凝り性。


柚木宅にお招きされた北山さん。
キッチンの隅に意外なモノを見つける。


「おう、坊主。こりゃ何だ」
「あ、それは…石臼です」
「臼!?」
「北山さんが遊びに来てくれるっていうから、もしかしたら蕎麦を打ってくれるかもしれないって思って通販で買っちゃいました」
「粉を挽いて麺を打つところからやらせる気か!?」
「北山さんって頑固職人っぽいから“蕎麦は挽きたて打ちたてじゃないと駄目だ!”みたいなこだわりがあるのかなあって…」
「そんなこだわりはねえよ。俺が社食で茹でてたのは業務用の安い蕎麦だぞ。蕎麦なんて打ったこともねえ」
「え!ないんですか!?」
「…社食スタッフにそこまで技術を求めるな」
「ど…どうしよう。臼どころか蕎麦打ちセットを一式揃えてしまいました」
「……」


可愛い柚木君のために北山さんが蕎麦打ち道場に通い始めたのは、その後しばらくしてからのお話なのでした。




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