誘導トラップ。


理科準備室にて。
期末試験の丸つけ作業に没頭する桐島先生と、かまって欲しくて仕方ない佐田先生。


「丁寧に丸つけるよなー、桐島君」
「別に、普通ですよ」
「間違ってるトコにちょっと解説入れたり、一人一人に一言コメントまで書いてるじゃん」
「点数はどうあれ、頑張った生徒に一言“よくやった”の気持ちは添えたいですからね。それが次へのやる気に繋がってくれたら嬉しいですし」
「桐島君のそういう所が、好きだ」
「っ、…顔が近いですよ、佐田先生!」
「お、記号問題は解答欄が全部埋まると『フ・ン・ド・シ・ア・ニ・キ』になるのか。完全解答で10点!化学嫌いの子の救済措置だな、優しい桐島君らしい」
「残念ながらこの子の答案は誤答例ですね。意味のある単語が出来ると見せかけて実は最後の一問は『イ』が正答です」
「えっ、誘導トラップ!?」
「『キ』と『イ』にはちゃんと問題文を読んでいればまず間違えようのない選択肢を用意しているので、深く考えず適当に記号を入れた生徒がすぐに分かります」
「何だってそんな罠を…」
「努力せず安直に楽な道を選ぶと痛い目に遭うということを若いうちから教え込んでおくべきかと思いまして」
「うわー…桐島君のそういう所も、好きかも」


教員モードの時は意外なSっ気が光る桐島先生なのでした。



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