誤解。


バータイムへの引き継ぎ&準備中の下っ端バーテンダー香田と新米スタッフ雪矢。


「いいよなあ、副店長」
「え?何かあったんですか」
「昨日も伍代さんが来ててさ。そりゃもー嬉しそうに副店長に遊ばれて帰っていったんだよ」
「最近三上さんの機嫌がいいのは、伍代さんのご来店が多いからなんですね」
「あんな気の毒なくらい遊ばれても通い詰めるなんて絶対に真性ドMだぞあの人」
「隠れSの三上さんとはお似合いですよね」
「俺もさー、オリジナルのカクテルに『ツヨシ』って名前付けてもらってオーダーのたびに恥じらいながら呼ばれる、とかしてみたいよ」
「ああ、あの怖い顔で分かりやすく恥じらう伍代さんの姿が目に浮かびます」
「…付き合ってた彼女が店に遊びに来てくれたこともあるけど、こんな時間に働いてたんじゃ“全然会えない!”とか言われて毎回すぐにフラれるんだよな」
「香田さん、モテるのに彼女がいないのにはそういう理由があったんですね」
「だからああやって時間見付けては副店長に弄られに通う伍代さんを見てると、いいなって思うんだよ。ホント幸せそうで羨ましいよな」
「……分かりました!」
「え?」
「俺、佐竹さんにお願いして、伍代さんに負けないくらい厳ついヤクザ顔で男の人もオッケーな純情かつ真性ドMの大男を香田さんに紹介してもらいます!」
「いや!違うし!俺は別に伍代さんが好みのタイプとかじゃないし!ただ、会える時間が少なくてもそれなりに幸せそうな二人が羨ましいってだけだから!」
「――香田」
「げっ、副店長!」
「あ、三上さん。お疲れさまです」
「お前が伍代さんをそんなに好きだったとは知らなかったな」
「いやいや、だから違いますって」
「三上さん、笑顔が怖いです」
「ちょっと酒でも飲みながら話し合おうか」
「違いますってばー!」


爽やかスポーツマン系の下っ端バーテンダー香田は女性客に人気があるのですが、彼女募集中の寂しい日々が続いているのでした。



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