気付かれない男。


バータイムの『KARES』を訪れた佐竹と伍代。
散髪したての伍代に三上が目を丸くする。


「いらっしゃいませ。伍代さん、髪を切られたんですね」
「はい、伸びると暑苦しくてかなわないものですから」
「すごく男前度が増してドキドキします」
「そんなことは…」
「ふふ、“出所したてのアニキ”みたいでとても素敵ですよ」
「ありがとうございます」
「おい、ありがとうじゃねえだろうが伍代。出所したてのヤクザなんて全然褒め言葉じゃねえぞ」
「いえ、自分はこの顔ですので…」
「佐竹さんは随分ご機嫌ナナメですね」
「はあ。実は社長も少し散髪なさったのですが、昼にこちらにお邪魔した時に雪矢さんにまったく気付いて頂けなかったので拗ねているんです」
「ああ、そういえば佐竹さんも心なしかサッパリしているような…。伍代さんの五分刈りのインパクトが強すぎて、全然気付きませんでした」
「雪矢さんもそう言っていました」
「もう黙れ、伍代」


この後三上にうなじの辺りをショリショリと撫でられて前屈みの姿勢のまま赤面して固まる伍代に、気の毒そうな視線を向ける佐竹と下っ端バーテンダー香田なのでした。



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