これの設定


今まで曜日や日にちを気にしたことがなかったから知らなかったが、どうやら今日はクリスマスイブらしい。というのも今日ボックスでサンタ帽やらなんやらクリスマスグッズがめちゃくちゃ送られてきたからだ。ご丁寧にクリスマスカード付きで。最初は皆突然来たクリスマスに困惑してたが、アルビーの提案でとりあえずクリスマスパーティーをすることになった。クリスマスパーティーと言っても皆サンタ帽を被ってるというところ以外はいつもの飲みと変わらない。飲みが久しぶりだったということもあって、どんちゃん騒ぎをしているなうである。

「………」
「どうしたんだナマエ、やけに静かだな」
「ニュート、」

お祭り騒ぎしている彼らから少し離れたとこで丸太に寄りかかってぼーっと眺めていたら、サンタ帽を被ったニュートがやってきた。彼の手には酒が入っているであろう瓶が握られている。

「ナマエは行かないのか?」
「あーうん、楽しそうだけどあそこ行ったら酒飲まされそうで」
「ああ、実際楽しいけど飲まされるな」
「だろ?」

そう返して酒を一口すすって、その味に思わず顔をしかめてしまった。ギャリーが作ってくれた酒を皆普通に飲んでいるので、その味に慣れないだけかなと思いつつちびちび飲んでいたが。

「…やっぱり美味しくない」
「そうか?俺は美味いと思うけどな」

とあっけらかんとした顔でそう言うニュート。まじか。「飲まないなら俺飲んでいい?」と聞かれたので喜んで残りの酒が入った入れ物を渡した。作ってくれている彼には悪いが内緒にしておこう。

「ギャリーには悪いけどみんなよくこんなん飲めるよな。俺はたぶん無理だわ」
「慣れだよ慣れ。毎日飲んでれば美味いって感じるようになるさ」

慣れで美味いって感じるようになるものだろうか。とぼーっとした頭で考えた。やばい、なんだか酔いが回ってきた気がする。俺って酒弱いのかな。

「まじかよ…あーってか、暑い」
「大丈夫か?………ってナマエ」
「あ?なんだよ」
「お前、顔すごい赤くなってるけど」

そう言われてニュートの片方の手が俺の頬に当てられた。ひんやりした冷たい手だ。いや俺の頬が熱いだけか。心地良い冷たさに目を細めた。

「まじか、…あ、気持ちい、」

なんでこんなにニュートの手は冷たいんだろう、とは思ったけど気持ちいいことには変わらないので、自分の手をニュートの手に重ねて俺の頬に押し付けた。

「あー冷たい、気持ちいい〜」
「気持ちいい?じゃあ両手貸してやるよ」

そう言って彼はもう片方の手も俺の頬に当ててくれた。ひんやりとした手が気持ちよくてありがたい。思わず顔も緩んでしまう。
そのままニュートの冷たい手を堪能していたら、ニュートがじ、と俺を見つめているのに気がついた。

「…ニュート?どうしたんだよ」
「………」
「ニュート?にゅ、」

彼の両手が俺の頬から離れた、と思ったら何を思ったのか、突然ナチュラルにニュートに押し倒された。幸い地面は芝生なので痛くはなかったけれど。いや待て違うぞ俺、そういうことじゃない。なんで?

「ちょっと待て何してるのかなニュートくん」
「なあ、もっと気持ちいいコトしようぜ」
「は?……………」

唐突すぎて一瞬理解できなかったが、俺の息子をズボンの上からいやらしい手つきでなぞるので察してしまった。こいつ、絶対何かロクでもないことを企んでいる。だってめちゃくちゃ悪い表情して俺の身体弄るんだもん!ていうか酔ってるだろ、そうなんだろニュート!!

「な、落ち着こうニュート。いくらここに女がいないからってこういうのは良くないと思うんだ、そうだろ?」
「俺からのクリスマスプレゼントだよ、ナマエ溜まってるだろ?この前言ったじゃん、俺が処理してあげるって」
「いやいやいや待ってそれは確かに言ったかもしんないけどわざわざ勃たせてもらってまで処理していただく必要はないかな?!」

くそこんなことなら朝勃ちの話なんてしなけりゃ良かったとめちゃくちゃ後悔した。とりあえず必死にニュートを説得しようとしたけれど一向にやめてくれる気配がない。むしろ酷くなっている気がする。だって段々気持ち良くなってきたんだもんヤバいぞ落ち着け息子よ静まりたまえ。ホントにマジで。

「ちょ、ニュート!っばか、ぁ」

酔っているせいなのか、いつもより体が敏感になっている気がする。今まで服の上からいやらしい手つきで撫でられていたけど、ついに服の中ににまで手を突っ込まれて胸のあたりまでたくし上げられた。俺の頬で少しはニュートの手の冷たさが緩和されたとはいえ、それでもやっぱりその手は冷たい。酒で火照った身体が急に冷たい空気に触れたのもあって思わず身体が震えた。のがバレたのか、どこか恍惚とした表情でニュートに「かわいい」と言われてしまった。俺のどこがかわいいんだ、感性おかしいんじゃないのかこいつ。

「ていうかほんと落ち着こう?!酔ってるだろ?!勢いでこういうことやるなよ後悔するから!」
「後悔しないよ、だって俺ナマエのこと好きだもん」
「もんじゃねーよそんな好きなんて言われたって俺は…………………は?」

え、こいつ、今なんて言った?

「だから、好きなんだってば」
「ニュート、」

俺の身体に跨って胸に手をつくニュートは、クリスマスパーティーのキャンプファイアーの光がぼんやりと当たってなんだかきれいに見えた。思わずドキってした。くそ、これだからイケメンは。

「すき、ナマエ、好きだよ、好き」
「う、あ…」

うわ言のようにその言葉を繰り返すニュートの顔がゆっくりと近づいてくる。どうしよう、困った押し返せない。だって俺のこと好きって言ってるんだぜこいつ。人間誰しも人から好意を寄せられるというのはいい気分だろう、勿論俺もその例外ではない。だからもういいかななんて思ってしまった。こいつは男だしその前に仲間であり友人だけど。ゆっくりと俺の目と鼻の先まで降りてきたニュートの顔を見つめた。目が合ったニュートはふにゃりと笑った。あ、かわいい……………。
あと数センチというところで唇と唇がくっつくというところで、これからされるであろうことを予想して俺はゆっくりと目を瞑った。
けど、いつまで経ってもその感触が唇に来なかった。代わりに俺の頬にその柔らかい感触が落ちてきた、と思ったら。

「…………………」

俺の耳のすぐ横から、穏やかな吐息が聞こえてきた。

「……………はあー…………」


こいつ、寝やがった。

「………寒い」

シャツがニュートによって胸のあたりまで捲られているので寒い。戻したいけど今俺の上でニュートが寝ているからそれは無理だし。これ誰かに見られたら大変だな。スキャンダルになりそうだ。とぼーっと考えていたら、誰かがこっちに来る足音が聞こえてきた。まじか。

「おーいナマエ?ニュート見てな、い………」
「あーちょうど良かったトーマス、助けてくれ」

来たのがトーマスで良かった。こいつなら口が堅そうだ。
結局キスは未遂のまま終わってなんだか拍子抜けをしてしまったけど、如何にもニュートに襲われてますといった体勢を見たトーマスが顔を真っ赤にしてたのは面白かったな。メリークリスマス。


20160105


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