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「新堂……挿れて、いい?」
熱く溶けてひくつくソコから指を引き抜き、限界寸前まで膨張したモノの先端を押し当てて、狭い入口をクリクリ刺激しながら訊いてみると。
四つん這いの体勢で俺に身体を預けていた男の口からは、思いもよらない言葉が飛び出してきた。
「いい、っすけど……。このままじゃ、飛島さんの顔が見えないです」
「!」
それは、甘えているワケではなくて、自然に零れ落ちた何気ない一言。
俺は、今まで挿入の瞬間に相手の顔を見たいだとか、特にそんな事は考えていなかったけど。
確かに今は、新堂の顔が見たい。
挿れる時の苦しげな表情も、感じてイク瞬間の顔も。
新堂も同じように俺の顔を見ながら初めての行為に挑もうとしてくれているのだて思うと、ジワジワと胸の奥にくすぐったい気持ちが生まれて、何だか堪らなくなった。
「新堂」
「――ん」
四つん這いになっていた身体をそっと仰向けに直して、汗ばんだ額にキスを落とす。
「俺、誰かを本気で好きになるのも、惚れた相手を抱くのも初めてだから……余裕なかったらごめんな」
精一杯優しく抱きたいとは思うけど、今までのゲームやスポーツ感覚のセックスの経験は、きっと何の役にも立たない。
もう覚えてもいない童貞卒業の時以上の緊張感に戸惑う俺の頭を、可愛い後輩はそっと撫でて笑った。
「大丈夫ですよ。俺だって男ですから、飛島さんが今まで遊んできた子達より身体は頑丈に出来てます」
ずっと言葉にしたくて出来なかった“初恋”をやっと自覚出来たのに、やっぱり俺は新堂の前では余裕がなくて。
こんな時にどう言えば自分の気持ちを伝えられるのか分からず、言葉の変わりにキスで唇を塞ぎ、開いた足の間に腰を入れて、硬い熱塊を小さな穴に宛てがった。
「っ、んッ!……う、んんッ」
早く突き入れてガンガン奥を突きたい衝動を抑えて、少しずつ、慎重に。
入念に解した入口に張り出した先端を埋めて、ゆっくり腰を進めていく。
「きっつ……」
「うっ、あ、ぁッ、ああぁっ!」
ずぷずぷと、新堂の中に俺が入っていく感覚。
際どい快感に大きく脈打つペニスに、熱い内壁がいやらしく絡み付いてきて。
太い先端部を何とか埋め終えた時には、綺麗に引き締まった新堂の腹には俺の汗が飛び散って小さな水溜まりを作っていた。
「トビシマさんの……、デカい」
「まだ先っぽしか入ってねえよ、力抜いてろ」
「マジ、っすか!?」
まだ先っぽしか入っていないけど、絡み付く肉壁があまりにも気持ち良すぎて、すぐにでもイッてしまいそうだ。
「息吐いて、身体の力抜けよ」
「ッ、――うっす」
苦しげに歪んだ顔が色っぽくて、危険な先走りを零しつつ、広げられた足を抱えてグッと腰を突き入れる。
堪えろ、俺。
ここで暴発してしまったら、先輩としてのメンツも男のプライドも丸つぶれだ。
「あぁッ……すげ、太い……っ!」
「馬鹿、煽るなって」
少しでも苦痛を軽減してやりたいと思っているのに、更にモノをデカくさせるような事を言いやがって。
「うっわ、あ、ああぁッ!」
「入っ……た」
荒々しい獣の呼吸と、立ち込める強烈な雄臭。
二人無言で、お互いの熱と鼓動を感じ合う。
新堂の中には、俺のモノがすべて埋められていた。
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