童貞疑惑。


閉店後の『KARES』にて。
売上日報をつける三上と、店を掃除する下っ端バーテンダーの香田。


「――どう思う、香田?」
「え?今日はそこそこの客入りだったんじゃないですか」
「そうじゃなくて、伍代さんのことだよ」
「えーと…どう思うってのは、今日も可哀相なくらい副店長に遊ばれてたなーとか、あの人あんな極道顔で絶対真性Mだろうなーとか、そういうことですか?」
「こんなに俺が積極的にアピールしても未だに手を出してこないなんて、あの人もしかして、あの顔で意外に童貞だったりインポだったりするんじゃないだろうか」
「いやー…あの顔で童貞ってことはないでしょう。単に男同士でそういうコトをする趣味がないってだけなんじゃ…」
「おかしいな。その気になれば男でも簡単に落とせるはずなのに」
「…。あ、でも、伍代さんって副店長をすごく大切にしてる感じが伝わってきますよね」
「え…?」
「副店長と話してる時とか、あの厳つい顔が優しく見えるし。もしかしたら大事にし過ぎて何もできないとかじゃないですかね」
「そう、なのかな」
「まあ俺にしてみれば、そんな大切に扱わなくても副店長なら北極に置き去りにしたって熊とか食って逞しく生き延びるだろ!くらいに思いますけど、はは」
「……」
「……はっ!あの、今のはちょっとした冗談というか」
「香田、久しぶりにオリジナルのカクテルを作りたい気分だから味見でもどう?」
「勘弁して下さい〜!」


レシピ通りに正確にカクテルを作ることは出来る三上ですが、オリジナルカクテル開発のセンスは殺人的で、何度かその犠牲になっている香田なのでした。



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