとき何人前って書いてあった?そこ見た??
焦凍くんは一人暮らしを始めてから、初めて本格的に料理します!という感じだったので、まあいつかのニラでお察し案件ではあったけれど料理は全く出来なかった。蕎麦の茹で方だけは完璧だったけど。幸い?一人暮らしというよりわたしとの同棲()みたいな暮らし方だったので、料理まずまずのわたしと一緒に作るという料理の先生がいない料理教室がほぼ毎日のように開催され、その都度焦凍くんの料理の出来なさに料理まずまずのわたしもビックリさせられたのよね。でも焦凍くんはオシャレもエスコートもできるスパダリなので吸収は速かった!包丁の持ち方も3日でマスターした!・・・あれ、これはやいか?よくわかんねぇわもう。ある程度、いやほんとうにある程度1人でも何か作れる、かなーという時期が今です。基本パワーSで色んなものを粉砕、玉砕、大喝采!してくれるから卵はまだ割れない。卵をわたしだと思って・・・とか言ったところで無理だよ、わたしも締められてるもんね!!!

「あ、ありがとう焦凍くん、これ焦凍くんの分もある?」
「いや名前の分だけ。沢山食えよ」
「うーーーーんせっかく作ってくれたし、一緒に食べよう!」
「いいのか?」
「うんうん、一人で食べても美味しいけど、きっとふたりで食べたらもっと美味しいよ」

このぐつぐつの山のようなうどんわたしの分だけだってさ。いや・・・わたし普段こんなにフードファイターよろしく食べてないよね??あれこれ1人用鍋??錯覚か??
沢山食べたら元気になるかもしれないけど病人の腹の具合は人それぞれだからね・・・まあらわたしは普段通り食べられる人だけども!
一緒に食べよう!(お残しを阻止する為)と誘ったら少し嬉しそうにして食器を取りに行ったから風邪っぴきフードファイターにならなくてすみそうで少し安心した。残して悲しませるわけにはいかないから・・・ッ!
そういえば何時だと部屋の時計をみたら20時半すぎで、わたしぶっ倒れてから結構寝てたんだなーそんなに具合悪かったのか、とそこで改めて自分の体調の具合を思い出した。あれ、くしゃみしたのも寒かったのも足が重かったのも全部風邪のせいだったんか。気づかなかったな・・・。え?なんちゃらは風邪ひかないとか言うもんねって??なんちゃらってなんだろうねーヒロインのこと??アハハ

「待たせた」
「ううん、じゃあ食べようか。焦凍くん作ってくれてありがとう」
「ああ」
「いただきまーす」
「いただきます」

焦凍くんといただきますしてから、焦凍くんが取り分けてくれた煮込まれクタクタになりすぎたうどんのお椀を貰い、そして1度焦凍くんに返して冷やしてもらった。え?いや煮えたぎってたら食べられないって言ったじゃん。猫舌なんだよ猫舌、焼き芋だって冷やしてもらったもんいいじゃん一家に一人焦凍くんなんだからさ!

「ん、おいひい」
「本当か」
「うん、美味しいよ。ありがとう」

いい温度になったうどんを一応ふーふーして、1くち口に運ぶ。見た目こそ煮込まれすぎてすべてがぐったりしているけれど、味はあっさりしてて食べやすかった。あれかな、うどんの量多くなったから少し薄味になったのかな。でもそれが今の風邪ひきの私にはちょうどいい感じ。焦凍くんやるな。狙ってないと思うけど。
美味しいよと笑うと、少しほっとした顔をして微笑む。やはり一人で作ったから不安だったらしい。大丈夫だよ焦凍くんが1人で作ったうどんならどんなものでも食べるよ!!でも今回はちゃんと美味しいよ大丈夫大丈夫。あ、卵の殻噛んだ。
焦凍くんも手をつけ始めて「少し薄いな」ってぼそっと言ってから醤油を足した方が良かったのか・・・と考え込むので、大丈夫これでだって焦凍くんの足すってどえらいもんね。いい塩梅ってほんとうに難しいからわたしもなかなか出来ないけど焦凍くんはまじで出来ないからね。出来るようになったら味見してから醤油足そうね。

ぼんやりと焦凍くんを見ながらうどんを口に運ぶ。小さい頃に風邪をひいた時もこうやってお母さんがうどんとかお粥とか作ってくれたなあ。小さい頃から風邪ひかないタイプだったけど、引いたらガッツリ高熱出る人間だから毎回ぶっ倒れてた。その度にこうやってわたしの部屋にきて作った料理をあーんしてくれたり、寂しがるわたしと一緒に食べてくれたっけ。

「、名前?どうかしたか」
「ううん、美味しいなあって」

大人になった今は、一人暮らしだけど一人暮らしじゃなくて。わたしの身を心配してくれる人がいて、こうやって不慣れな料理も頑張ってしてくれて。風邪の時は寂しくなるけど、いまきっと寂しさを感じないのは焦凍くんがこうやってずっとそばに居てくれるからなんだろうなあって。
最初はアパートとか決められて毎日のように来るからこれはどうなんだ・・・?と思ってたけど、結果的に毎日ホームシックとか寂しさとかを感じる暇もないくらいに一緒にいて。楽しくて嬉しくて、たまにびっくりして。こんな生活が、続けばいいなあなんて思ったり。いつか終わる関係でも、終わるその時までは与えられる幸せに浸っていようと思う。貰えるもんは貰う主義だからね、それが気持ちでも何でも!

「焦凍くんいつもありがとう」
「なんだ急に。・・・それは俺のセリフなんだけどな。ほら、食べたらもう一眠りしよう」
「うん・・・寝るまでね、」
「ん?」
「そばにいてくれる?」

切れ長な目をぱちくりとさせた後に、何故か焦凍くんが心底幸せそうに微笑む。

「目が覚めてもそばにいるよ」


まあ、焦凍くんうちに住んでるみたいなとこあるしね!

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -